来春から使われる高校教科書の検定結果が3月18日、公表された。英語以外の科目で英文が数多く盛り込まれるなど、最近の教育改革の動きを反映した内容が目立つ。英語以外の6科目9点の教科書に英文の記述が盛り込まれた。東京書籍の数学1は「国際バカロレア」の最終試験を演習問題として初めて掲載。二次関数や三角比を扱った問題文は全て英語で書かれ、正確な読解力が求められる難題だ。その他、2020年東京五輪・パラリンピックをはじめ、世相や社会問題に関する新たな記述も登場した。
文部科学省は3月18日、2017年春から主に高校1、2年生が使う教科書の検定結果を公表した。領土教育を重視する政府指針を踏まえて尖閣諸島(沖縄県)や竹島(島根県)の編入経緯などを詳しく盛り込んだ教科書が多くなり、領土に関する記述は約6割増えた。政府は14年、教科書作成の指針を改め、尖閣諸島と竹島を「固有の領土」と明記するよう教科書会社に求めた。新指針は昨年の中学教科書の検定から適用され、高校は初めて。領土の記述が倍増した昨年の検定に続き、政府の意向が着実に反映された。
山形県教育委員会は3月9日、2018年度から山形東、米沢興譲館、酒田東の3校にそれぞれ探究科2学級を設置し、寒河江と新庄北、長井の3校にそれぞれ普通科探究コース1学級を設ける方針を明らかにした。 改編後の学級数は、山形東が普通科4、探究科2、酒田東は普通科3、探究科2となる。米沢興譲館は理数科1学級と普通科1学級を改編し、学級数は普通科3探究科2となる。
大阪市教育委員会は今夏に実施する市立学校の教員採用試験について、筆記を重視する方式に切り替える方針を固めた。基礎学力を備えた人材獲得をねらう。全国的に人物本位の面接を重視する傾向にあるが、大阪市教委はその逆をいく。これまでの採用試験は筆記・面接による1次選考と、受験教科により実技を加えた2次選考で合格者を決定。得点配分は筆記などと面接でほぼ半々とし、合計点の高い順に合格者を出していた。このため筆記で低得点だった合格者もおり、教科の中身に習熟していない教諭が目につくようになったという。
部活動の顧問を務める中学や高校の教員が、休日返上で働いている現状を変えようと、若手教員らが2万3522人分の署名を集めた。3月3日、代表の本間大輔さん(34)が文部科学省を訪れ、署名と、教員が顧問をするかどうかを選べるようにすることを求める要望書を提出した。署名は公立中教員ら6人が呼びかけ、インターネット上で集めた。顧問をする意思があるかを教員に毎年確認するよう文科省が各教育委員会に指示することや、文科省が導入を検討中の「部活動指導員(仮称)」を十分に確保することなどを求めた。
2020年度から小学5、6年生の英語が正式な教科となり、時間数も週2時間(1時間は45分)に増える。学校からは「時間割に余裕がない」という声も上がっており、文部科学省は2月22日、英語の授業時間の確保案を例示した。文科省が、諮問機関「中央教育審議会」に示したのは、休み時間を利用する15分程度の「短時間学習」に分割したり、夏休みなどを使ってまとめて授業したりする案。45分授業を60分に延ばす案もあったが、最終的には各学校が判断する。
育鵬社が教科書の採択権限のある大阪、福井、広島、山口、愛媛の5府県6市の教育長計6人に閲覧させていたことが分かった。いずれの自治体でも同社の教科書は採択されていないが、同社は「採択を期待する意図はなかったが、不適切な行為だった」と陳謝している。文部科学省によると、1月に各教科書会社から教科書を閲覧させた教員の人数などの報告を受けた際、同社は35人と報告。同社によると、今回明らかになった6人の教育長は、この35人に含まれるという。いずれも金品のやり取りはなかった。
政府はコンピューターを使ったプログラミングに関する教育で、小・中学校の教員に対する指導手引書を年内に作成する。IT(情報技術)による技術革新やサイバー犯罪増加などに対応し、教育を充実させる。
プログラミング学習は12年の中学校の学習指導要領で必修になったが、教員の知識、経験不足や教材、指導事例の不足などが指摘されている。
東京都教育委員会は2月13日、都立高校4校の夜間定時制課程の廃止を決定した。廃止4校は小山台(品川区)、雪谷(大田区)、江北(足立区)、立川(立川市)。都教委は理由を「生徒が多様化し、働きながら学校に通うケースが減った」などと説明している。時期は未定。不登校を経験した生徒らを対象とする「チャレンジスクール」の拡大などで夜間帯の学習ニーズに対応していく。
新興出版社啓林館(大阪市)が2014年度に北海道の公立中学校長ら延べ10人に検定中の教科書を閲覧させ、各5千円を渡していたことが11日分かった。文部科学省への報告では教員4人に2千円相当の手土産を渡していたなどとしていた。今月5日に追加報告した。教科書検定が行われていた2014年度に社員が北海道苫小牧市の中学校を訪問。校長や他校を含む教員を集め、2回にわたって検定中の数学の教科書を見せ、延べ10人に交通費名目で各5千円を渡した。室蘭市でも中学校長と教員の計2人に検定中の教科書を見せた。
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