神戸山手女子中高が教育シンポジウムを開催 大学入試の環境の変化と同校の教育改革が語られる

 去る10月14日、神戸山手女子中学校・高等学校が教育シンポジウムを開催した。
 冒頭、学校法人濱名山手学院理事長・学院長、関西国際大学学長の濱名篤氏が挨拶した。濱名氏は、大学入試について、「人間の能力を測ってきた歴史から、新たな段階に差し掛かっている」と語り、「大学が学生を選ぶのではなく、学生が大学を選ぶ時代です」と続け、大学の在り方に変化が起こっていることを強調した。
 大阪大学特任教授の川嶋太津夫氏は、基調講演「大学全入時代における高大接続・連携とは〜選抜から相互選択の大学入試の時代へ〜」を行なった。川嶋氏は、大学入試は、多面的、総合型選抜へ舵を切り始め、高大接続の意義と連携の重要性を説いた。
 神戸山手女子中学校・高等学校校長の平井正朗氏は、「高大連携に向けてのカリキュラム・マネジメント〜学院の教育ミッション達成に向けての基盤づくり〜」と題し、同校の教育の実践報告を行なった。
 同校は、今年、「グローバル選抜探究コース」を新設。担任は英語のネイティブスピーカーと日本人の2人制、ルーブリック評価、英語と技術家庭科や情報を組み合わせた英語イマージョン授業を行なうなど、先進的な取り組みを行なっている。また、同コースのみならず、全コース、全学年で「使える英語を教える」ことを目標に掲げている。
 あるいは、全生徒にタイム・マネジメント・シートを作ってもらい、これを元にしたリフレクションアワー(振り返りの時間)と担任によるコーチングを設け、協働的な学びに繋ぐ個別最適な学びを支えるなど、積極的な学校改革を進めている。
 シンポジウムの最後には、リクルート進学総研所長の小林浩氏のコーディネートの下、濱名氏、川嶋氏、平井氏の3名による、パネルディスカッションも開催された。

パネルディスカッションでの一幕

 平井氏は、世界基準を考えたときに、探究力の重要性を語る。それを支えるのが、「個別最適、協働的な学びであり、改革を進める上でのポイントだ」と語った。
 濱名氏は、大学を偏差値で選んだ人が失敗している事例を語り、同じ名称の学部でも大学によって教育内容が違う。「その違いを知ることは大事だ」と続けた。それを受けて川嶋氏は、大学に入っても6万人が中退している。経済的な問題以外に、ミスマッチの可能性を語る。子供たちや保護者には、自分が学びたいことと入学希望する大学にそのための学びが提供されているのかをきちんと見てほしいとアドバイスを送った。
 シンポジウムの後には、同校在校生による探究発表や高大連携による公開授業と検討会なども行われた。今回のシンポジウムは、学校法人濱名山手学院「創立100周年記念事業」の一環として開催されたもの。同法人、同校は新たなステージへ躍進していると感じさせるシンポジウムであった。

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