成基、京都府綾部市と「共同利用型メタバース教育支援センター」を9月開設

府県をまたぐ5自治体が共同利用——出席日数への算入も

 株式会社成基(京都府京都市、佐々木雄紀代表)は、京都府綾部市(四方源太郎市長)と連携し、「複数自治体による共同利用型メタバース教育支援センター」を今年9月に開設すると発表した。5月26日に綾部市役所で記者会見が行われた。

 同センターは、インターネット上の仮想空間(メタバース)を活用し、不登校の児童生徒の学習・交流を支援するもの。自宅からタブレットやパソコンでアクセスし、アバター(自分の分身)で参加できる。顔出し不要で自宅から参加できる仕組みは、学校や対面型施設への登校に抵抗を感じる子どもにとって新たな居場所となることが期待されている。

 センターでは5教科の指導に加え、児童生徒が自ら課題を設定して取り組む「探Q授業」やオンライン交流活動を実施する。開校日は月・水・金の週3日。特筆すべきは、このセンターへの参加日が学校の出席日数に算入される点だ。制度上の後ろ盾が整ったことで、教育委員会との連携による本格的な活用が見込まれる。対象は小学4年生から中学3年生で、綾部市では当初10人を予定している。

 本モデルの最大の特長は「共同利用型」であることだ。綾部市単独ではなく、今年度は京都府・滋賀県・岐阜県の5自治体が府県を越えて共同でインフラを利用する。財政規模の小さな自治体でも高水準の支援環境を整備できる点が評価されており、広域連携モデルの先駆けとして注目される。

成基の佐々木雄紀代表(写真左)と綾部市の四方源太郎市長

 背景には不登校問題の深刻化がある。綾部市教育委員会によれば、市内では2025年度末時点で中学生34人、小学生46人が不登校とされている。全国的にも不登校児童生徒数は過去5年で約2倍に膨らみ、過去最多を更新中だ。四方市長は会見で「今の時代の子どもたちにはありうるコミュニケーションの方法。また学校に来られる第一歩になれば」と期待を語った。

 成基は1962年創業。京都府を中心に関西で進学塾を展開するほか、オンラインフリースクール「シンガク」を運営し、京都市など複数の自治体との連携で学校復帰事例も生まれている。今回の取り組みを足がかりに、さらなる自治体への広域展開が見込まれる。

埼玉県本庄市が全小学校のプール統合へ 屋内温水施設を新設、29年秋供用開始

 埼玉県本庄市は、市内全12校の小学校にある屋外プールを一つに統合し、新たに屋内温水プールを建設すると発表した。建設予定地は同市児玉町にある公民館の跡地で、2029年9月の供用開始を目指している。
 背景には、既存の屋外プールの老朽化が進んでいることや、近年の猛暑による児童の健康管理への配慮がある。屋内施設に移行することで、気候の影響を受けることなく年間を通じた計画的な授業実施が可能になる。また、教職員の管理負担を減らすとともに、施設の維持管理費を統合しない場合と比較して、今後30年間で約11億円削減できる見通しだ。
 計画されている施設は2階建てで、25メートルプールが6レーン設置され、最大で120人の収容が可能となる。さらに、多目的室や会議室などの生涯学習施設を併設し、多世代が活用できる地域の交流拠点としての役割も担う。
 小学校での水泳授業は年間4回実施されるが、統合後もこの回数は維持される。授業以外の放課後や休日は一般開放され、年間で約6万6千人の利用が見込まれている。総事業費は約31億円から34億円と試算されている。
 県教育局によると、全小学校の水泳授業を集約して行うために公営プールを建設する試みは、県内の自治体で初めての事例となる。

神戸山手グローバル中高、共学化の背景に多文化共生の「グローバル教育」 “成長実感”ある学校づくりへ

 5月14日、学校法人濱名山手学院は関西国際大学尼崎キャンパスにて学校説明会を開催し、同法人の教育理念と、神戸山手グローバル中学校高等学校における教育改革の現状について説明した。

