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大学の防災教育を議論 大学生協連が研究会、東日本大震災15年を機に

 全国大学生活協同組合連合会は3月2日、「学生の意識と行動に関する研究会」の第50回会合を東京都内の大学生協会館で開催した。テーマは「東日本大震災から15周年に改めて考える、大学による防災・減災・被災地支援の継続的取り組み」。会場とオンラインを併用するハイブリッド形式で実施され、大学関係者やメディア関係者など38人が参加した。

 研究会では、工学院大学建築学部まちづくり学科教授で防災減災教育センター長の村上正浩氏が講演。「TKK3大学連携プロジェクト 防災・減災・ボランティアを中心とした社会貢献教育の展開」と題し、大学における防災教育や被災地支援の取り組みを紹介した。

 TKK3大学連携プロジェクトは、東北福祉大学、工学院大学、神戸学院大学の3大学が連携して進める教育活動。東日本大震災以前から交流を行っており、震災後は学生ボランティアや防災教育の取り組みを継続している。建築系の学生が避難所で段ボールを加工して机や仕切りを作るなど、専門分野を生かした支援活動も紹介された。

 講演後には、大学生協の学生委員長による防災・減災の取り組み報告が行われ、会場やオンライン参加者を交えた討議が行われた。

 2026年は東日本大震災から15年、熊本地震から10年の節目にあたる。大学生協連は今後も広報活動などを通じ、防災・減災に関する取り組みの発信を強化するとともに、学生や教職員の関心を高める活動を進めていくとしている。

英検協会と宇都宮大学、AI英語学習と4技能評価を組み合わせた教育高度化プロジェクト開始

 日本英語検定協会は、宇都宮大学と連携し、AI英語学習と4技能評価を組み合わせた大学英語教育高度化プロジェクトを2026年4月から開始すると発表した。生成AIを活用した英語学習アプリと英語4技能テスト「英検IBA」を組み合わせ、学習と評価を連動させた新たな教育モデルの構築を目指す。

 2026年度は、宇都宮大学の全学英語プログラム「EPUU(English Program of Utsunomiya University)」にAI英語学習アプリを導入。学部1、2年生約2000人を対象に授業内外で活用し、課題やeラーニングの学習履歴と合わせて学習状況を把握し、学習習慣の形成を促す。

 学習成果の測定には、CEFRレベルを表示する団体向け英語テスト「英検IBA」を活用し、Reading、Listening、Writing、Speakingの4技能の伸長度を可視化する。これにより「学習→測定→改善」のサイクルを確立し、エビデンスに基づく教育改善を進めるとしている。

 さらに両者は、学部ごとの専門分野に応じた専門英語教育(ESAP=English for Specific Academic Purposes)の体系化も検討。卒業後に必要とされる英語能力を明確化し、専門分野に特化した英語教育の設計を目指す。

 また、大学で得られた教育データや知見を地域産業にも活用する構想もある。北関東の自動車メーカーなどを対象に「モビリティAI英語教育」として展開する可能性を検討し、学生から社会人までを対象とした英語教育連携の拡大を視野に入れる。

 2026年度は学内での導入と効果検証を優先し、2027年度以降に専門英語教育の具体化や地域企業向けプログラムの展開を検討していく予定だ。

トランスコスモスと東京薬科大、2040年問題に向け薬剤師業務の変革で連携

 トランスコスモスは、東京薬科大学(東京都八王子市)と、2040年問題への対応を見据えた薬剤師業務の変革推進に関する連携協定を締結した。薬剤師不足や医療需要の増大が懸念される中、DX(デジタルトランスフォーメーション)やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の知見を活用し、薬剤師業務の効率化や次世代人材の育成を進める。

 日本では団塊ジュニア世代が高齢期を迎える2040年に向け、医療需要の拡大と医療従事者不足が同時に進む「2040年問題」が課題となっている。特に地方では薬剤師不足が深刻化する可能性があり、限られた人的資源の中で医療の質を維持するための業務改革が求められている。

 協定では、両者がそれぞれの知見を生かし、薬剤師業務の効率化を支援する新たなサービスの研究に取り組む。具体的には、薬剤師不足地域における業務改善策の検討や、DXやBPOの手法を取り入れた薬学教育プログラムの開発などを進める予定だ。

 また、薬学の専門知識とデジタル技術を組み合わせた教育・研究を通じて、変化する医療環境に対応できる次世代人材の育成にも力を入れる。地域包括ケアシステムの構築が進む中、薬剤師には地域医療への参画や多職種連携など、従来以上に幅広い役割が期待されている。

