月刊私塾界2026年5月号(通巻541号)

巻頭言

 ストレスマネジメント。
 貴社は取り組んでいるだろうか。
 厚生労働省の「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事や職業生活に強い不安やストレスを感じている労働者は約8割いるという。いうなれば、働く人は「ストレスを抱えているのが当たり前」という状況だ。もちろん、このまま放っておくわけにはいかない。なぜなら、ストレスを原因とした心の病につながってしまうからである。
 心の病が増え、休む人が出てくると、その仕事を他の誰かがカバーする必要があるが、問題はそれだけにとどまらない。注目すべきは「プレゼンティーズム」という概念。これは「疾病就業」、つまり勤務はしているものの病気を抱えた状態のことを指す。このケースでは思うような生産性が発揮できず、周りの人がカバーする必要が出てくる。結果として他の人々の負担も増え、生産性が低下する。
 プレゼンティーズムによる損失は、年間7兆3000億円に上るというデータもある。一方、病気で欠勤する「アブセンティーズム」の損失は3000億円で、プレゼンティーズムの方がはるかに大きい。
 では、このような事態を引き起こさないために、どうすればよいのか。次の五つの要素が挙げられる。
「心理的安全性の確保」、「適切な業務の質と量」、「職場のコミュニケーション」、「働き方の柔軟性」、「サポート体制」である。
 如何だろう。貴塾の実態は。

(如己 一)

目次

  • 6 CatchUp 01 株式会社ウイングネット 変える。でも、ウイングネットらしさは変えない──新社長・田中麻沙枝氏らに聞く、新体制の狙い
  • 8 CatchUp 02 株式会社アイトップ 東大合格者を数多く輩出し続ける秘密とは
  • 10 CatchUp 03 株式会社成基「地域の学びを止めない」 成基が語る、松浦塾 西山天王山校の事業譲受の意味
  • 14 塾長の決断(8) 学習教室サクセス 地元で愛されてきた塾が大切にしてきたもの
  • 16 挑む私学 京都産業大学附属中学校・高等学校
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 48 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 49 【特集】 教育ICT考2026〈前編〉
  • 74 TOP LEADER Interview 対話を軸に、自立学習を再定義する。 株式会社 明光ネットワークジャパン
  • 84 企業研究(157) 株式会社エデュコン
  • 87 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(387)
  • 88 疾風の如く(202) 上杉塾(東京都) 代表 斉藤 誠亮 さん
  • 90 現代学習塾経営概論(38)
  • 92 For Whom the 塾 Tolls(57)
  • 94 自ら動き出すチームにする方法(140) 中谷彰宏
  • 96 One Target(17) 的場一成
  • 98 PAPER REVIEW(26) 浅見貴則
  • 100 シン・ジュクジン(54)
  • 101 芸術見聞録(154)
  • 102 わが子、就学中(62)
  • 103 塾長の机
  • 104 為田裕行の「教育ICT行」(134)
  • 105 10¹⁵ PETA(61)
  • 106 キクチカラ(17) 菊地香江
  • 107 Opinion from School(82)
  • 108 林明夫の「歩きながら考える」(249)
  • 110 新・授業改革を目指して(150) 石川幸夫
  • 112 私塾界インサイト(98)
  • 116 塾はどこから来たか、塾は何ものか、塾はどこへ行くのか―そして私(54)
  • 118 咲かせよ桜(134) 小林哲夫
  • 122 論点2026(5) 高等専門学校(高専)とは? 再評価が進むもう一つの進路
  • 126 編集後記
  • 128 Book Review
  • 130 塾長のためのガジェット講座

ECC、初のインターナショナルプリスクール開設へ 東京・麹町に2027年4月開校

 株式会社ECCは4月27日、同社初となるインターナショナルプリスクール「ECC International Preschool Kojimachi」を東京都千代田区麹町に2027年4月開校すると発表した。説明会予約の受付も同日開始した。新設校は、外国人講師とバイリンガル対応可能な保育士によるチーム保育体制を採用し、英語教育と日本の生活習慣・規律を学ぶ“ハイブリッド型”が特徴。ECCが60年以上培ってきた英語教育ノウハウに加え、世界60か国以上で導入される幼児向け探究型カリキュラム「IEYC」を組み合わせ、英語力だけでなく非認知能力や主体性の育成を目指す。

 対象年齢は2歳児から5歳児で、2027年度は2歳児・3歳児クラスから開始。保育時間は9時~16時を基本とし、延長保育にも対応する。給食、制服、登園サポートも提供する。開校地の麹町は文教地区として知られ、大使館や外資系企業も多い国際色豊かなエリア。ECCは、幼児期から国際感覚と日本的価値観の双方を育む新たな教育拠点として展開していく考えだ。

