関西電力は、社会貢献活動に応じてポイントがたまるスマートフォン向けアプリ「モアクト」の事業を分社化し、新会社「株式会社モアクト」を7月1日に設立した。従来の電力供給という枠組みを超え、デジタル技術を活用して個人の行動変容を促す新たな社会インフラの構築を目指す。
同アプリは、環境配慮型商品の購入といった社会課題の解決に資する行動を「ミッション」として提示し、利用者が達成することで買い物などに利用可能なポイントを付与する仕組みだ。2024年11月の提供開始以来、食品通販や鉄道会社など34の企業や団体が参加している。利用者数は6月時点で10万人に達しており、2027年度には100万人への拡大を計画している。
新会社では、次世代の分散型インターネット「Web3(ウェブスリー)」の技術を導入する。ブロックチェーン上に、個人の活動履歴を「SBT(ソウルバウンドトークン)」と呼ばれる他者へ譲渡できないデジタル証明書として記録することで、個人の善行を資産として可視化する。また、AI(人工知能)を活用し、各利用者の興味や特性に合わせた最適なミッションを個別に提案する機能の検証も進め、社会貢献の習慣化を後押しする。
事業背景には、持続可能な社会への関心は高いものの、実際の行動に移せている層が限定的であるという課題がある。同社の調査では、社会貢献の必要性を感じる人は約8割に上るが、行動できている人は4割にとどまる。良い行動が可視化されず、継続しにくい現状を技術面から解決し、経済的メリットと組み合わせることで定着を図る狙いだ。
今回の分社化により、意思決定の速度を高めるとともに関西圏以外への普及も進める。多くの自治体や大学、企業が参加できる開かれたプラットフォームとして進化させ、社会貢献を一過性の取り組みで終わらせない仕組みづくりを推進する。



