全国私立学校教職員組合連合は6月10日、2015年度に経済的理由で中退した私立高校の生徒は0・02%(47人)で、1998年度の調査開始以来、最低だったと発表した。国の高校無償化政策に加え、低所得者向けの給付金が全学年に広がったことが要因と同連合は分析している。全私立高の4分の1にあたる34都道府県303校(生徒数約26万人)から、3月末現在の回答を集計した。ピークの08年度は0・2%で、10分の1に減ったことになる。
塾教育研究会(JKK)の「30周年記念の会」が、5月29日、中央大学駿河台記念館(東京・千代田区)にて開催された。
皆倉宣之代表
まず、「塾教育の過去・現在 そして未来への展望」をテーマに皆倉宣之代表が、基調講演をした。「塾の実態は、ものすごく複雑になってきている」と、皆倉代表は語る。また、「現在、個人事業のような塾は淘汰されてきており、チェーン塾のようなものが隆盛している。また、ICTの進歩によって、塾業界以外の業種が参入してきている」と分析する。そういった現況を背景に、ICTの利活用、塾と公教育、子供の貧困、世界情勢などを例に挙げ「これまでの塾ではとても生き残れない」と続けた。
参加者同士のディスカッションの時間も設けられた
続くパネルディスカッションでは、仲野十和田氏(ナカジュク代表)、金原伸充氏(秀峰スクール代表)、林マキコ氏(青藍学院教室長)、高田康太郎氏(株式会社keys代表取締役社長)の4人がパネリストとして登壇した。ナカジュクの飛鳥井郁枝氏と稲穂塾の平林一之氏がモデレーターを務め、「個性的な塾ってなに?」をテーマに、議論が繰り広げられた。
パネリストらによる、自塾の取り組みをはじめ、学校や会社の強みをお互いに議論する時間も設けられ、意義深い内容となった。
布浦万代副代表
最後に、布浦万代副代表(ひびき)が、昨年7月にジュネーブにある国連欧州本部にて、「古代日本女性の社会進出と知的財産」をテーマに行った講演の報告をした。
布浦副代表は、万葉集に収められている6名の女性天皇の和歌にフォーカスして、女性天皇、あるいは当時の日本女性の活躍を講義し、「ハイテクの日本なのにも関わらず、歴史、文学といったものを非常に大事にしている。そのことに感銘を受けた方が多くいた」と述べた。
今年、創立30周年を迎えたJKKだが、創立当時とは社会状況が大きく変わり、塾を取り巻く環境も大きく変化した。皆倉代表は、講演の中で次のように語った。「塾というのは、学校教育から離れて何かをやろうとしても、親のニーズがなければ成り立たない。それを踏まえ、学校教育を越える教育というものはないのか、それがJKKがこれまで考えてきたことであり、これからも考えていきたいと思っている」と語り、「今後もJKKは新しい塾や新しい教育の在り方を見据えて活動していく」として、会を締めくくった。
TANAKAホールディングスは6月7日、貴金属製造子会社の田中貴金属工業が中南米で流行している「ジカ熱」の病原体(ジカウイルス)を血中から直接検出する試薬を世界で初めて開発したと発表した。検出にかかる時間は10~15分程度と短い。ジカ熱は2015年から流行しており、今夏にブラジルで開催するリオ五輪を契機に世界に感染が広がる懸念がある。新試薬をジカウイルスの感染拡大阻止に役立てる。
これまでジカウイルスの抗体を簡単に検出する試薬はあったが、ウイルスそのものを検出できるものはなかった。ウイルス検出には特別な設備が必要で、時間も半日から1日程度かかっていた。新試薬には感染の早期発見、検出時間の短縮、コスト負担の軽減といった利点がある。