望まぬ孤立出産防ぐために 東京の「赤ちゃんポスト」1年で20件

 東京都墨田区の賛育会病院は、育てられない乳児を匿名で受け入れる「赤ちゃんポスト(ベビーバスケット)」と、身元を一部の職員にのみ明かす「内密出産」の取り組みを開始してから1年間の活動状況を公表した。2025年3月末の運用開始から1年間で、ポストに託された子どもは20人に上り、内密出産は7件行われた。
 同病院によるこの事業は、熊本市の慈恵病院に続く国内2例目の試みとして始まった。医療の立ち会いがない孤立出産や、新生児の遺棄といった悲劇を防ぐことが主な目的である。内密出産を希望する電話相談は59件寄せられ、そのうち20件が実際の受診に至った。内密出産を選択した7人のうち、2人は出産後に自ら育てる意思を固め、希望を撤回している。
 預け入れに至った背景としては、経済的な困窮を理由に挙げる事例が最も多かった。そのほか、社会的に自立していない学生であることや、パートナーと連絡が取れなくなったことなども要因となっている。保護された計25人の乳児については、児童相談所へ通告された後、乳児院などで生活している。
 現状では、氏名の管理や医療費の負担など、民間病院の取り組みには限界がある。病院側は、孤立した妊婦を支える体制の充実とともに、出自を知る権利の担保や財政支援を含めた国による法整備の必要性を訴えている。

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