株主総会 出席者ゼロで開催可能 新型コロナウイルス対策

 経済産業省は4月2日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、株主総会の会場に入場できる人数を制限することができ、事前の議決権行使の案内やインターネット経由で出席扱いとなる環境を用意すれば、会場に株主が1人もいない状態でも開催は可能との見解をしめした。6月末に総会シーズンのピークを控え、政府としての目安を示すことで混乱を抑える狙いだ。

 経産省のホームページで公表した。

 会社法は株主総会について現実の会場を設けるよう義務付けられている。株主が出席を希望すれば必ず会場に入れるよう、通常時は入場人数の制限はできないと解釈されている。今回、経産省と法務省が連名で「会場の規模の縮小や会場に入場する株主の人数制限が可能」との判断を示した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、総会の安全確保を最優先する。

「会場に事実上株主が出席していなかったとしても開催可能」とも明記した。開催場所の設定は必要だが、会社法にネット経由の出席を禁じる規定はない。現実の会場を用意し、ネット経由で議決権を行使できる環境を企業側が整えさえすれば実質的にオンライン開催の道が開ける。

 当日に議決権を行使するシステムがない場合でも、総会への出席を控えるよう呼びかけることができる。その際は「事前の議決権行使の方法を案内するのが望ましい」とした。

 会社法上、株主総会は株主が権利を行使する基準日(3月期決算企業は3月31日が多い)から3カ月以内に開く必要がある。小規模な企業では株主が1人の場合もあるが、上場企業では来場者が数千人になることが多い、大規模なイベントと言える。12月期決算の企業が3月に総会を開くにあたり、新型コロナ対応で悩むケースが相次いでいた。

 株主総会をオンライン中継し、幅広い人に視聴してもらう取り組みは増えているが、議決権の行使ができる事例はまだ少ない。富士ソフトが3月13日、ネット上で議決権を行使できる総会を開いたのが「初めてではないか」(経産省)とみられる。

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