Archive for: 4月 2021

延期された新500円硬貨 11月に発行

 政府は4月27日の閣議後の記者会見で、偽造の防止を目的に素材などを変えた新しい500円硬貨の発行時期が今年11月になると発表した。新型コロナウイルスの影響で、硬貨を使う機器の改修作業が遅れているとして延期していた。

 財務省は改めて事業者に、ATMや券売機などの機器の改修状況を確認し、残り半年程度で対応が可能だと判断した。ATMは8~9割、鉄道の券売機は7~8割が更新を終えた。

 新しく発行される500円硬貨は、図柄は現在とほぼ変わらないが、現行のニッケル黄銅に白銅などを加えた2色構造にするほか、通貨の縁にあるギザの一部をより粗い形状にした。21年度は2億枚程度を発行する。

 財務省によると、現在の500円硬貨は、およそ50億枚流通している。新しい硬貨が発行されたあとも引き続き使用できる。

月刊私塾界2021年5月号(通巻481号)

巻頭言

「残余のリスク」という概念をご存知だろうか。一定の被害想定に基づいて様々な安全措置や防護措置を講じても、完全にはなくすことができないリスクを指す。例えば、東日本大震災における東京電力福島第一原子力発電所(イチエフ)過酷事故だ。想定された震度を上回る地震が起き、想定されていない被害が発生するリスクなどである。

原子力のリスクをゼロにすることはできない。イチエフ事故は、想定外の事故という残余リスクを許容することの危険性を示した。万一事故が起きたときの損害は、事前に計算できないほどの規模になる危険がある。

 新型コロナウイルス感染症に対しては細心の注意を払っていることと思う。しかし、現在、新型コロナウイルスの変異株の感染が広がっている。4月6日時点の変異株の年代別の感染者は、40代がもっとも高く15%。10歳未満は10%。従来株では10歳未満は3%と低い(朝日新聞デジタル4月7日版参照)。年少者の割合が増加している。この割合の増加は学習塾にとり厳しい数値だ。おそらく本号が届く頃、大阪や東京では殆どが変異株に置き換わっているであろう。そして、緊急事態宣言が再発令されているかも知れない。

 ウイルス対策が自己都合になってはいないだろうか。建物の構造上、換気扇の設置が難しい。費用の兼ね合いで、空気清浄機の台数が不十分だ。そもそも生徒の密を完全には防げない、などなど。

 更に、残余のリスクが存在する。

(如己 一)

目次

  • 6 CatchUp1 成基学園 TAMランド 成基コミュニティグループの0歳から5歳まで 一貫して預かるTAMランドが栗東駅前に開園 同グループが手がける保育園は3年で6園に
  • 8 CatchUp2 セイコーエプソン株式会社 遠隔印刷・解答スキャンでオンライン指導を手厚く
  • 10 CatchUp3 AIC国際学院広島 初等部
  • 16 挑む私学 西武学園文理小学校 国際社会をリードする人材を育むために
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 46 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 47 【特集】 教育ICT考2021 S/S
  • 76 TOP LEADER Interview SAPIX YOZEMI GROUP 共同代表 髙宮 敏郎 氏 教育を変えるには、 カルチャーを変えることから。
  • 88 教育サービス業界 企業研究(102) 株式会社河合塾One
  • 91 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(327)
  • 92 疾風の如く(142) 建文塾(京都府) 塾長 関 国暘 さん
  • 94 好機到来(73) テラコヤイッキュー(千葉県船橋市) 代表 渡邉 靖子 さん
  • 96 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(96)
  • 98 白書界隈徘徊話(74) 西村克之
  • 100 自ら動き出すチームにする方法(80) 中谷彰宏
  • 102 塾の家計簿(48)
  • 104 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(94)
  • 105 芸術見聞録(94)
  • 106 わが子、就学中(2)
  • 107 塾長の机
  • 108 為田裕行の「教育ICT行」(74)
  • 109 10¹⁵ PETA(2)
  • 110 1981(26)
  • 111 Opinion from School(23)
  • 112 林明夫の「歩きながら考える」(189)
  • 114 新・授業改革を目指して(120) 石川幸夫
  • 116 私塾界インサイト(38)
  • 120 未之知也(95)
  • 122 咲かせよ桜(75) 小林哲夫
  • 126 論点2021(5) 「令和の日本型学校教育」の何故
  • 130 編集後記
  • 132 Book Review
  • 134 塾長のためのガジェット講座