 冒頭で登壇した濱名篤理事長は、神戸山手学園の102年の歴史と、2020年の法人合併により誕生した同学院の歩みを紹介した。濱名氏は、法人全体の教育ミッションとして「『他者を尊重しつつ、主体的・能動的に自らの人生を切り拓く』ことができる人間を世界に送り出すこと」を掲げ、その実現に向けて、コミュニケーション、コンシダレーション、コミットメントの「3つのC」を重視していると語った。

 これを背景に関西国際大学では、「自律性」「社会的貢献性」「多様性理解」「課題発見・解決力」「コミュニケーション力」「専門知識・技能の活用力」の6項目をルーブリック評価で測定する「KUIs学修ベンチマーク」を取り入れ、学生の成長を可視化するなど、独自の教育を推進している。その成果の一つとして、文部科学省の全国学生調査・ポジティブリストでは、540大学中、上位15%に入る項目数が全国最多となっている。

 続いて、神戸山手グローバル中学校高等学校の平井正朗校長が、同校の現状と教育活動について報告した。

平井正朗 校長

 同校の最大の特徴は、多文化共生が日常化した学習環境にある。海外ルーツの生徒が全体の36%を占め、17カ国の生徒と7カ国の教員が在籍している。

 また、同校の英語教育では、フルタイムのネイティブ教員12名を含む20名超の教員が授業に関わり、家庭・情報・音楽などを英語で学ぶイマージョン授業を展開し、今年から数学・理科も通年実施している。グローバル選抜探究コースでは、日本人教員とネイティブ教員によるダブル担任制を採用し、GTECなどを通じてCEFRに基づく4技能評価も実施している。これらが功を奏し、中学1年終了時にはほぼ全員が英検3級レベルに到達。中学3年で2級や準1級、高校1年終了段階ではほぼ全員が2級レベルをクリアするなど、大きな成果を挙げている。

 生徒の主体性を重んじる校風は、クラブ活動の実加入率96%、延べ加入率140%超という数字にも表れている。複数クラブへの加入を認めていることも特徴だ。全24クラブのうち4分の1が全国大会に出場しており、陸上部とスポーツクライミング部では日本一に輝いた。

 さらに同校は、文部科学省の「DXハイスクール」に認定されるとともに、全国で3校のみが採択された「EDU-Portニッポン」の1校にも選ばれている。

 不登校生徒への対応では、大学の心理学部と連携したカウンセラーの配置や、ICTを活用した個別最適な学習を可能にする学習支援室も完備している。学校評価でも40項目に対し、4年連続で90%以上の肯定的回答を得ており、保護者の回答率は95.2%にのぼる。

 最後に平井校長は、学校選びについて「成長実感を期待できる学校かどうかが重要です」と述べた。

 説明会の締めくくりには、ネイティブ教員陣が紹介された。Cheska Kimberly先生は日本語と英語を交えながら、イマージョン授業を通じて英語を自然なコミュニケーションツールとして定着させ、多文化共生の環境の中で世界を広い視野で見つめられる人材を育てたいと語り、同校が目指すグローバル教育の可能性を印象づけた。

創造学園、ボッチャ×ロボットプログラミングの「ロボッチャ部」新設 STEAM教育と協働力育成を融合

 株式会社創造学園(神戸市)は、ロボットプログラミングとパラスポーツ「ボッチャ」を組み合わせた新たなSTEAM教育プログラム「ロボッチャ部」を発足した。2026年5月から活動を開始しており、プログラミング的思考力に加え、多様な人々と協働しながら課題解決に取り組む力の育成を目指す。ロボッチャは、ロボットをプログラミングしてボールを投げる競技で、プログラミング技術とスポーツの戦略性を融合した教育活動として注目されている。創造学園では、同プログラムを学習塾ブランドの枠を超えた独立事業として展開し、次世代型の学びの場として位置付ける。

