株式会社ワコムは、熊本県天草市と専門学校HAL東京・大阪・名古屋と連携し、学生が地域の実課題をテーマに制作に取り組む産官学連携プロジェクトを開始する。HALの学生約200人が授業の一環として、天草市の地域施策やクリエイティブ課題に向き合い、企画・制作を行う。
今回のプロジェクトでは、天草市の各部署から提示された課題をもとに、学生がチームごとに制作テーマを選ぶ。課題には、「デジタルアートの島創造事業」のWebページデザインやブランドムービー、若者向けのチラシデザイン、地域産品や観光資源のPRに関する販促物などが含まれる。
制作期間中には、天草市とワコムによる中間確認の機会を設ける。8月に審査を行い、9月に結果を発表する予定。優秀作品については、天草市の各施策での活用も検討される。
天草市は、ゲーム、アニメ、映像などのデジタルコンテンツ産業を創出し、人が集まる島を目指す「デジタルアートの島創造事業」を進めている。今回の連携では、こうした地域施策と連動し、学生がクリエイティブの視点から地域課題の解決に挑戦する。
学生にとっては、教室内の課題制作にとどまらず、実際の自治体施策を題材に社会とつながる制作を経験する機会となる。地域の魅力発信や若者向け施策、観光・産業振興などをテーマに、企画立案から実制作までを一貫して学ぶ。
ワコムはこれまで、HAL各校に導入された液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro 27」や、教材として採用されている「Wacom Intuos」などを通じて、学生のデジタルクリエイティブ環境を支援してきた。今回のプロジェクトでは、制作環境のサポートに加え、天草市在住クリエイターによるオンラインセミナーなども実施する。
学生が取り組むテーマは、「デジタルアートの島創造事業」の関連デザインのほか、クリエイター誘致、就職マッチング、天草のおさかな魅力再発見事業、旬のかんきつ類のPR、雲仙天草国立公園70周年に合わせた販促物、ニュースポーツ普及の紙芝居制作、子育て支援を視覚化するプロジェクトなど多岐にわたる。
専門学校HALは、企業と連携して実社会の課題に取り組む「産学直結ケーススタディ」を重視しており、今回の取り組みもその一環となる。天草市にとっては、若い世代の感性やデジタル表現を地域施策に取り入れる機会となる。
デジタル人材の育成と地域課題解決を結び付ける産官学連携は、専門学校教育における実践型学習の重要なモデルになりつつある。ワコム、天草市、HALによる今回の取り組みは、次世代クリエイターの育成と地域のクリエイティブ活用を同時に進める事例として注目されそうだ。