多摩美 全学生の個人PCでのAdobe Creative Cloud無償利用可能 新たにオンライン講座を活用した学生サポートを開始

 多摩美術大学(東京都世田谷区、八王子市 学長: 建畠晢)は、アドビ株式会社が提供する「デジタルクリエイティブ基礎講座オンライン版」を活用した学生サポートを、国内の大学で初めて実施する。
 同校は、全学生のデジタル制作を支援する多摩美術大学メディアセンターの取り組みの一環として、本学では2016年より個人のパソコン1台に限りAdobe Creative Cloudを無償で利用可能にしている。
 このたび、アドビ社の協力を得て、同社制作のオンライン版の講座映像を活用して学生対象のセミナーを開催したり、授業に利用したりすることができるようになった。
 同校は学生の創作活動を支援するため、アドビ社とAdobe Creative Cloud利用に係る包括契約を結んでおり、学内の全パソコンで同社のデジタルクリエイティブツールを利用できる体制を整えている。2016年からは「学生オプション」を導入し、全学生が個人のパソコン1台に限りAdobe Creative Cloudを無償で利用することができるようにしている。2021年4月からはAdobe Creative Cloudのアカウントを全学生に、自動的に付与するようにした。
 また、同校メディアセンターでは、Adobe Creative Cloudの利用促進と初心者へのサポートを目的に毎年アドビから講師を派遣してもらい、同社のデジタルクリエイティブツールを学ぶセミナーやワークショップを開催してきた。しかし、2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、こうしたセミナーの開催ができなった。

■「デジタルクリエイティブ基礎講座オンライン版」について
 同社では他にも国内複数の大学でAdobe Creative Cloudを通してクリエイティブな感覚を養う授業を開講していたが、コロナ禍により急遽オンラインでの授業に切り替えざるを得なかった。今回、同校に提供されるのは、そのときの経験と知見を生かして制作されたもの。構成・レイアウト、タイポグラフィ、造形、色彩、動画編集など7つの項目があり、それぞれ講義と演習の2部構成となっている。同社のデジタルクリエイティブツールを用いてどう表現するか、どうアイデアを可視化するかを体系的に学ぶことができる。
 同校メディアセンターとアドビ社で今年度のサポートセミナーの開催について協議したところ、コロナ禍の収束の見込みが立たない現状で例年通りの対面での開催ができるかどうか不透明であること、また、オンラインのほうがより多くの学生が参加可能となることなどから、今回、国内の大学では同校が初めてこの「デジタルクリエイティブ基礎講座オンライン版」が提供されることになった。

■多摩美術大学メディアセンターについて
 多彩なメディアや技術に対応するコア・センターとして2001年に開設されたメディアセンターは、八王子キャンパスおよび上野毛キャンパスの全学生が利用できる共同施設。3DCG映像の制作が可能な映像センターをはじめ、3D加工やVRコンテンツ制作を支援するstudio FabCave、撮影スタジオや暗室を備えた写真センター、樹脂・金属・塗装・木材などさまざまな素材や加工方法を横断できる工作センター、自身の制作物の材料や考え方の糸口を見つけるための素材研究室CMTEL(シムテル)、コンピュータ基礎教育を推進する情報センターなどで構成。学生の制作の手助けとなる最先端の多様な機材や設備を提供するとともに、コンピュータやインターネットに代表される新しいデジタルメディアを駆使した、デジタルとアナログの融合による作品制作の支援も行っている。

