Category: 塾ニュース|地域教育

岐路に立つ民間人校長

民間人校長は00年、学校運営に民間の知恵を生かそうと導入された。だが、登用数は最も多かった11年度ですら97人。13年度は90人で、全国の公立学校校長の0.3%にすぎない。
 校長の適性に疑問符がつくケースもある。大阪市は過去2年間で23人を登用したが、セクハラ発言やPTA会費の無断持ち出しなどの不祥事が相次ぎ、4人が退場した。
 問題は校長側だけではない。補佐する教頭や副校長の増員に及び腰な教委もある。せっかくの人材も孤立無援では力を発揮できない。
 公は如何とするか。私も言わずもがな。

大阪市の公募校長2人を免職・減給

 昨年4月に公募で民間から採用された大阪市生野区の市立中学校の男性校長(38)について、市教育委員会は7月31日、「信用失墜行為」があったとして減給3カ月の懲戒処分とし、校長は同日付で依願退職した。さらに、長期欠勤などで5月に更迭された民間出身の元市立小学校長の男性(51)=教務部付=についても、校長応募時の書類に経歴詐称があったとして、懲戒免職処分とした。

日証協会長「小中学校の土曜学習に参画」

日本証券業協会の稲野和利会長は7月16日の記者会見で少額投資非課税制度(NISA)普及には若年層への浸透が重要なテーマであると指摘。投資知識の不足がNISA普及の妨げにならないよう日証協でも投資教育に力を入れていくとしたうえで、「文部科学省が推進する小中学校の土曜学習にも積極的に参画していきたい」と述べた。

公立高に市進ウイングネット 全国初の導入、茨城県立取手第二高等学校 新たな校塾連携モデルはじまる

茨城県立取手第二高等学校が、株式会社市進ウイングネットが提供するインターネット映像配信による映像学習システム「ウイングネット」を公立高等学校として全国ではじめて導入した。この4月から本格運用している。

ウイングネットによる特別授業の様子

ウイングネットによる特別授業の様子

注目すべき点は、取手第二高等学校がクラスごとにひとつのスクリーンを使って、一斉に勉強するという利用方法を取ったことにある。本来、「ウイングネッ ト」は集団授業向けにつくられたものではない。しかし、市進ウイングネット社の協力のもと、集団授業用にカスタマイズされて運用されている。

2015年度から制服も替わる取手第二高等学校

2015年度から制服も替わる取手第二高等学校

現在、取手第二高等学校では「ウイングネット」を数学の学習にしぼって利用している。数学のみとした理由は、相対的に入学時の生徒の数学の力が弱い というデータにあった。そのうえで、まず1年生全員に導入し、中学分野の復習に「ウイングネット」を利用することにした。その際に試みたことは、通常の授 業で使用するのではなく、ロングホームルームの時間を使ったこと。そして、教科担当の先生が教えるのではなく、映像を見ながら学習する生徒の補佐を、クラ ス担任と副担任の先生の二人で行うことにした。こうすることによって、一学年が一斉に授業をおこなうことが可能になった。

導入にあたり、学校側には当初不安もあったという。昨年、取手第二高等学校は、別の企業が提供するインターネット学習システムを希望者を募って利用 していた。しかし、導入当初こそ利用者がいたものの、やがて先細りしてしまい、続けられなかった。その反省も踏まえ、今回は集団授業の形をとり、学年全体 が一斉に勉強できる環境を整えた。

「生徒が中学範囲のどこでつまずいているのかが、はっきりとわかった」という1学年担当職員のコメントがしめすように成果は確実に出ている。実際に ウイングネットで学習していた1年生の男子生徒も、「わかりやすく、中学生の時になんとなく分かったつもりになっていたことを学び直すことができて、とて も充実している」と語るように、生徒からの反応も総じていいようだ。

2015年度に竣工予定の新校舎イメージ

2015年度に竣工予定の新校舎イメージ

若狭高校と東京大学が連携協定

スーパー・サイエンス・ハイスクールに指定されている福井県立若狭高校は6月10日、東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センターと、海洋教育促進拠点としての連携に関する協定を結んだ。海洋科学科と文理探究科を中心に、東京大と連携し海洋教育のカリキュラム開発を目指す。協定の期間は2016年3月末まで。生徒が設定した課題研究のテーマや研究手法について、同センター側がアドバイスするほか、教員への指導・助言を行う。課題研究についての評価基準も共同で作成する。

大阪市立デザイン教育研究所 閉校、白紙撤回へ

大阪市教育委員会は7月8日、財政難などから今年度の生徒募集を停止し、2015年度末で閉校する予定だった専修学校「大阪市立デザイン教育研究所」(阿倍野区)について今年度と来年度の募集を行うことを決めた。閉校方針は事実上、白紙撤回される。研究所は88年創立。2年制で工業デザインなどを学び、現在は80人が在籍している。市教委は昨年6月、「役割を終えた」などとして、14年度末での廃止方針をいったん決定。しかし卒業生や進学を希望する高校生らが存続を求め、1年間先送りしていた。