 活動では、ロボットを目的の位置へ正確に動かすためのプログラミング技術だけでなく、対戦相手の動きを予測しながら戦略を立てる思考力も求められる。競技を通じて論理的思考力や問題解決能力の向上を図る。また、ボッチャの特徴である「誰もが参加できる競技」という特性を生かし、年齢や運動能力に関係なくチームで協力しながら取り組む環境を整備。多様な価値観を尊重しながら目標達成を目指すインクルーシブ教育の実践にもつなげる。さらに、競技中に発生する失敗や想定外の結果を分析し、改善策を考えて再挑戦するプロセスを重視。プログラムの修正や戦略の見直しを繰り返すことで、変化の激しい時代に求められるレジリエンス(回復力)や挑戦する姿勢を育むとしている。

 同社は、「AI時代には知識習得だけでなく、テクノロジー活用力と他者との協働力が不可欠」とし、ロボッチャ部を通じて、予測困難な社会を生き抜くための資質・能力の育成を進める考えだ。なお、6月6日には神戸市内の創造学園元町本部で、報道機関向けの体験会・説明会を開催する予定となっている。

旺文社「全国学芸サイエンスコンクール」作品募集開始 70回記念でスタートアップ部門を本格展開

 旺文社は6月1日、「第70回全国学芸サイエンスコンクール」の作品募集を開始した。1957年に創設された同コンクールは、小・中・高校生を対象とした国内有数の学術・文芸コンテストで、昨年度は全国から7万3,719点の応募が寄せられた。節目となる70回大会では、新たに「イノベーションジャンル」を設け、その中核として「スタートアップ部門」を展開する。

 同コンクールは、青少年の学術・科学・文芸活動の振興を目的に毎年開催されており、夏休みの自由研究や探究学習、部活動・課外活動の成果発表の場として広く活用されている。募集期間は9月24日までで、全国の小学生、中学生、高校生(海外日本人学校を含む)を対象とする。募集部門は、「理科自由研究」「自然科学研究」「社会科自由研究」「人文社会科学研究」などのサイエンス分野に加え、「絵画」「書道」「小説」「詩」「読書感想文」「作文・小論文」「写真」「ポスター・デザイン」などの学芸分野を含む全13部門。子どもたちが自身の興味や得意分野に応じて応募できる幅広い構成となっている。今回注目されるのが、新設されたイノベーションジャンルの「スタートアップ部門」だ。昨年度は特別企画として実施され、全国から634件の応募が集まった。地域活性化や社会課題の解決、未来の学校・教育などをテーマに、小学4年生から高校生までがビジネスアイデアを提案する。一次審査は企画書、二次審査はプレゼンテーション動画で行われ、アントレプレナーシップ教育や探究学習の成果発表の機会として期待されている。

 受賞作品には、内閣総理大臣賞、文部科学大臣賞、環境大臣賞などが授与されるほか、分野賞や学校特別奨励賞なども設けられている。最高賞となる内閣総理大臣賞には、賞状や記念品に加え、旺文社教育奨学金30万円が贈られる。近年、学校現場では探究学習やSTEAM教育、起業家教育への関心が高まっている。全国学芸サイエンスコンクールは、こうした学びの成果を社会に向けて発信する場として発展を続けており、70回大会では従来の自由研究や文芸活動に加え、課題解決型学習やイノベーション創出を重視する時代の教育ニーズを反映した内容となっている。

駿台とStudyplusが「共テ漢字力チャレンジ」を開催 共通テスト対策をアプリ上で支援

 スタディプラス株式会社は6月1日、学校法人駿河台学園が運営する駿台予備学校とのコラボレーション企画「共テ漢字力チャレンジ〜解いた分だけ未来の得点力に変わる!〜」を、学習管理アプリ「Studyplus」上で開始した。実施期間は6月30日までで、両者によるタイアップ企画は昨年に続き2年連続となる。同企画は、高校1〜3年生および浪人生を対象に、大学入学共通テスト対策として漢字・語彙力の強化を図るもの。駿台文庫の『生きる 漢字・語彙力〈四訂版〉』から厳選した20問を出題し、受験生がアプリ上で手軽に取り組める形式とした。