<参考>
多摩美で使えるクリエイティブな機能
https://a.tamabi.ac.jp/function/
メディアセンター概要
https://www.tamabi.ac.jp/mc/index.htm

追手門大手前中・高 ロボットサイエンス部 マレーシアの高校生とオンライン交流

 コロナ禍で様々な教育イベントが延期となる中、追手門学院大手前中・高等学校(大阪市中央区、校長:濵田賢治)では、ロボットサイエンス部の生徒たちが「コンピュータサイエンス」をテーマにオンラインを活用してマレーシアの高校生たちと交流を深めている。追手門大手前中・高ロボットサイエンス部は2014年から6年連続世界大会出場の実績がある。

 この取り組みは、これまでロボコン世界大会で直接、世界中の若者と交流を深めてきたロボットサイエンス部の伝統をコロナ禍でも継続していこうと、マレーシアのプログラミング教育の先進校といわれるSMJK Chung Hwa Tenom高校の生徒と、オンラインで定期的に意見交換をしているもの。

 初回は2021年1月27日に開催し、お互いの国の文化や学校の特徴などを英語で紹介し、意見交換をおこなった。参加した高校一年の生徒は「英語が上手か下手かではなく、感情や気持ちを表現する大切さを感じた。」と振り返っている。
 2回目は3月24日に開催しテーマは「コンピューターサイエンス」。追手門学院大手前からは、コンテストに向けSDGsをテーマにしたロボット開発に取り組んでいることを紹介したり、ロボットの操作に必要なプログラミングやロボット製作を仲間と協働して取り組むことでチームワークやコミュニケーション力が養われていることなどを報告したりした。
 発表した高校一年の生徒は「マレーシアでは小学生からコンピューターサイエンス教育が行われ、プログラミングやロボットについて触れる機会が早いことに驚いた」と話していた。
 3回目は、「好きなこと」そして「夢」をテーマに交流する予定で、生徒たちは自分たちの夢の発表に向け、準備に取り組んでいる。

【3回目のオンライン交流概要】
日 時:2021年5月10日(月)18:00~18:30
会 場:追手門学院大手前中・高等学校 テックラボ(大阪府大阪市中央区大手前1-3-20)
参加者:ロボットサイエンス部の高校生9人

※当日は、リーダーと顧問はテックラボで、他のメンバーは自宅からオンラインで実施。
※セキュリティの都合上、取材する場合は事前に広報課(072-641-9590)へ。

追手門学院大手前中・高等学校HP:https://www.otemon-js.ed.jp/
追手門学院大学HP:https://www.otemon.ac.jp/
追手門学院ニュースメディアOTEMON VIEW:https://newsmedia.otemon.ac.jp/

学書 「デジタルドリル 中学生版」をウズベキスタン語にローカライズ。ウズベキスタン国の課題解決を目指す

 教育図書教材の出版社の株式会社学書(愛知・名古屋、田村 茂彦 代表取締役)は【JICA/2020 年度第二回中小企業・SDGs ビジネス支援事業~案件化調査(中小企 業支援型)~】に於ける、学書が企画した「ウズベキスタン国理数系教育の地域格差改善及び副教材 不足課題解消のための案件化調査」 が採択されたことを発表した。
 理数系教育の地域格差改善及び副教材不足という案件化調査を通じて、学書のデジタル商材 「デジタルドリル 中学生版」(数学)を現地向けにローカライズし、安価で高品質なウズベキスタン語教材の提供ビジネスの展開を図ることで、ウズベキスタン国の課題解決への貢献を目指す。

 デジタルドリル(中学版)は表示された問題を見て解答をノートに書き、画面上で答えを確認し自己採点する学習形式。 デジタルコンテンツとして「繰り返し学習できる形態」に加えて、 「テキスト教材の良さ」を兼ね備えたより実践的なデジタル教材だ。

対象学年:中学1〜3年生(主に高校入試向け)
対象教科:英語・数学・理科・社会 民間教育現場の皆様に「個別指導」「集団指導」「家庭学習」として活用できる。 詳細は【デジタルドリル(中学版)】WEB特設サイトへ。
 https://www.gakusho.com/digital-drill-jh/

