神戸山手女子中学校高等学校が、5月18日に系列大学の関西国際大学尼崎キャンパスで、学習塾を対象にした学校説明会を開催した。同校の説明会は毎年、講堂が満員になる盛況ぶりである。数々の学校で学校改革を行い、成果をあげてきた平井正朗氏が同校の校長に就任したのは2年前。着任当初から数々の改革に乗り出し、早くもその成果が目に見える形になってきている。
例えば、中高に新設したグローバル選抜探究コース。英語力を重視しつつ、中堅国公立、難関私大、海外の大学を視野に入れたシラバスの下、少人数制でネイティブの教師とチームティーチングや校内予備校を導入し、時代のニーズに合う取り組みを行っている。
また、今年度から英語とプログラミングを組み合わせたイマージョン教育にも力を入れる。この組み合わせは、全国的にも珍しい試みだ。
「私自身も、英語プログラミングの授業を見学していますが、英語力だけでなく、生徒たちの論理的思考力を飛躍的に向上させていることを感じることができます」と平井校長は語る。
加えて、グローバル教育を全教科で展開している。英語科だけでなく、社会科や国語科など、様々な教科において、国内外の情勢について学ぶことを重視。夏には大学三木キャンパスで英語による「グローバル探究キャンプ」が企画されている。
また、2021年度は経済産業省「先端的教育用ソフトウェア導入実証事業」実証校、2023年度は文部科学省の「学びの保障・充実のための学習者用デジタル教科書実証事業校」になり、EdTechを活用した個別最適化学習にも力を入れている。
「関西国際大学進学プロジェクト」と独自の高大連携教育もスタートし、教員・教師などに直結するプログラムを展開している。これまで、4年制大学への進学が少なかった同校だが、この2年で4年制大学への進学率が8割になり、神戸大学の推薦合格を始め、難関国公立大学、私立大学の進学実績も伸びている。
「これからは世界基準で生徒たちの背景知識、論理的思考力、そして課題発見・解決能力を養い、世界中で通用する人材を育てることが非常に重要です。大学は通過点であり、中高のキャリア支援教育で育んだ自分の夢を実現することにプライオリティを置いてほしい」と平井校長は強調する。
その一端が、同校の生徒の学外での活躍だ。全国レベルの陸上部、マンドリンギター部、アーチェリー部に加えて、リクルート社が主催する高校生向けのアントレプレナーシップ・プログラム「高校生Ring」では、同校の生徒が2年連続ファイナリストに選ばれた。全国で約6,000名以上がチャレンジする探究発表の場において、大きな結果を残している。
来年、創立100周年を迎える神戸山手女子中学校高等学校。伝統を重んじながら、新たな教育の波に柔軟に対応する同校の改革への注目度は高い。