ベトナムの防災教育強化へ 日本とUNICEFが5カ年事業 気候変動への強靱な社会構築を目指す

 日本政府と国連児童基金(UNICEF)は、ベトナムの子どもたちが深刻化する気候災害に備え、自らを守る能力を高めるための新たな5カ年事業「脆弱な地域における洪水及び土砂災害に対する強靱性強化計画」を開始した。2026年2月10日、首都ハノイにおいて、日本政府による9億3900万円の無償資金協力に関する合意文書への署名が行われた。本事業は、ベトナムの農業農村開発省などと連携し、子どもを主軸に置いた包括的な防災システムの構築を目指すものである。
 ベトナムでは、2024年に発生した台風ヤギや、翌2025年の大規模な洪水、土砂災害により、人的・経済的に甚大な被害がもたらされた。気候変動の影響で災害が激甚化・頻発化する中、リスク情報の精度向上や早期警報システムの整備、地域レベルでの備えを強化することが喫緊の課題となっている。これを受け、本事業では過去5年間の協力成果を土台とし、さらなる支援を展開する。
 教育分野における取り組みでは、国家カリキュラムの中に防災や気候変動に関する教育内容を正式に組み込み、内容の充実を図る方針だ。子どもたちが災害リスクを正しく理解し、いざという時に安全に避難するための実践的な知識や技能を身につけられるよう支援を行う。また、子どもや若者が地域の防災計画の策定や避難訓練に主体的に参画できる仕組みを整え、次世代が地域の安全を支える中心的な役割を担うことを促進する。
 インフラ整備の面では、学校やコミュニティ施設をより安全で強固なものへと改修し、大規模な災害が発生した際でも、教育や医療といった不可欠な社会サービスが継続できる環境づくりを進める。事業の対象はベトナム全土の約2700万人の子どもとそのコミュニティに及ぶが、特にリスクの高いカオバン省、ラオカイ省、ゲアン省、ハティン省の4省においては、220万人の子どもを対象とした重点的な活動が展開される。
 日本政府は、リスク分析の高度化や早期警報の強化を通じて、ベトナムの次世代が安心して暮らせる未来の実現を支援する考えだ。また、UNICEFは、子ども特有のニーズを防災政策に反映させることで、誰一人取り残さない強靱な社会の構築を重視している。本事業は、仙台防災枠組(15〜30年)や持続可能な開発目標(SDGs)といった国際的な指針に沿った取り組みであり、多角的な国際連携によってベトナムの防災体制を一層強固なものにしていく。

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