鳥取県教育委員会は、県立高校の一部の来春入学の推薦入試で、全国から生徒を募集する検討を始めた。定員割れの解消やスポーツ競技力の向上などが狙い。体育コースを設置▽中山間地に立地▽継続的に定員割れしている−−のいずれかを満たしているのが条件で、募集数は全体の5%以内と想定している。これまでも兵庫、岡山、島根の一部地域の生徒は推薦入試の募集対象だったが、地域を限らず全国に広げる。受け入れ生徒の下宿先や寮の整備なども地元市町と共に検討する。8月までに実施校や募集要項などを決める。
全日本私塾教育ネットワーク(私塾ネット)が「学びの現場に立ち返る」と題して「第13回全国塾長・職員研修大会」を4月19日、東京ガーデンパレス(東京・文京区)で開催した。
東京私立中学高等学校協会の實吉幹夫副会長、NPO法人学習塾全国連合協議会東日本ブロックの沼田広慶理事長が祝辞を述べたあと、私塾ネットの湯口兼司理事長は「ジタバタしようぜっ!」と挨拶し、今回の研修大会の主旨を説明した。この研修大会は、例年様々な現場で活躍する人を招いて講演してもらうことによってその知見に触れ研鑚してきた。しかし、今回は趣向を変え「他者の現場を知り、良きものを真似る」と副題にあるように、参加者同士がディスカッションし、自塾の「学びの現場」を学び合おうということで開催された。そのため、座席も横一列ではなく、テーブルを挟んで向かい合う形に配置されていた。
ディスカッションの前に、株式会社ベネッセコーポレーションの今村健吾氏から、英語教育改革についてのプレゼンテーションがあった。英語教育は今、もっとも関心の高いもののひとつであり、参加者も真剣に聞き入った。
続いて「地域で支持される塾」と題した講演を株式会社ステップの高橋豊明専務取締役がおこなった。ステップでは営業研修を一切せず、その時間と資金はすべて教務のための研修に使っているそうだ。紹介されたその研修の中身はとても刺激的な内容だった。
そして、4人一組のグループに分かれ、8つのテーマにわかれてディスカッションがおこなわれた。話し合われたテーマは大きく①何を使ってどう教えているのか、②生徒のモチベーションアップ・心づくり・イベント、③保護者とのコミュニケーション。面談・保護者会・DTS、④個別指導、⑤生徒募集、塾生募集の5つのカテゴリーで、このうち①については、(1)小学生が集まる現場。そして、小学生英語、(2)中学生─上位性をさらなる上位校に合格させる、(3)中学生─中堅層、下位層を伸ばす、(4)高校生指導の4つのテーマに分かれて議論が進められた。途中、参加者らは席替えをしながらほかのテーブルの議論にも加わり、絶えることのない白熱した時間が流れた。
ディスカッションの終盤におこなわれた成果発表では、「個別指導にも、アクティブラーニングを取り入れることを考えるべきかもしれない」といった意見も上がったほか、生徒・保護者に対する「コミュニケーションの重要性を再認識した」といった意見も多く聞かれた。
地域性や年齢が違うということだけでなく、ライバルとも言える間柄の人々が、ひとたび同じテーブルで自分たちの「学びの現場」を伝え合い、助言や自分の意志を伝え合う。こういった光景は私塾ネット以外の団体の会合では見られない。参加者たちも有意義な時間を過ごしただろう。少しでも自分たちの塾のこと、そして何よりもそこに通う子供たちのために何かを得て帰ろうという想いで満ち溢れていた研修会となった。
2月中旬、宇宙航空研究開発機構(JAXA)主催シンポジウム「水惑星の安心を見守る」が開催された。第2部「TRMM17年間の成果とGPM計画」に参加した。TRMM(Tropical Rainfall Measuring Mission)とは、熱帯降雨観測であり、GPM(Global Precipitation Measurement)とは、全球降水観測である。
TRMM衛星は、降雨を軌道上からレーダー観測した世界初の衛星だ。雨を降らす雲の内部がどのようになっているかを、立体的に知ることがでる。そのデータと他の地球観測衛星のデータとを比較し、地球全域のどこでどの程度の雨が降っているかを、知ることができるようになった。
