カドカワは10月14日、来春開く予定のインターネットを通じて学ぶ通信制高校の教育内容を発表した。学校名は「N高等学校」とし、本校を沖縄県うるま市におく。不登校の生徒らを受け入れ、IT人材を育成することなどを目指す。生徒はネットで、プログラミング言語「Ruby」の開発者まつもとゆきひろ氏らから情報技術を学べる。作家森村誠一氏や、デザイナーや声優を養成する「バンタン」の講師の講義も受けられる。グループ会社が運営するイベントを文化祭とするなどのほか、北海道などで職業体験もできる。
「MyETは、塾業界を救います」
株式会社エドベックのバジル・トンクス副社長は言う。2020年に英語4技能試験が予定されており、一部の大学は、TEAPなどの4技能試験を利用した入試を20年よりも先に実施することをアナウンスしている。
学習塾は、4技能化にどう対応するか。特にスピーキングの指導法、評価法は頭を悩ませる要因となっている。MyETは、そのスピーキング対策システムとして台湾で開発され、日本の小・中・高校生向けにこの10月、同社からリリースされる。
このシステムは、東アジアを中心に、すでに全世界に180万人以上のユーザーを抱えており、すでに数多くの実績を上げており、一部の日本の企業や大学にも導入されている。同社は、英語が話せるようになるために必要なことを、次のように定義づけする。
「音読の習慣を身につける」
「よく使われる表現を塊として身につける」
「歌手になる(歌うように英語を話す)」
そのため、発話を「総得点」「発音」「ピッチ」「リズム」「強勢」にわけてスコア化する。
「日本人の英語が聞き取りにくい理由は、実は発音よりも音節にあります」とトンクス氏は言う。
日本語は音節が多い言葉であり、カタカナ発音で英語のリズムが出ないのだがMyETは「発音」だけでなく、「ピッチ」と「リズム」にもフォーカスし、日本人にピッタリのトレーニングシステムになっている。
ひとつの学習は、15分程度で、継続をしやくしている。また、クラウド環境で提供されるため、場所や時間を選ばず受講できる。そしてコンテンツには、「既存コンテンツ」と「カスタマイズコンテンツ」の二種類のパターンを用意する。
既存コンテンツには、TOEIC対策、IELTS対策などの300以上のコンテンツがあらかじめ備わっている。また、同社が発行する英語学習テキスト『ENGLISH BANK』も利用できる。スピーキング教材とリンクしているため、先にテキストで予習して、反転授業にも活用できる。
カスタマイズコンテンツは、利用者のニーズにあわせて提供でき、学習塾や学校で持っているオリジナルコンテンツをそのままMyET上で利用できるようになっている。それらは、クローズドな環境でも利用できるが、オープン化することによって、世界中のユーザーに利用してもらうこともできる。
教室で使用する場合、教師は初めに概論をレクチャーして、生徒はシステムを使って学習することから、一貫してファシリテーションに徹することができる。教師をサポートする機能として「リマインダー設定」、「宿題作成機能」、「進捗管理機能(LMS)」といった管理画面も用意している。MyETは、英語4技能化に対応するための心強い味方になってくれるだろう。
株式会社学研エデュケーショナルと学校教材を提供する株式会社アーテックが、ロボットプログラミング講座「もののしくみ研究室」の展開を始める。全国の学習塾・学校等を会場にして、2016年4月開講を目指す。
この講座は、国内企業2社の協業で行われ、アーテックが開発したマイコンとブロックロボットを使用し、「身近なもののしくみ」を構造とプログラミング双方から研究し、商品開発なども大きなテーマとして扱う。
アーテックが開発したマイコンのプログラム環境は、視覚的にプログラミングを学べる「Scratch(スクラッチ)」ベース。ロボットだけでなく、信号機や踏切、自動ドアなどの身近にある機器を題材にし、メカニズムやセンシング技術、プログラムによる制御を学び、思考錯誤を経ながら、目的の機器を製作できるように育成するのが狙いだ。
テキストは、STEM教育(Science=科学, Technology=技術, Engineering=工学, Math=数学)を意識した内容になっており、信号機や自動ドアなど複雑な機器をその本質まで深く掘り下げた解説が掲載される。巻末には国内のものづくり企業の技術者へのインタビューを入れるなど、子供たちが自分で制作したものと社会との繋がりを意識できるように工夫されている。
対象は、小学校3年生~中学1年生(講座は無学年)。3年間のカリキュラムになっており、月2回90分の授業で33テーマの内容となっている。21世紀型スキルの修得も意識され、ICTスキルからプレゼンテーション、コラボレーションなども指導に加えられている。
また、教材は中途入会を可能にできるようになっており、途中からでも無理なくすべてのカテゴリーが学習できるように工夫されているなど、学習塾などの運営リスクに配慮されているのも特徴のひとつだろう。そして、国内企業のコラボレーションよる初のロボットカリキュラムとして、海外にも販路を広げることも視野に入れている。グローバル社会を生き抜く中で、プログラミング学習が注目されている。今後は、プログラミング講座を開設する学習塾も増えていくとみられる。
市内の全小学生にタブレットを配り、教育のICT化を推進している佐賀県武雄市と、その効果等の検証をおこなっている東洋大学が、6月の第一次検証報告に続く第二次検証報告会を9月28日に開いた。冒頭、武雄市の小松政市長は「地方創生の根本は人づくりであり、人づくりに欠かせないのが教育である」と同市の教育に対する考えを述べた。
武雄市は市内1小学校の1年生を対象にプログラミング教育をおこなっているほか、全3年生以上の算数、全4年生以上の理科で反転授業を実施。6月の報告では98%の子供がプログラミング授業は楽しかったと答えていることや、85%が反転授業を楽しみにしているといった調査結果を紹介している。
そして今回は保護者、動画を開発した企業全3社、教員へのアンケート結果を報告。武雄市教育長の浦郷究氏は「検証を実施してもらえることは大変ありがたい。全市的にこの取り組みに意義を感じている」と感謝の意を述べた。
保護者に対するアンケートでは、反転授業を概ね理解している割合は約58%と、まだまだ認知度が低いことが分かった。また、動画を開発した企業からは「子供の学習に役立ち、普段の仕事とは違ったやりがいがあった」「教育現場でどのようなコンテンツが望まれているか把握できた」などの前向きな意見が聞かれた一方、3社とも開発費用の負担が大きいことを課題として挙げた。
教員へのアンケートでは「前もって動画を見ることで理解度が増しているのではないか」「事前に動画を見ることで自分の考えを持って授業に臨め、安心しているようだ」といった効果が挙げられたのに対し、課題として「反転授業に適した単元とそうでないものがあるため、どの単元を反転授業にすべきか見直しが必要では」「動画がない通常授業で、いかに予習を習慣づけるかがポイントだ」といった意見があった。
また、教員へは「多忙感」と「達成感」に関するアンケートも実施。反転授業以前の2014年2月は「達成感を感じつつも、多忙感を感じている」教員が多かったのに対し、実施後の15年2月は「達成感が増し、多忙感が減った」という結果が出ている。東洋大学 副学長の松原聡氏は「タブレットの導入で忙しくなっているはずだが、先生たちの多忙感が減ったことは大きい」と反転授業の効果を示した。
算数、理科に占める反転授業の割合は年間授業数の2割程度で、そのうちの約3割が教員の裁量によって通常授業に置き換えられている。今後はその3割を減らしつつ、15年4月にタブレットが配られた市内全中学生と合わせ、引き続き効果を検証していきたいとした。