コンビニのコピー機を活用した「Z会の通信教育」答案提出サービス「ポストZ@コンビニ」の「大学受験生向けコース」答案提出開始へ

 株式会社Z会(静岡・三島市、藤井 孝昭 代表取締役社長)は、シャープマーケティングジャパン株式会社(大阪・八尾市、中山 藤一 代表取締役社長)のサービスを採用し、2021年3月1日より、下記各コンビニエンスストア店舗に設置されたマルチコピー機を活用した、「Z会の通信教育」答案の提出サービス「ポストZ@コンビニ」を開始している。2021年5月1日より、新たに「大学受験生向けコース」を提出対象に加えた。
 対象のコンビニエンスストアはファミリーマート、ポプラグループ、ローソン(50音順)
 このサービスは、上記各コンビニエンスストア店舗に設置されたマルチコピー機のスキャニング機能やデータ伝送機能を活用して、答案を提出する際の利便性向上や答案返却までのスピード化を図るもの。

マルチコピー機を活用した答案提出サービスの概要

(1)対象答案 Z会の通信教育
 中学生テキストコース
 高1・高2生向けコース(テキストスタイル)
 大学受験生向けコース
(2)開始日 大学受験生向けコース:2021年5月1日
中学生テキストコース、高1・高2生向けコース(テキストスタイル):2021年3月1日
(3)スキャン料金・利用手順 答案両面で30円(A4、A3サイズいずれでも同額)
〈利用手順〉
1.コンビニエンスストアのマルチコピー機でZ会のサービスを選択
2.会員番号とパスワードを入力してログイン
3.答案をスキャン
4.そのままマルチコピー機から送信

集英社文庫新刊「金の角持つ子どもたち」5月20日発売

 2021年5月20日に集英社文庫から新刊として藤岡陽子著「金の角持つ子どもたち」が発売される。
 小学6年生で中学受験を決意した俊介、その決意を支援する家族、その決意に秘められた思い。
 俊介を指導する塾講師、加地は「子どもの頭には金の角が見える」と言う。
 ストーリーは家族、俊介本人、そして俊介を指導する塾講師のそれぞれの立場から詳細に語られる。
 著者の取材力は圧巻だ。保護者との面接・面談、進路指導時の描写はもちろん、合宿や日々の授業の描写もそれぞれの立場で非常に細やかに表現され、「塾の日常」がありありと浮かぶ。弊誌読者の皆様が自分の若い頃を思い出すかもしれない。
 塾の若手、生徒、悩む保護者に勧めるなど、月刊私塾界読者の皆様にぜひ読んでいただきたいおすすめの小説です。

金の角持つ子どもたち
著:藤岡陽子
集英社文庫
2021年5月20日発売予定
定価:660円(税込)
文庫版/288ページ

FCE「学校×スタートアップ企業」をつなぐ「サービス実証実験支援事業」第2弾連携開始

 株式会社FCEエデュケーション(東京・新宿区、尾上 幸裕 代表取締役)は、EdTechなど教育分野のICTサービスを開発するスタートアップ企業向けに、学校現場での「実証実験」機会を提供する「サービス実証実験支援事業」第2弾として、習慣化促進アプリ『みんチャレ』を提供するエーテンラボ株式会社(東京・渋谷区、長坂 剛 代表取締役CEO)と中高生向け振り返り力向上手帳『フォーサイト手帳』事業において連携、実証実験を開始。中高生の行動変容や習慣化促進など「セルフマネジメント」力を高めること目的とした、新しいオンラインサービスを提供する。

「学校×スタートアップ企業」をつなぐ、サービス実証実験支援事業とは?