 東京薬科大学の三巻祥浩学長は「トランスコスモスのDX・BPOの知見を教育や研究に生かせる場ができた。薬学の専門性とデジタル技術を融合した教育を推進し、地域医療の課題解決に貢献したい」とコメントした。

 トランスコスモスの高山智司上席常務執行役員は「長年培ってきたDX・BPOの知見を薬剤師業務の効率化という新たな分野で活用し、地域医療課題の解決に貢献していく」と述べた。

 両者は今後、定期的な協議を通じて取り組みを進め、2040年を見据えた持続可能な地域医療体制の構築を目指すとしている。

東大・イオン・ウエルシア、フレイル予防で共同研究 薬局を拠点に実証開始

 東京大学とイオン株式会社、ウエルシア薬局株式会社は3月9日、フレイルおよびオーラルフレイルの予防・対策に関する共同研究契約を締結した。地域住民の健康寿命延伸を目的に、薬局を拠点とした高齢者支援モデルの実証を4月から開始する。

 実証は千葉県内のウエルシア薬局約20店舗で行い、来局する高齢者を対象にフレイルやオーラルフレイルのチェック、簡易測定を実施する。測定結果をもとに薬剤師が日常業務の中で介入し、生活習慣改善や医療機関への連携などを行うモデルの有効性を検証する。研究には、東京大学高齢社会総合研究機構の機構長で、フレイル研究の第一人者として知られる飯島勝矢教授の知見を活用する。

 フレイルは加齢に伴い心身の機能が低下し、健康と要介護の中間に位置する状態を指す。特に口の機能低下を示すオーラルフレイルは、全身のフレイルや要介護状態につながるリスクがあるものの、一般的な認知はまだ十分に広がっていないとされる。

 従来、自治体が実施するフレイル測定会は参加意欲の高い人に偏りやすく、支援が必要な層に届きにくい課題があった。今回の取り組みでは、日常的に利用される薬局を「測定・相談拠点」として活用することで、より広い層へのアプローチを目指す。

 また4月から約6カ月間で、全国約750店舗の薬剤師を対象にフレイル予防・対策に関する教育も実施する予定。フレイル、オーラルフレイル、多剤服用(ポリファーマシー)対策を一体的に扱う「次世代型かかりつけ薬局モデル」として、地域医療や介護分野との連携強化を図る。

 イオンは今後、食・生活・医療・介護を横断したサービスを通じて、地域住民の健康づくりを支援していくとしている。

東大・吉田塁研究室、教育×生成AIリーダー育成プログラム始動

 東京大学吉田塁研究室は2月16日、教育における生成AI活用を推進するリーダー育成プログラム第1期生の募集を開始した。締切は4月12日。4月1日からオンデマンド学習用動画を順次公開する。

 本プログラムは、教育現場での生成AIの適切な利活用を実践・推進できる人材の育成を目的とした完全オンライン型カリキュラム。受講料は無料で、企業・自治体・学校など所属を問わず参加できる。YouTube、Zoom、Googleドライブ、Slackなどのツールを利用できることが受講条件となる。

 カリキュラムはオンデマンド学習を中心に、理解度確認テスト(任意)やライブセッションを組み合わせて構成。中間課題として知識テスト、最終課題としてレポートとプレゼンテーションを課す。修了者には修了証を授与し、特に高い推進力が認められた受講者を「教育×生成AI活用推進リーダー」として認定する。受講者同士が情報共有できるオンラインコミュニティ(Slack)も設ける予定だ。

 代表教員の吉田塁准教授(大学院工学系研究科)は、教育工学や生成AIを専門とし、文部科学省の学校戦略DXアドバイザーも務める。近年は教育現場における生成AI活用の研究と情報発信に注力しており、「教育に関わる一人ひとりが生成AIを正しく理解し、リスクを踏まえた有効な実践を進めることが重要」と強調する。

 自治体や企業ごとに活用方針が分かれる現状を踏まえ、全国で志を同じくする実践者をつなぐことも本プログラムの狙いの一つ。専門知識がなくても理解できる内容とし、生成AIをめぐる最新動向や活用事例を体系的に学べる機会を提供する。

CAC、滋賀大彦根キャンパスの無人店舗に顔認証決済を提供

 株式会社シーエーシー(CAC)は、滋賀大学、滋賀大学生活協同組合、株式会社滋賀銀行と連携し、滋賀大学彦根キャンパス(滋賀県彦根市)のイニシアティブ棟に顔認証決済を活用した無人店舗を設置する。3月5日にプレオープンし、3月25日午前10時に正式開業する。