東海大学とNEC、教学IR高度化へ共同実証 大学データ活用基盤PoCを完了

 東海大学と日本電気(NEC)は4月27日、教学IR(Institutional Research)領域におけるデータ活用高度化を目的とした共同プロジェクト「大学向けデータ利活用基盤PoC」を実施し、2026年3月に完了したと発表した。今回の実証では、大学内に分散する学務データや学修力調査、学生アンケートなどを横断的に活用し、教育の質向上や大学運営の高度化につながる分析基盤の有効性を検証した。基盤にはMicrosoft Fabricを採用した。両者はワークショップを通じて、①就職率向上に向けた進路・キャリア分析、②中退・留年防止に向けた学生行動分析、③入学時属性と学習成果の関連分析、④教育価値の可視化――の4つの重点課題を設定。課題ごとにKGI・KPIを整理し、分析ロジックの構築やダッシュボードによる可視化を進めた。

 その結果、これまで個別管理されていたデータを統合的に分析できる体制を整備し、教職員間での共通理解や施策検討に役立つ知見が得られたという。今後はAI活用も視野に、実務運用への展開や対象領域の拡大を検討する。NECは今回の成果を他大学向けサービスにも展開し、大学DX支援を強化する方針だ。

熊本県菊池市、公立15校に「すららドリル」導入 約3,500人が利用開始

 すららネットは4月27日、同社のAI教材「すららドリル」が熊本県菊池市の公立小中学校15校に導入され、2026年4月から約3,549人の児童生徒が利用を開始したと発表した。菊池市は、「郷土が人を育み 人が郷土を育む 文教のまち菊池」を掲げ、ICTを活用した個別最適な学びの推進に取り組んでいる。今回の導入では、学力層や学習環境を問わず質の高い学習機会を提供できる点や、不登校傾向の児童生徒が自宅学習ログを活用して出席扱いとできる柔軟性などが評価された。

「すららドリル」は、AIが理解度に応じて問題を最適化し、アニメーション解説を組み合わせた対話型ICT教材。国語、算数・数学、英語、理科、社会の5教科に対応し、学年を超えた学び直しや先取り学習も可能だ。また、課題配信や採点、進捗管理の自動化により、教員の業務負担軽減にもつながる。すららネットは、今回の導入を通じて自治体教育DXと多様な学習機会の提供をさらに支援していくとしている。

名古屋大学×オリコン、実データ活用の人材育成始動 自動車保険の顧客満足度を共同分析

 オリコン株式会社は4月27日、名古屋大学 数理・データ科学・人工知能教育研究センターが実施する「実践データサイエンティスト育成プログラム」に対し、顧客満足度調査データを提供すると発表した。社会人と大学院生がチームを組み、実際の企業データを活用して課題解決に取り組む産学連携型の教育プログラムとなる。今回のテーマは「自動車保険を顧客満足度から分析」。受講者は、オリコンが保有する2024年~2026年の自動車保険ランキングに関する定量・定性データをもとに、契約者が重視する評価ポイントの可視化や、分析業務の効率化につながるプロトタイプ開発を進める。統計解析や自然言語処理(NLP)を活用し、サービス品質の本質に迫る。

 演習は2026年4月に開始しており、5月の中間報告会、7月の課題報告会を経て、7月末に企業向け最終報告を実施する予定。修了式は9月24日に行われる。企業の保有データを教育現場に開放し、実務に近い環境で高度人材を育成する取り組みとして注目されそうだ。

Space BD、H3ロケット6号機で基幹ロケット初の民間相乗り打上げ 商業宇宙利用拡大へ前進

 Space BD株式会社は4月24日、2026年6月打上げ予定のH3ロケット6号機(30形態試験機)において、搭載される全6機のペイロードについて打上げインテグレーション支援を担当すると発表した。このうち4機は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との協定に基づく民間向け相乗り打上げサービスとして提供され、日本の基幹ロケットでは初の民間主導による相乗り打上げ案件となる。

 搭載される衛星には、九州工業大学など産学官連携で開発された超小型衛星「VERTECS」、株式会社BULLのスペースデブリ低減実証衛星「HORN-L」「HORN-R」、フランス企業Unseenlabs SASの海上監視衛星「BRO-22」などが含まれる。さらに、JAXAの「革新的衛星技術実証3号機」に搭載される2機の超小型衛星についても支援を行う。今回の打上げでは、1つの搭載ポートから複数の衛星を放出できる「インターフェースプレート」と、放出信号を分配する「シーケンサー」を日本の基幹ロケットで初導入。打上げインフラの高度化により、小型衛星需要の増加に対応する。日本の基幹ロケットを活用した民間商業サービスの本格化に向け、国内宇宙産業の競争力強化につながる一歩となりそうだ。