経済的な理由で私立高校を中退した生徒 過去最少を更新

平成25年度に経済的な理由で私立高校を中退した生徒は1校当たり0・28人だったことが10日、全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)による調査で分かった。10年度の調査開始以降、過去最少を更新した。調査は全国私教連に加盟する教職員組合がある私立高を中心に、29都府県の300校(全私立高の23・3%)に在籍する生徒25万6001人を対象に実施。13年度に経済的理由で中退したのは41校の83人だった。1校当たりのピークは19年度の1・74人で、約6分の1に減った。

問題生徒を隔離し指導 大阪市教委方針、来春から

大阪市教育委員会が、著しく悪質な問題行動を繰り返す公立小中学校の児童や生徒について、来春から特別に外部で指導する場を設け、隔離する方針であることが6月9日、分かった。市教委が10日の橋下徹市長との協議で示す。市長の了承が得られれば制度化に踏み切るという。市教委は、暴力などの問題が目立つ児童や生徒の存在が、周囲の教育に悪影響を及ぼすと問題視。少年院などの既存の施設に送られないケースもあるため、特別な教室を設けるという。

塾と連携し、子どもの生きる力を育む 佐賀県武雄市

佐賀県武雄市は学習塾「花まる学習会」(さいたま市)と提携し、来年度より市内11の小学校のうちの2、3校において同会の教材や教育方法を導入していく。契約期間は10年。実際の授業をおこなうのは武雄市の教員で、野外で思考力と人間力を育てる「青空教室」に関してのみ同会の社員を派遣して授業を実施する予定。

花まる学習会の高濱正伸代表

花まる学習会の高濱正伸代表

提携のきっかけは公教育の停滞感を打開したい武雄市の桶渡啓祐市長が、人間力を育成する、受験塾とは一線を画した同会の理念に共感したため。花まる学習会の高濱正伸代表も「金銭的余裕がないと良い教育が受けられない時代。教育の機会を均等にするためにも、公教育との連携はチャンスがあればやってみたいと思っていた。また、特定の塾に儲けさせていいのかという批判もあるが、武雄市の仕事に関しては、交通費・教材実費等以外の報酬は出ない」と語る。

高濱氏は、花まる学習会が公教育に関わることによって、生徒の学力を上げることがファーストステップとしているが、それはすぐに実現可能だという。それ以降の短期的な目標としては、いい教育を提供することで武雄市の人口増を図ること。そして長期的には生徒の人間力を上げ、保護者を安心させるとともに、武雄市から幕末の志士のような人材を輩出していきたいとしている。

「これからは塾が公教育を支える時代。私たちがモデルを示すことで、日本中の塾が地元の学校に積極的に関わっていき、各地域から官民一体の動きが加速していけば」と全国への波及を期待している。

首都圏の中高入試を考える会 NPO塾全協東日本ブロックが開催

NPO法人 学習塾全国連合協議会(塾全協)東日本ブロック主催による「中高入試を考える会」が5月18日(日)、東京・中野サンプラザで開催された。同協会東日本ブロック理事長の沼田広慶氏、全国会長の後田多純寿氏のほか、参議院議員の大島九州男氏も訪れ、会に先だってそれぞれ挨拶をおこなった。

中高入試を考える会の様子

中高入試を考える会の様子

続いて総進図書営業部の岡山栄一氏、新教育研究協会の穴澤嘉彦氏、森上教育研究所所長の森上展安氏、岩佐教育研究所代表の岩佐桂一氏ら4氏が、今年度の首都圏における中高入試の状況について報告をした。

岡山氏は受験の複数機会を提供する千葉県の基本姿勢について示し、穴澤氏は2014年度の都立高校志望者が7年ぶりに減少したことを取り上げた。また、森上氏は14年度の首都圏中学入試では、偏差値65以上の難関高校において男女とも志望者が減少していることを挙げたほか、岩佐氏は埼玉県の私立高では一般的な募集をしていれば生徒は集まる状態であると伝えた。

一人20分という短い持ち時間ではあったが、密度の濃い報告内容に、集まった40名ほどの参加者たちは熱心に聞き入っていた。発表のあとは質疑応答の時間も設けられ、会場からは各発表者に対して質問が寄せられていた。熱気を帯びた「中高入試を考える会」に引き続き、中野サンプラザ内のボールルームに会場を移して「私学と私塾の新年度情報交換会」が催された。ゲストにシンガーソングライターの渡邊重信さんを招いて盛況のうちに幕を閉じた。