 本取り組みは「産学金連携」によるもの。大学が販売スペースを提供し、生協が商品補充・販売管理を担い、滋賀銀行が決済機能を提供、CACが顔認証を含むシステム開発と技術提供を行う。

 店舗は約150アイテム(飲料・菓子中心)を扱い、24時間・年中無休で営業する。利用には事前に専用サイトで顔情報と決済方法の登録が必要。セルフレジで商品を読み取り、カメラで顔特徴点を照合することで本人認証と決済を完了する仕組みで、手ぶらでの支払いを可能にする。利用対象は滋賀大学の学生・教職員に限られる。

 有人店舗の営業時間外でも購買を可能にし、キャンパスの利便性を高めるとともに、購買データや画像認識技術を教育・研究に活用する計画だ。将来的には、マーケティング演習やデータサイエンス分野の実習への展開も見込む。

 CACは2023年に滋賀大学とデータサイエンス分野での連携協定を締結しており、本件はその具体化の一環。顔認証にはサイバーリンク社のAI顔認識SDK「FaceMe®」を採用し、Webアプリ(登録・管理)とPOSアプリ(認証・決済)を開発した。

 IT技術を活用した無人店舗の実装を通じ、地域金融機関・大学・企業が連携し、実証と人材育成を両立させるモデルケースを目指す。

早稲田大、インパクトVC「WIC」設立 Deep Humanity掲げ社会課題解決へ

 早稲田大学は、社会課題の解決を目的としたインパクト投資を行うベンチャーキャピタル(VC)の設立を目指し、その運営会社となる「早稲田大学インパクト・キャピタル株式会社(WIC)」を設立した。2026年中のファンド立ち上げを視野に入れる。

 同大は2022年、ディープテック分野の創業投資に注力する早稲田大学ベンチャーズ株式会社(WUV)を設立。理工系技術の社会実装を支援してきた。これに対しWICは、テクノロジーに人文・社会科学の知見を掛け合わせる「Deep Humanity(ディープ・ヒューマニティ)」をコンセプトに掲げ、社会的幸福の実現を目指す点が特徴だ。

 背景には、AIの急速な発展により、テクノロジーのみでは解決できない人間や社会システムの課題が顕在化していることがある。教育格差や医療アクセス不足、地域衰退、高齢化、メンタルヘルスなどの領域で、倫理観と志を持つ経営者と連携しながら課題解決型ビジネスを育成する構想だ。

 WICは、投資成果を財務的リターンだけでなく「社会的幸福(Social Wellbeing)」の促進で評価する。具体的には、「選択の自由」「貢献機会の公正」「共感とリスペクト」「心の健康と充実」の4要素を軸に、投資判断やモニタリングを行う方針を示している。

 また、社会問題の解決そのものを収益源とする「良い利益(Good Profit)」の創出を重視。社会的インパクトと財務的リターンが正の相関を持つ投資モデルの確立を目指す。

 WICは2025年10月21日設立。資本金は1,000万円で、WICパートナーズ有限責任事業組合が70%、学校法人早稲田大学が30%を出資する。代表取締役には大野聡子氏(早稲田大学商学部卒、公認会計士)が就任した。

 早稲田大学は2050年に向け「世界人類に貢献する大学」への進化を掲げる。WICはそのビジョンの一環として、文理融合の総合知を基盤に、新たな資本主義の社会実装を目指す取り組みと位置付けられる。

島津製作所と同志社大、包括連携協定を締結

 株式会社島津製作所と同志社大学は、教育・研究における連携を推進する包括的協定を締結した。産学連携を通じ、サイエンスコミュニケーション分野の人材育成や共同研究を進め、社会への貢献を図る。

 協定では、「サイエンスコミュニケーター養成プログラムの開発・実施」「島津製作所の研究者・技術者と大学院生の共修」「新たな共同研究の創出および大学院生の参画」など、多面的な取り組みを展開する。

 同志社大学は2016年に「サイエンスコミュニケーター養成副専攻」を開設し、文理を横断した教育を実施してきた。一方、「科学技術で社会に貢献する」を社是に掲げる島津製作所は、これまでも同副専攻の受講生向けインターンシップを実施するなど協力関係を築いてきた。

 2026年度以降は連携をさらに強化する。新たに開発するオンデマンド講義を基礎コースとして提供するほか、大学院レベルの応用講義を対面で実施。これを全学規模の大学院共通教育「サイエンスコミュニケーションコース」として体系化し、大学院生と同社社員が共に学ぶ場とする構想だ。

