講師力を競え 湘南ゼミナールが模擬授業大会

会場に入った瞬間からその熱気に圧倒された。5月15日に行われた湘南ゼミナールQ1グランプリは、神奈川を中心に関東圏で進学塾、予備校を展開する湘南ゼミナールの模擬授業大会である。地域の予選を勝ち上がり、決勝に残った9名の講師たちがチャンピオンになるべく競った。今回で第3回を数える。会場内は、熱気に包まれ、みな決勝に残った講師たちの授業に注目していた。

Q1グランプリの会場は熱気に包まれていた

Q1グランプリの会場は熱気に包まれていた

ルールは、12分間の持ち時間の中で、講師各々が考案したオリジナルの授業を生徒役の同じ教科の講師に向けて行う。それを審査員たちに判定してもらい、投票によりチャンピオンが決定する。講師たちは黒、赤、青のペンを片手に持ち、テンポのよい授業が展開された。どの講師たちも生徒を飽きさせない工夫が随所にみられ、だれがチャンピオンになってもおかしくない授業が行われていた。

授業をする鈴木先生

授業をする鈴木先生

その中でチャンピオンに輝いたのは、2位とは1票差という僅差を制した西船橋教室の鈴木徹先生。鈴木先生は第2回チャンピオンでもあり、史上初の連覇となった。トロフィーを授与された鈴木先生は、「もっとQEを鍛えていきたいと思います」と抱負を語った。

トロフィーを受け、抱負を語る鈴木先生。その表情は、戦いを終えて安堵しているようにも思えた

トロフィーを受け、抱負を語る鈴木先生。その表情は、戦いを終えて安堵しているようにも見えた

QEとは、湘南ゼミナールのオリジナル指導法であり、「クイックエクササイズ」の略である。QE授業はテキストを使わず、先生が発問するところから始まる。そのため、生徒は思考プロセスと答えをノートに記すことになり、先生は生徒の挙手などで理解度を見極め、次の問題を考え出す。生徒の理解度が高ければ、ワンランク上のレベルの問題を発問、理解定着が不十分ならば、同レベルの問題をもう一度行う。常に生徒たちの理解度に合わせ、先生と生徒で言葉のキャッチボールをすることで、ともに空間全体をつくりながら授業を進めていくのが特徴的である。

鈴木先生は、国語を担当しており、今回の授業では、指示語についての講義が行われた。指示語は、普段使われている言葉だが、この「既知の表現」を深める授業が行われた。その授業は、担当する科目だけではなく、国語の本質を学ぶことができる思考力を鍛える授業であった。

このグランプリは、授業力を試す場であるだけでなく、決勝に残った授業を見ることによって、ほかの講師たちにとっても大きな勉強の機会といえる。湘南ゼミナールのこの取り組みは、講師が自ら授業力を高めていく文化をつくる場になっているだろう。ぜひ、今後も続けていってもらいたい。

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