自民党の法務・厚生労働の合同部会は3月16日、第三者の卵子や精子を使った生殖補助医療で生まれた子どもの親子関係を定める民法の特例法案を了承した。特例法案では、産んだ女性が母親と規定。ただ、代理出産については、依頼した夫婦と生まれた子で、親子関係が成立できるような制度を考えていくという。夫以外の男性から精子の提供を受けて妻が出産した場合、その提供に同意した夫は自分の子ではないと主張できないとした。
大阪大の西田幸二教授らは3月9日、ヒトのiPS細胞で目の発生段階を再現し、本物に近い角膜上皮を作ることに成功したと発表した。角膜の難病を持つ患者に移植する臨床研究を来年度中に申請する計画だ。
特殊なたんぱく質で作った「足場」の上でiPS細胞を培養した結果、4種の細胞層に自然と分かれ、バームクーヘンのように同心円状に広がる組織ができた。中心部に脳につながる中枢神経のもとになる細胞、一番外側には目の表面になる細胞ができ、その間に角膜などを作る2種類の細胞が並んだ。
このうち角膜のもとになる細胞を取り出してシート状にし、角膜上皮を作った。ウサギ7匹の目に移植して、シートの効果で瞳が透明になることを確認した。
iPS細胞から特定の細胞を作る技術はすでにあり、網膜の難病患者に移植する臨床研究が始まっている。今回はより実際の目の発生に近い状態で4種の細胞層を作ったため、それぞれの細胞の機能が高いという。