東大毎日塾 代表 内田悠斗さん|疾風の如く|2022年8月号

教育格差のない世界を目指して「いつも隣に東大生を」

自分は、予備校も通わず東大へ。でもそれは「環境」のおかげだ。
分からないことはいつでも聞けたし、共に頑張れる仲間もいた。
じゃあ、それがない子どもたちはどうすればいい?
だから、僕が作った。
いつも隣に、東大生がいる環境を。

東大毎日塾 代表 内田悠斗さん

東大毎日塾 代表 内田悠斗さん
東大に現役合格できたのは
環境に恵まれていたから

「教育の地域格差」という社会問題が指摘されるようになって久しい。都市部では学校や塾・予備校が多数あり、最先端の学習ツールも豊富だ。かたや地方では、そうもいかないことが多い。学校は地域に一つだけ、学習塾もないという町は少なくない。より良い教育を受けたくても、そもそもスタートラインにさえ立てないのだ。

「その点、僕は環境に恵まれていただけなんです」と内田悠斗(27)は言う。自身は地元のトップ公立高校に通い、質の高い教育環境に身を置くことができた。
 特に大きかったと感じているのは、優秀な友人たちに囲まれていたことだ。彼らと切磋琢磨することができたし、分からないところはよく教えてもらっていた。予備校にも通わず東大に現役合格できたのは、そのおかげだと言ってはばからない。
 そしてその経験が、内田が開いた「東大毎日塾」の礎となっている。東大毎日塾は、オンラインの個別指導塾。最大のウリは、東大生が専属メンターとなっており、彼らに24時間質問し放題であることだ。優秀な友人たちにすぐ質問できる環境にあった自身の環境を、塾という形で再現しようとしたのである。
オンラインであれば、地域のハンデもない。一般的に、東京にいなければ受けられない東大生の指導やアドバイスを、どこからでも、しかもいつでも享受できるのだから魅力的だ。内田はこうして、少しでも教育の地域格差をなくそうとしている。

「勉強が得意な側の理屈」で塾のサービスを考えていた

 しかし、そんな東大毎日塾だが、開校当時はなかなか経営が軌道に乗らなかったと言う。
「誤算というか、大きな思い違いをしていたんです」と自責の念を込めて語る内田。
「最初は『質問し放題』だけで十分魅力になると思ってたんですよ。実際、そんな塾は珍しかったし、しかも東大生ですからね。でもそれは、ニーズを無視した『勉強が得意な側の人』の理屈でしかなかったんです」。
 自分自身は、環境に恵まれたおかげもあって「得意な側」としてここまで来ることができた。分からないことだけをピンポイントで聞ければ後は自分でやればいいし、効率的だと思っていた。
 しかし、いくら自由に質問できる環境があっても、それを活用できないタイプの子どもだっている。勉強を「自走」できて、初めてこの環境のメリットを享受できる。ここへの理解や共感が抜け落ちていたのだ。

自分の形を押し付けず、プランニングやコーチングを重視

 そんな考えを反省した内田、「質問し放題」という強みは残しつつも、学習のプランニングやコーチングに力を入れ、ティーチングも加えた3つの軸で塾のサービスを作り替えた。そもそもどうやって勉強すればいいのか、志望校合格に向けてどんな戦略を立案すればいいのか、そのプランのチェック機能をどう稼働させていけばいいのか。これを東大生メンターが担う形にしたのである。
 大事にしているのは「生徒に寄り添う」こと。ややもすれば、東大生は自身がやってきた勉強法に自信を持ちがちだ。しかし、それを生徒に押し付けないことだけは、徹底してメンターたちにも指導する。「この勉強法で成果が出ないのは本人の努力不足」などと的外れな評価をしてしまってはいけない。
 その成果か、少しずつ生徒も増え、今では確固たる人気塾だ。他塾との提携事業にも乗り出した。「東大生講師がいつでも塾生の質問対応を代行」というキラーコンテンツを活かして、地域学習塾における人材不足問題の解決を目指している。提携塾は地方に居ながら「東大生から教えてもらえる塾」として新たなキャッシュポイントが構築できる。
 一人の行動で、世界から教育の機会格差を根絶するのは難しいかもしれない。しかし、目の前の子どもたちを助けることはできるはず。内田は、そんな思いで今日も生徒と向き合っている。

・東大毎日塾 https://www.toudain.com/service/

・塾経営者向けページ https://www.toudain.com/service/juku/

・東大生の頭の中 https://www.toudain.com/

みんなが私塾界!