ベネッセ、学力調査を全面デジタル化 「総合学力調査CBT」を2027年4月開始

 株式会社ベネッセコーポレーションは4月21日、小中学校向けに提供してきた「総合学力調査」を刷新し、CBT(Computer Based Testing)方式を採用した新サービス「総合学力調査CBT」を2027年4月から開始すると発表した。紙中心だった従来型からデジタル型へ移行し、学校現場の業務負担軽減と学力向上支援の強化を図る。新サービスでは、児童・生徒がGIGA端末を使って受検し、集計・分析・結果返却までオンラインで完結。従来必要だった問題冊子の配布・回収・発送作業が不要となり、教員や教育委員会の運用負荷を大幅に削減する。結果も迅速に返却されるため、受検直後の振り返りや授業改善につなげやすくなる。また、動画問題や音声問題などCBTならではの設問を導入し、知識量だけでなく思考力や実践的な力も測定。学力層別分析、経年推移、観点別正答率などを可視化するダッシュボード機能も搭載する。さらに、自社ICT学習ソフトミライシード内の「ドリルパーク」と連携し、調査結果に応じた個別最適な復習問題を自動提示。学力調査を“受けて終わり”にせず、その後の学習改善まで一体化させる。

 全国学力調査でもCBT化が進む中、ベネッセは学校現場で蓄積してきた知見を生かし、GIGAスクール時代の新たな学力調査モデルとして普及を目指す。

東京都、1万500世帯対象に「とうきょう こども アンケート」実施へ

学び・遊び場・居場所など調査、子供目線の政策立案に活用

 東京都は、子どもや子育て世代の実態や意識を把握し、政策立案に生かすため、「とうきょう こども アンケート みんなと考える『いま』と『みらい』」を実施すると発表した。調査期間は5月8日から6月1日まで。都内の1万500世帯を対象に行う。東京都は「チルドレンファースト」の社会実現を掲げ、都政全般を子どもの視点から見直す取り組みを進めている。今回のアンケートもその一環で、子ども政策をエビデンスベースで推進するため、継続的に実施し経年変化を分析する。

 調査内容は、子どもの学びや成長、遊び場、居場所、子育て環境など、子ども・子育て世代の生活実態や意識全般。教育環境だけでなく、日常生活や将来への考え方も含め幅広く把握する。対象は、都内在住の小学3年生、小学5年生、中学2年生、17歳の子どもとその保護者、さらに3歳児の保護者で、合計1万500世帯。住民基本台帳をもとにした層化二段無作為抽出法で選定する。調査方法は郵送配布を基本とし、回答は郵送またはインターネットで受け付ける。

 東京都は、過去の調査結果も子供政策連携室のホームページで公開しており、今回の結果も今後の施策検討に反映させる方針だ。少子化対策や教育支援、居場所づくりなど、子ども政策の重要性が高まる中、子ども本人の声を直接施策に取り込む取り組みとして注目されそうだ。

東京都、先端技術で社会課題解決を表彰 「Tokyo Social Innovation Tech Award 2026」募集開始、最大300万円支援

 東京都は4月23日、AIやXR、メタバースなど先端デジタル技術を活用し、社会課題の解決に取り組む都内中小企業などを表彰する「Tokyo Social Innovation Tech Award 2026」の募集を開始した。対象は、東京都の抱える課題解決に資するソリューションやコンテンツ。開発済みで、すでに提供開始している、または2027年3月末までに提供予定の案件が応募できる。
 受賞企業には、大賞300万円、優秀賞150万円などの奨励金を交付するほか、専門家派遣やビジネスマッチング、展示会「TOKYO DIGICONX」への無料出展など、普及に向けた支援も実施する。募集期間は6月16日まで。東京都は、先端技術を活用した中小企業の成長促進と、社会課題解決の両立を後押ししたい考えだ。

デジタル教科書を正式制度化へ 学校教育法改正案を閣議決定、紙と併用型へ転換

 文部科学省は4月7日、「学校教育法等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。紙の教科書のみを制度上の対象としてきた現行ルールを見直し、動画や音声などデジタル機能を備えた教材も正式に「教科書」と位置づけ、検定・採択・無償給与の対象とする。現行のデジタル教科書は紙教材を端末上で表示する補助教材にとどまっていたが、改正後は語学学習の音声再生や実験手順の動画確認など、学習効果を高める活用が想定される。QRコード先の動画なども検定対象となり、質の保証強化にもつなげる。

 一方で、紙の教科書を全面的にデジタルへ切り替えるものではなく、紙とデジタル双方の利点を生かす方針。文科省は今後、発行や採択、使用の在り方に関する指針づくりを進め、秋ごろまでに方向性をまとめる予定。法案は今後、国会で審議される。