東京都江戸川区の区立小松川中学校で5月15日、理科の授業中に行われた実験で硫化水素が発生し、生徒6人が体調不良を訴えた。このうち13歳の男子生徒3人が病院に搬送されたが、いずれも軽症とみられる。
警視庁や消防によると、異変が起きたのは午後1時前。2年生のクラスで行われていた理科の実験で、鉄と硫黄を混ぜて熱し、生成された硫化鉄に塩酸を加えることで硫化水素を発生させる内容だった。授業終了後、生徒6人が気分の悪さを訴え、3人が救急搬送された。
学校側によれば、当時は教室のドアや窓を開放したうえで、教師が生徒に対し「試験管から離れて手であおいでにおいを確認するように」と指導していたという。ただし、体調不良を訴えた生徒らは、誤って試験管に顔を近づけ、硫化水素を直接かいでしまった可能性がある。
硫化水素は少量でも強い臭気を放ち、高濃度では意識障害などを引き起こすおそれがある。中学校の授業では通常、安全な範囲でごく少量を発生させるが、吸引の仕方を誤ると健康被害につながるという。
学校ではこの後、全校集会を開いて保護者と生徒に対する説明を実施。保護者の1人は「テレビで知って急いで駆けつけた。息子の無事を確認してほっとした」と語った。
警視庁と消防は、実験中の教室の状況や指導内容に問題がなかったかなど、当時の詳しい経緯を調べている。