教育出版大手の株式会社旺文社(本社:東京都新宿区、代表取締役:粂川秀樹)は2月9日、「【2026年度】全国の高等学校におけるICT・AI活用実態調査」の結果を公表した。調査は全国5,003校を対象に実施し、547校から回答を得た。今回で10回目となり、直近の状況に加え、2017年度以降の推移を分析している。
生徒用ICT端末は「1人1台」が95.1%に達し、配備率はほぼ飽和状態となった。一方で費用負担と端末指定のあり方に変化が見られる。「個人費用負担/学校指定端末」が39.9%で最多だったが、「学校費用負担/学校指定端末」は減少。「個人費用負担/機種指定なし」は23.2%と増加し、家庭負担・自由選択型へのシフトが一部で進んでいる。ICT機器価格の上昇やマルチデバイス対応の進展が背景にあるとみられる。
端末タイプは引き続きタブレット型が主流だが、「情報」科目でのプログラミング学習やタイピング技能習得を意識し、ノート型PCを採用する学校も一定数存在する。
ネットワーク環境は、通常授業で無線利用可能な学校が85.4%を超え、インフラ整備は高水準で推移。ただし「安定したネットワーク環境の整備」を課題に挙げた割合は54.7%と増加し、回線品質や同時接続時の負荷が新たなボトルネックとなっている。
ICT活用の必要性に関する意識では、「映像授業・動画視聴」「オンライン遠隔授業」「課題配信」「保護者連絡」などが再び増加傾向に転じた。コロナ禍後に見られた“リアル回帰”から一転し、生成AIなど新技術の登場を背景に、ICTならではの価値が再評価されている。「情報・探究」や課外活動への活用も拡大しており、学校生活全体への浸透が進む。
生成AI活用については、この1年で意識が大きく変化した。「授業・生徒指導」「学校運営」「学校行事・部活動」「保護者対応」の全項目で「まあまあ活用できている」が増加、「まったく活用できていない」は大幅減となった。「十分活用できている」との回答も含め4割超が肯定的に評価する一方、「あまり活用できていない」を含む中間層は7~8割に達し、過渡期にある実態が浮かぶ。
昨年度に多かった「誤りが多い」といった懸念は、「誤りを前提に使う」「任せる範囲を明確化する」といった運用知見の蓄積により相対的に後退した。ただし、校内ルール整備や教員のプロンプト設計スキル向上、情報モラル教育の徹底などが引き続き課題に挙がる。
10年間の推移では、GIGAスクール構想やコロナ禍を契機に無線ネットワーク整備が急速に進み、2025年度には「校内どこでも無線利用可」が5割超へ拡大。生徒用端末活用についても「活用できている」とする学校は8割超に達した。一方で、「教員の活用スキル向上」は10年間一貫して最大の課題であり、ICT高度化に伴う人的資本強化の必要性が改めて示された。
ICTはすでに“特別なツール”から“教育インフラ”へと定着した。今後、生成AIがこの10年のICTと同様の軌跡をたどるのか、高校教育現場の次なる転換点として注目される。