 参加者は「Studyplus」内の公式アカウント「駿台予備学校」をフォローし、チャレンジ結果をタイムラインで共有することで、抽選で30人に同書がプレゼントされる。教材として活用される『生きる 漢字・語彙力〈四訂版〉』は、大学入試頻出の漢字や慣用句約2500語を収録した受験対策書で、漢字力の向上に加え、語彙力や読解力の強化も目的としている。共通テストでは国語のみならず、各教科の文章読解力が求められることから、基礎的な言語能力の養成を重視した内容となっている。

 駿台予備学校は企画にあたり、「本質的な学力の育成」を重視する立場から、「日々の小さな努力を未来の得点力につなげるきっかけになれば」とコメント。ゲーム感覚で取り組める学習イベントを通じて、受験生の学習習慣の定着やモチベーション向上を後押ししたい考えだ。

 今回の取り組みは、受験生が苦手意識を持ちやすい漢字・語彙学習を継続的な学習機会へと転換するとともに、学習管理アプリを活用した受験指導の新たな可能性を示す事例として注目される。

国立美術館、パブリックドメイン作品1万4,063点を無償公開 教育・研究・創作で活用促進

5館総合目録から自由にダウンロード可能に モネ《睡蓮》など著作権保護期間満了作品を公開

 国立美術館を運営する独立行政法人国立美術館の国立アートリサーチセンター(NCAR)は5月29日、国立美術館所蔵作品総合目録検索システム(5館総合目録)において、パブリックドメイン作品の画像データ1万4,063点の無償ダウンロード提供を開始した。教育・研究活動や創作活動における活用を促進し、文化資源へのアクセス向上を図る。

 対象となるのは、東京国立近代美術館、国立工芸館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館の5館が所蔵する著作権保護期間満了作品で、12,190作品・14,063点の画像データを公開する。利用者は作品詳細ページから画像をダウンロードでき、利用規約に基づき出典を明示することで幅広く活用できる。同システムは、5館の所蔵作品を横断的に検索・閲覧できるデジタルアーカイブとして運用されており、今回の機能拡充により、学校教育や探究学習、美術教育、大学での研究活動などでの活用が期待される。公開作品には、国立西洋美術館所蔵のクロード・モネ《睡蓮》なども含まれる。

 近年、海外の美術館や博物館では、所蔵するパブリックドメイン作品の画像を積極的に公開するオープンアクセスの取り組みが進んでいる。今回の施策は、日本の国立美術館においてもデジタルアーカイブの活用を推進し、教育・研究資源としての美術作品の利活用を拡大する動きとして注目される。NCARは、「アートをつなげる、深める、拡げる」をミッションに掲げ、美術館のデジタル化やコレクション活用の促進に取り組んでおり、今回の公開もその一環。学校現場や高等教育機関においては、著名作品を教材として活用しやすくなることで、探究学習やSTEAM教育、デジタルアーカイブ教育の充実にもつながりそうだ。

東大合格者を数多く輩出し続ける秘密とは

神奈川、埼玉、愛知、岐阜で東進衛星予備校のFC教室を展開している、株式会社アイトップ(神奈川県横浜市)。東進内の東大合格者数1位を何年も記録するなど、高い実績を誇っている同社はこの度、新体制を敷くこととなった。その経緯や合格実績の秘密などを、新社長に就任した外山昌弘氏に取材した。