GPM主衛星には、その降雨レーダーを高性能化したものが搭載され、昨年2月に打ち上げられた。
TRMM衛星は1997年に打ち上げられた。設計寿命は3年であったが、幸運にも17年間観測を継続でき、GPM主衛星に観測を引き継ぐことができた。これは全くの偶然である。
後継機の設計寿命は3年2ヶ月。しかし、その後の開発、打ち上げ計画はない。それは、1月に開催された宇宙開発戦略本部会合が決めた、「新たな宇宙基本計画」に記載されていないことで分かる。
この計画には、安倍内閣らしく、宇宙を安全保障のために利用することが明記される。集団的自衛権の行使同様、これまでと異なる方向へ大きく舵を切ったのである。
翻って、教育改革、少子化社会対策の行方や如何に。
(如己 一)
子供のやる気を自然に引き出す英語塾 AIC Kids
スーパーグローバルハイスクール・大学の認定、国際バカロレア認定校の拡大、英語における「話す」と「聞く」の重要性が上がるなど、文部科学省は2020年に予定されている東京オリンピックを契機とした、教育のグローバル化に向けた環境づくりを推進している。
それらの教育改革が意図するものは、これまで日本が強みとしてきた基礎知識のインプットによる平均値の底上げに加え、答えがひとつではない問題に対応できるアウトプットを生み出す力と、他者を惹きつけるリーダーシップを育成することにあるのではないだろうか。
愛知県の民間教育機関の教師たちによるNPO団体、愛知県進学研究会(以下、愛進研)は、子どもたちの進学や就職を考えた研究を行っている。
「2020年の教育再生改革に向け、官民挙げてグローバル社会に目を向けた動きが急速に高まっている。30年後、子どもたちが社会の中心に位置する頃に求められる人材とはどのようなものなのか。過去、現在、そして未来を見通し、親子で未来を考える時間にしてほしい」という思いから「GO FOR 2020」と銘打ったセミナーが4月19日に開催された。
昨年に引き続き会場となった名古屋中学校・高等学校のチャペルは、約300名の親子連れが詰めかけた。名古屋中学の森田祐二教頭先生による挨拶では、名大の留学生と中学生がICT機器を活用してコミュニケーションを取ったり、また英語でプレゼンテーションを行う映像が紹介され、来場客はその様子を熱心に見ていた。
続く第一部は、様々なメディアで活躍するIGSの福原正大代表による基調講演「ミライノシゴト」。
「中国から飛来する環境汚染物質で、九州の小学校がグラウンド使用を制限される。しかし中国の人にそれを問うと、『環境より貧困問題の解決が先だ。日本も昔はそうだった』」と返された。他にも様々な例を挙げながら、国単独では解決できない問題が増えていると解説した。
また日本は少子化により、経済の急速な後退を避けられない。これまでは英語ができなくても、海外が日本に興味を持ってくれた。しかしこれからは、日本人がどんどん自分をアピールしなければならないという。
「欧米が今考えているのは、人工知能が人間の能力を超えた後を見すえた教育。今あるホワイトカラーは、将来その6〜7割がロボットに奪われます。日本がこれまで得意とした中等教育は、まさにその部分に該当する」と危機感を訴えた。そうした中で生き残るのは、英語によるコミュニケーション力と、新たな問題への思考力を備えた人。また「人間がロボットに勝てるのは『他者に尊敬される』ということ。尊敬されるグローバルリーダーを愛知が生んでほしい」と話し、会場は大きな賛同の拍手が響いた。
第二部では愛進研のキャラクター「愛進犬」によるクイズが行われた。出題は実際に企業の入社試験で使われたもの。「日本全国に美容院は何軒あるか」など、いずれも知識より思考力を問うもので、愛進犬による軽妙な語りが会場を笑いに包んだ。
最後は、愛進研会長の鹿島將博氏(鹿島塾代表取締役社長)が「これからは学校で習うことだけでなく、自分なりに考えて答えを出す力が求められます。子どもたちのために保護者の皆さまと二人三脚で頑張っていきたい」と結んでセミナーを終了した。