 協定期間は2031年3月31日まで(更新の可能性あり)。両者は教育・研究指導、共同研究を通じて相互の発展と社会的価値の創出を目指す。

滋賀大学とPreferred Networksが連携協定を締結

 国立大学法人滋賀大学(学長:竹村彰通)は2月10日、株式会社Preferred Networks(PFN、代表取締役:岡野原大輔)と、国産生成AI技術の教育および社会実装を一体的に推進するための連携協定を締結したと発表した。これに伴い、2026年4月1日から、PFNが開発する国産生成AI基盤モデル「PLaMo™」を、滋賀大学の全学生・全教職員を対象に導入する。

 日本におけるAI分野は、研究開発や社会実装の両面で国際的な競争が激化している。日本初のデータサイエンス学部・研究科を設置した滋賀大学は、データサイエンス・AI教育研究の中核拠点として、新技術の積極的な利活用と、その影響やリスクへの配慮を両立させた取り組みを進めてきた。一方、PFNは深層学習を中心とする先端AI技術の研究開発と社会実装を手がけており、両者の知見を結集することで、国産生成AIの大学活用モデルの確立を目指す。

 今回の協定に基づき滋賀大学が導入するのは、生成AIチャットアプリケーション「PLaMo Chat」と、日本語翻訳に特化した「PLaMo翻訳」。国内大学としては先駆的な全学導入となり、教育・研究・業務の各領域での活用を通じて、生成AIの適切な利用に関する知見を体系的に蓄積・発信していく。

 教育・研究面では、教員が授業内容に応じて「PLaMo Chat」をカスタマイズし、学生に提供できる仕組みをPFNと共同で開発する。これにより、学生が早期から生成AIに触れ、実践的な活用スキルを身につけるとともに、教員の研究効率化や授業改善にもつなげる。滋賀大学は、生成AIを単なる学習補助ではなく、学生が主体的に活用する学習手段として位置づけ、思考力や判断力、表現力を高める教育環境の構築を進める方針だ。

 また、業務面では、学生サービスの向上や事務作業の効率化を図り、全学DX推進計画に基づくデジタル・キャンパス化を加速させる。教育・研究・業務を横断したAI活用により、「AIキャンパス」の実現を目指すとともに、得られた知見を他大学や社会へ発信していく。

 滋賀大学が「PLaMo」を選定した理由として、日本語の文法構造や文脈理解に強く、学術・業務文書への適応性が高い点に加え、海外サーバー依存を回避しやすく、研究情報や個人情報を扱う大学環境に適している点を挙げている。さらに、共同研究や実運用を通じた継続的な改善が期待できる発展型のAI基盤であることも評価した。

 滋賀大学とPFNは今回の連携を通じ、国産生成AIを活用した大学DXの先行事例を創出し、日本における生成AI教育・研究の新たなモデル構築を目指すとしている。

明治大学、大学発ベンチャーと知財譲渡契約 新株予約権を対価に社会実装を加速

 明治大学は、理工学部電気電子生命学科の小野弓絵教授が設立した大学発ベンチャー、フラクセラ・メディカル株式会社(東京都文京区)と、新株予約権を対価とする知的財産権の譲渡契約を締結した。契約は2026年1月8日付。大学の研究成果を活用したスタートアップ育成と、医療分野での社会実装を一体的に進める狙いだ。

 フラクセラ・メディカルは、2025年10月に設立された明治大学発ベンチャーで、研究用機器や医療機器の開発・製造・販売を手がける。近赤外光を用いて組織血流や酸素消費を非侵襲で可視化する光工学技術を強みとし、「手遅れにしない医療」の実現を掲げている。

 今回の契約では、明治大学が保有する知的財産権を同社に譲渡し、その対価として新株予約権を取得する。大学側は、研究成果の社会還元を進めるとともに、ベンチャーの成長を中長期的に支援する仕組みを整えた形だ。

 小野教授は、近赤外光による血流計測技術について「従来は可視化が難しかった組織深部の血流を連続的に測定できる」と説明。糖尿病による血管障害の検出や運動生理学分野への応用に加え、国立循環器病研究センターとの共同研究を通じ、重度循環不全患者の末梢循環障害を早期に捉える医療機器としての実用化を目指しているという。

 フラクセラ・メディカルは、医療従事者、工学研究者、学生が連携し、医療現場の未解決課題に挑む体制を構築。明治大学理工学部の研究成果を基盤に、研究から事業化までを一貫して進める。

 大学発ベンチャーを巡っては、研究成果の社会実装や知財活用の在り方が課題となっている。新株予約権を対価とする今回の知財譲渡は、大学とスタートアップがリスクと成果を共有する新たなモデルとして注目されそうだ。