一致団結して難局を乗り切る

──今回、代表取締役社長に就任された経緯と、現在のお気持ちをお聞かせください。

外山昌弘氏

 前社長である岸陽一郎が、昨年4月に体調を崩してしまいました。当面は治療に専念するとのことから、神奈川・埼玉エリアに関しては私が、愛知・岐阜エリアに関しては船橋が、岸の立場を継ぐべきとの結論に至り、それぞれ新社長に就任。創業者である岸昭二郎が会長に就任しました。
 全社的な指揮を執った経験があったため不安などはありませんでしたが、業務が倍くらいに増え、昨年の4、5月頃の記憶は少し曖昧です。
 非常に有り難いのは、方向性が決まると一気にみんなの力が集まる社風で、岸が元気になるまで乗り切ろうと結束しています。


──社長になってから、どのようなことを意識していますか。
 とにかく馬力がある岸は、車のボディがどうであれ引っ張り、結果も出していました。
 一方、私は馬力が少ないので、ボディを細かくケアするかのごとく現場の意見を聞き、「引っ張る」のではなく「押す」ことを意識しています。
 社長就任直後の挨拶でも、「意見はいつでも聞くから」と伝えました。
 幹部とのコミュニケーションは取れていたと自負しており、意見は言いやすいのではないかと思います。
 ただ、勢いのある社風や、目標必達の厳しさを変えるつもりはありません。

圧倒的な東大合格実績の理由

──今年の東大合格者は88名と圧倒的ですが、その要因をお聞かせください。
 我々は東進の「東大特進協力校」に認定されていて、東大特進のコンテンツが使えます。これが高校に認知されるようになり、生徒が増え、東大受験者が増加したのが大きかったですね。
 さらに今年の東大入試は難しく、東大特進で演習を積んでいたのが効きました。

──実績を出し続けるために、組織としては何を重視していますか。
 毎月研修をおこなうなど、学生アルバイトである担任助手の指導に力を入れています。
 研修は一方的におこなうのではなく、「どういう復習に効果があったか」「いつ何をどれくらい解いたか」など、学生たちの経験を掘り起こす時間を設けるようにしました。これが社員の振り返りやスキルアップにもつながっています。

部活や学校でのイベントの応援に駆けつけることが、生徒募集にひと役買っている

 また同じ学力でも、その勉強法を信じているか疑っているかによって結果は違ってくるはずなので、「指導の一本化」も大切にしています。
 例えば「音読をしよう」と号令をかけても、「赤本のほうがいい」と考える生徒もいます。そういう時は決まって担任助手に相談するのですが、どの担任助手も「音読がいい」と言えば、納得して取り組むようになります。
 成績が伸びなかったら勉強法のせいにしがちですが、みんな音読で成績を伸ばしているのに自分だけ伸びなければ、自分の責任になります。
 勉強法のせいにさせないためにも指導の一本化は重要ですし、東進の講師たちは確かな勉強法を伝えてくれているので、私たちはそれを徹底するだけです。

共通テスト対策で基礎を固める

──共通テストでは「一般生平均+100点」を実現されていると伺いました。
 はい。上位生ほど共通テストを軽視しがちですが、実際に受かっている生徒は共通テストを徹底しています。先に共通テスト対策をしておくと、基礎が固まって応用講座の吸収力が高まるほか、課題点もいち早く見つけられるん
です。

スピード感を持って入学説明会への動
員をかけ、確実に生徒増へと繋げている


 東進の永瀬社長は+200点と言われているのでまだまだですが、共通テストはすごく意識していますね。
 今後は高2のうちに理科・社会を終わらせるなど、先取り学習を一段階早め、点数を上げていくつもりです。そのために必要なのが低学年からの指導であり、東進中学NETをしっかり活用したいと考えています。
 また神奈川は中高一貫校が多く、東進の「志指導」は間違いなくフィットするはず。全国統一テストの中高一貫校への配布を強化しながら、志指導も合わせて案内すれば、+150点、+200点もいずれ達成できると思います。

中学生の集客に力を入れていく

──近年、生徒募集が好調に推移しているそうですが、その要因をどのように分析していますか。
 一つはスピードです。2月、3月の面談では、動員を意識しながら入学説明会について案内し、必ず保護者も呼ぶようにしています。
 また実際の説明会は小回りが利くよう、1教室ごとに開催するなど、とにかくスピードを重視しています。
 そしてもう一つの要因が紹介です。内部生には高3生の共通テストの結果や、東大合格実績などを上手に〝自慢〟しているのですが、そうすると「この塾で間違いない」と帰属意識が高まるだけでなく、紹介につながるんです。

