厚生労働省は放課後児童クラブ(学童保育)の指導員を養成する。現在約9万人いる指導員向けに遊び方や家庭に問題を抱える子どもへの接し方などの研修を2015年度から実施する。学童保育の受け皿を19年度までに30万人分増やす成長戦略の目標に合わせ、知識や技能を身につけた指導員を確保する方針だ。共働き家庭の増加に伴い学童保育の利用希望者は増えており、13年5月時点で88万9205人が通う。全国の小学1年生から3年生の約24%に相当する数だ。
FD(ファカルティ・ディベロプメント)という言葉をご存知だろうか。ファカルティとは大学の教員組織のこと、ディベロプメントとは能力開発を意味し、「教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称」(文科省)と定義されている。
学生母数の減少・国際競争力強化の必要性に伴い、各大学はFDセンターを設置して積極的に教育の質向上を図っているが、一般的には教員相互の授業参観や研修強化などが行われることが多い。
そのような中、龍谷大学が7月4日(金)に開催(於・龍谷大学深草学舎)したのは、大学と付属校が合同で中学・高校入試市場のトレンドを分析し、「高大連携」を深めて教育の質向上のカギを探ろうという、興味深いFD事例だ。
この日講演者として招かれたのは、緻密なデータ分析に基づき、関西圏の中学受験トレンドに詳しい株式会社エデュケーショナルネットワークの藤川享氏と、大胆な学校改革で同大付属平安中学校の入学者数を3年で約3.5倍に押し上げ、合理的な進学校化で大学合格実績向上をマネージメントする校長補佐の平井正朗氏。
両氏によると、関西私立中高受験市場の人気校には、一定の傾向があるという。それが、大学進学という「出口保証」だ。中高受験者は、受験時すでに「大学」を見据えており、そのニーズに応える教育の質向上はFD的観点からも欠かせないといえよう。
特に附属中高を持つ大学においては、関関同立への進学が保証されるこれらの直系附属校と、併設大学への進学をセーフティネットとしつつ、それ以上の大学進学も期待できる「半附属校」が人気を二分していると両氏は分析する。龍谷大と付属平安高校は後者に当たるが、このポジショニングを両者で共通認識として持ち、より緊密な連携を続けていくことを確認しあっていた。
塾においても、FDは注目しておきたい要素だ。FD活動の内容を見れば、その大学が今後どこに力を入れたいのかが見えてくる。生徒への進路指導の判断材料として重要な情報源となるだろう。