 FCEの持つ、効果的な教育手法を求める学校法人(小中高等学校)とのネットワークを生かし、ICT・EdTechサービスを展開するスタートアップ企業と、該当するサービスのテスト導入に賛同を得た学校に対し、サービスの「実証実験」の機会を提供するもの。学校教育分野におけるICTサービスの成果創出や導入ノウハウの抽出および成果事例収集等を目的とし、このような取り組みに協力してくれる学校とスタートアップ企業とマッチングについて支援を行う。

株式会社COMPASS全国知事会にて慶應義塾大学中室研究室とAI型教材「Qubena(キュビナ)」の活用による学力への効果検証を実施

 株式会社COMPASS(東京・千代田区、小川 正幹 CEO)は、全国知事会の「これからの高等学校教育のあり方研究会」において、慶應義塾大学中室研究室が実施した「ICTを活用した教育・オンライン教育に係る効果検証」へCOMPASSが開発するAI型教材「Qubena(キュビナ) 」を提供し、Qubenaの活用による学力への効果検証を実施したことを発表した。
「これからの高等学校教育のあり方研究会」は、全国知事会として、公立高等学校等の設置者の立場から、様々なテーマを設定し、幅広い議論を通じ高等学校教育のあり方を研究し必要な提言等を行うために昨年度設置された。この研究会において、現在、高等学校においても整備が進められているICT環境の有効な活用方法における検討のため、慶應義塾大学中室研究室により「ICTを活用した教育・オンライン教育の効果検証」に係る実証事業が実施され、Qubenaの提供及び学校での活用におけるサポート等を行った。

 実証の結果、Qubenaを利用したクラスが利用しなかったクラスと比較して、学力テストのスコアが統計的に有意に高い結果となり、数学の学力向上が見られた。また、この効果は特に就学支援金受給世帯の生徒に大きく、Qubenaの利用は保護者の経済状況による学力格差の縮小をもたらす可能性も示唆された。

<実証概要>
◆参加県市:宮城県・宮崎県・熊本市・長野県・三重県・島根県
◆対象:上記県市の公立高校8校の高校1年生637名
◆実証期間:2020年12月~2021年2月
◆実施方法:
・授業においてQubenaを活用し、生徒一人ひとりに応じた個別最適な学習に取り組む。さらに、各学校の状況に応じて、家庭学習で活用するなどの工夫を講じることとし、柔軟に活用する
・対象教科は数学とする(主な単元:三角比、データの分析等)
・効果については、2020年12月と2021年2月に学力テストを実施し、Qubenaの使用クラスと未使用クラスの学力の伸びを測定すると共に、質問紙調査を行い、生徒一人ひとりの学習観や、授業への苦手意識・理解度等の変化等を把握する

<検証結果概要>
数学の授業内で AI ドリル「Qubena(キュビナ)」を使用するクラス(9クラス、637名)、使用しないクラス(10クラス、340名)にランダムにふりわけ、ICT と AI ドリルの利用が学力向上に資するかどうかを検証した。その結果、Qubena使用クラスの方が未使用クラスよりも、学力テストのスコアが 約4.5%高い結果となった。この差は 1%水準で統計的に有意な差であり、短期間の使用ではあるものの、数学の学力向上が見られたと考えられる。また、この効果は特に就学支援金受給世帯の生徒で大きく、Qubena使用クラスの方が18.5%高い結果となった。この結果から、AI ドリルの利用は保護者の経済状況による学力格差の縮小をもたらす可能性が示唆された。また、生徒の学習観の変化も見られ、介入群の生徒は「良い学習環境に身を置くことで勉強が身につく」という「環境志向」が統計的に有意に上昇していることもわかった。

注)
1. 本実証事業では、数学への効果を検証したが、実証期間中、数学の学習においてQubenaを使用しなかったクラスに対しては、英語の学習においてQubenaの提供を行った。
2. 本実証事業では、「Qubena 高校数学 IAIIB by 河合塾」と「Qubena 中高英語 by 河合塾」の2サービスを利用。
3. 各県教育委員会、学校の協力を得て、学力テスト、質問紙調査、行政記録等はすべて匿名加工されたデータを分析している。
4. 検証結果の詳細については以下より確認できる。
http://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/2/20210324_5%20shiryo3.pdf