──今後のアイトップの成長戦略をお聞かせください。
 課題である低学年を、いかに集客するかですね。お伝えしたように、中高一貫校で全国統一テストの配布を強化するなど、今後は中学NETの生徒を増やしていきます。
 仮に昨対比150%を実現できれば、将来性がある会社だと、社員のモチベーションも上がるでしょう。
 また、これからの予備校・塾に求められる役割は、「学校のフォローアップ」だと考えています。
 学校をラクにしてあげる存在になれば、学校も生徒も我々もみんながWIN─WINの関係になれる。この分野で東進が果たせる役割は、とても大きいと考えています。

月刊私塾界2026年6月号(通巻542号)

巻頭言

「自分にはできる」という自信は原動力となる。これは多くのビジネスパーソンが直感的に理解しているだろう。ただし、組織を動かすには、個々人が持つ自信あるいは信念とは別に、もう一つの力が求められる。「このチームならできる」という集合的な信念、すなわち「集団的効力感」である。
 複数の要因の因果関係を統計的に検証する共分散構造分析を用いた結果、プロアクティブ行動(自ら率先して組織に良い影響を与える自律的な行動)を促す主要因が3つに絞られた。フォロワーシップ、自己効力感、集団的効力感だ。
 自己効力感という個人の信念は、成果を創出する上で確かに重要な土台となる。しかしその効果はあくまで個人の範囲にとどまる。フォロワーシップも同様だ。
 他方、集団的効力感は際立った特徴を示した。個人のプロアクティブ行動に加え、チーム全体のプロアクティブ行動に対しても、より強い影響を与えていた。
 集団的効力感は、チームに直接効くだけでなく、個人を経由する経路でも波及する。要するに二重の経路で組織を動かすのだ。これこそが集団的効力感を「組織変革のエンジン」と呼ぶべき理由だ。
 集団的効力感を高めるポイントを3つ提示する。
①小さな成功を「チームの物語」として言語化する
②世代を超えた相互の代理体験を設計する
③目標を「自分たち事」に翻訳する対話の場を設ける
 である。貴塾の集団的効力感や如何に。

(如己 一)

目次

  • 6 CatchUp 01 株式会社英俊社 次世代のリーダーを育む「知の作法」とは ──公立最難関校突破の決定版『偏差値70突破シリーズ』誕生秘話
  • 8 CatchUp 02 株式会社AICエデュケーション 成績管理を 成績管理を 「集める 集める」 から から 「活かす 活かす」 へ 「FLENS School School Manager Manager」 が変えた、 塾と家庭のコミュニケーション
  • 10 CatchUp 03 株式会社ウィザス 子供の主体性を引き出し 自己肯定感も向上する「PLS」(Positive (Positive Learning Learning System)
  • 12 HOT TOPICS 塾業界の未来を創る熱狂の1日「塾フェス2026FINAL」レポート
  • 14 塾長の決断(9) 岡崎塾「増やすこと」が目的ではない ──岡崎塾・岡崎正忠塾長が貫く、教室展開と人材育成の決断
  • 16 挑む私学 駿台甲府学園
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 48 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 49 【特集①】  株式公開企業塾2026年 2・3月期決算を読む
  • 60 【特集②】 教育ICT考2026〈後編〉
  • 75 特別連載企画 政策転換が促した進化 ──中国・民間教育の現在地
  • 80 HOT TOPICS② 私塾ネット設立25周年記念大会 「第23回 全国塾長職員研修大会」を開催
  • 82 HOT TOPICS③ 興学社 第43期入社式・年次総会を開催
  • 87 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(388)
  • 88 疾風の如く(203) ウラヤスプレイラボ(千葉県) 代表 佐原 光 さん
  • 90 現代学習塾経営概論(39)
  • 92 For Whom the 塾 Tolls(58)
  • 94 自ら動き出すチームにする方法(141) 中谷彰宏
  • 96 One Target(18) 的場一成
  • 98 PAPER REVIEW(27) 浅見貴則
  • 100 シン・ジュクジン(55)
  • 101 芸術見聞録(155)
  • 102 わが子、就学中(63)
  • 103 塾長の机
  • 104 為田裕行の「教育ICT行」(135)
  • 105 10¹⁵ PETA(62)
  • 106 キクチカラ(18) 菊地香江
  • 107 Opinion from School(83)
  • 108 林明夫の「歩きながら考える」(250)
  • 110 塾ソムリエの講師研修指南 西村則康(名門指導会代表 塾ソムリエ)(67)
  • 112 私塾界インサイト(99)
  • 116 塾はどこから来たか、塾は何ものか、塾はどこへ行くのか―そして私(55)
  • 118 咲かせよ桜(135) 小林哲夫
  • 122 論点2026(6) 私立大学250校削減案 少子化時代の高等教育を考える
  • 126 編集後記
  • 128 Book Review
  • 130 塾長のためのガジェット講座

お詫びと訂正

『月刊私塾界』6月号掲載内容に関するお詫びと訂正
『月刊私塾界』6月号の表2対向ページに掲載いたしました「私塾界 PREMIUM SEMINAR 2026」の開催日程につきまして、誤りがございました。
誌面では、
2026年12月4日(木)
と掲載しておりますが、正しくは、
2026年12月3日(木)
です。
読者の皆さまならびに関係各位には、ご迷惑とご混乱をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
なお、「私塾界 PREMIUM SEMINAR 2026」は、2026年12月3日(木)開催にて準備を進めております。詳細につきましては、決まり次第、本誌およびウェブサイト等でご案内いたします。
今後は確認を徹底し、再発防止に努めてまいります。

2026年6月
『月刊私塾界』編集部

文科省、民間人材の中途採用を強化 エンと連携し総合職・一般職を公募

国家公務員試験を免除 教育・科学技術政策に多様な知見取り込む

 エン株式会社は5月28日、文部科学省のキャリア採用を支援する「ソーシャルインパクト採用プロジェクト」を開始したと発表した。採用支援サービス「エン転職」「AMBI(アンビ)」「ミドルの転職」を通じ、「総合職」と「一般職」の公募を行う。今回の採用では、教育、科学技術・学術、スポーツ、文化芸術など幅広い政策分野を担う文部科学省が、民間出身者の知見や経験を取り込み、組織力強化を図る狙いがある。AI普及に伴う教育改革や次世代人材育成、研究基盤整備など、行政課題が複雑化・多様化する中、多様なバックグラウンドを持つ人材の確保を進める。募集するのは、将来的な幹部候補として幅広い政策領域を経験する「総合職」と、特定分野で専門性を高める「一般職」の2職種。いずれも、他省庁や自治体、国立大学への出向、海外留学などの機会が用意されている。

 特徴的なのは、従来の国家公務員試験とは異なる採用方式を採用している点だ。筆記試験を免除し、一般企業に近い形で選考を実施することで、民間企業や自治体、教育機関、コンサルティング業界など多様な人材の応募を促す。文部科学省はコメントで、「文部科学行政が解決すべき課題は多種多様化している。民間企業等での経験を活かし、一緒に行政をより良くしたいという熱意ある方を求めている」としている。近年、中央省庁ではデジタル政策や教育改革、地方創生などの分野で、民間出身者の登用を強化する動きが進む。特に教育行政では、EdTechや生成AI活用、人材育成政策など民間との接点が増えており、官民を横断したキャリア形成への関心も高まりつつある。応募受付は、総合職が6月28日まで、一般職が7月5日まで。正式応募は文部科学省ホームページを通じて行う。