受験を通して、多くの受験生・保護者が、「学力の向上に役立った」「精神的成長に役立った」「力を試すことができた」と回答

 株式会社栄光(東京都千代田区、下田勝昭 代表取締役社長)が運営する栄光ゼミナールが、2021年1月23日~3月31日にかけて、この春、国立・公立・私立高校を受験した受験生とその保護者を対象に、「受験生アンケート」を実施。その結果を公表した。

 受験生に、第一志望校を決定した時期を聞いた。最も多かったのは「中3の夏休み以降」(60.4%)。

「高校受験では、内申点と試験の合計点で合否判定を行うことや、内申点が出願条件であるなど、内申点が影響する場合が多い。また、模試の結果を参考に志望校選びを行う受験生も少なくない。そのため、内申点や模試の結果が出る中学3年生の夏休み以降に、第一志望校を決める受験生が多いと考えられる」と栄光は分析している。

 志望校・受験校を選ぶ上で、「学習面について重視したポイント」を、受験生・保護者にそれぞれ聞いた。

 受験生・保護者ともに最も重視したポイントは「成績・学力に相応」(受験生41.0%、保護者66.0%)だ。

 次いで、「学校の教育方針・校風」「大学への進学実績」と、受験生も保護者も、学校選びの際に学習面で重視した点は、同じ傾向にあることが明らかとなった。

 一方で、保護者よりも受験生が重視する点は「校舎や設備が整っている」「系列高校・大学に内部進学ができる」だった。

 また、「コロナ対応が適切だった」点を重視した受験生・保護者はわずかだった。

「学校選びにおいて、各学校のコロナ対応を気にかけていた家庭も一定数いるが、その他の項目の方が、より重視される傾向にあった」と栄光はコメントしている。

 受験生と保護者に、「『受験』とはどのようなものだったか」を聞いた。

 多くの受験生・保護者が、「学力の向上に役立った」「精神的成長に役立った」「力を試すことができた」と感じていることを挙げた。

 データ量の関係もあるだろうが、「親子のきずなが深まった」と感じたのは、保護者18.1%に対して、受験生は0%という結果は、多感な中高生の心情が垣間見える。

 アンケートでは、自由回答式でいくつかの質問もしている。

 受験生に対して「おすすめの勉強方法を教えてください」と聞いたところ、

・スマホはクローゼットなどの見えないところにしまい、絶対机には置かない。通知はオフにする。

・暗記は朝と夜だけでなくお風呂、トイレ、食事中、移動時間、登校中など細かな時間を有効に使う。

・時刻や場所など、日々の生活で勉強の基本とするルーティーンを決めて学習を進めた。

といった回答があった。

 また保護者には、「受験期の子どもとのかかわりにおいて、どのようなことを心がけていましたか」と聞いたところ、

・心配なことはたくさんありましたが、とにかく本人を信じて口出しせずに見守りました。

・本人の意志を尊重しながら、情報を提供していきました。生活環境をできる限り整えて、勉強しやすい雰囲気を作ることを心がけました。

といったように、受験生を尊重した対応が多く寄せられた。中には、

・反抗期と重なり、ぶつかることも多々ありましたが、勉強から逃げないことが、将来の自分の為になることを重ね重ね伝えました。

 といったようなこの時期だからこそ難しい局面がある中で、保護者の誠実さが見られる意見もあった。

 新型コロナ禍の影響については、

「コロナの影響で、公立高校では出題範囲の縮小等がありましたが、調査結果に例年と大きな傾向の変化は見られませんでした」と栄光はコメントしている。

〈調査概要〉

調査対象:栄光の教室に在籍していて、2021年に国立・公立・私立高校を受験した受験生とその保護者

調査方法:インターネット調査

調査期間:2021年1月23日(土)~3月31日(水)

回答者数:受験生144人、保護者94人

〈詳細〉

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000318.000049291.html