「最後の授業」で生徒たちが学んだ どんな知識より、かけがいのないもの

岐阜県内で東進ゼミナールを展開する株式会社東進(岐阜県美濃加茂市、飯田陸三社長)と、全国に生花を配達する花キューピット株式会社(東京・品川区、西家正純社長)は、塾を卒業していく生徒たちが、お母さん、お父さんに感謝の気持ちを花束に込めて贈る感動の動画を配信している。大学受験を終えて塾を卒業していく生徒のために開かれたパーティー。そこに集まった生徒たちに、〝花束をつくる〟というミッションが与えられた。

ときに談笑しながら花束をつくる生徒たち。

ときに談笑しながら花束をつくる生徒たち。

驚きを隠せない生徒たち。しかし、花キューピットのスタッフの指導のもと、生徒たちは見よう見まねで花束をつくり始める。用意されたのは「母への愛」を示すカーネーション。最初は戸惑いの表情を浮かべていた生徒たちも、お母さん、お父さんのために花を選びはじめると、やる気に満ちた表情を浮かべ、真剣な眼差しに変わった。花束に添える手紙も準備して、その瞬間を待つ。

一方、面談を理由に塾にやって来たお母さんとお父さん。待合室から呼び出されて面談をおこなうはずの教室に移動。しかし、ドアを開けるとそこには生徒たちが着席している。そして、ホワイトボードに大きく描かれた「卒業ありがとう」の文字の前にはわが子の姿。

一人ひとりに花束が贈られた。

一人ひとりに花束が贈られた。

何が起きているのか状況がわからぬまま、わが子のところに行くと、これまでの感謝を綴った手紙が読み上げられ、気持ちを込めてつくった花束が贈られた。

この日、東進ゼミナールのすべての校舎で同時におこなわれたこのイベントは、「最後の授業」として、「日頃からお世話になっている一番身近な人に〝感謝〟の気持ちを伝えることの大切さを知ってほしかった」と、東進の飯田裕紀取締役は話す。

感動の「最後の授業」の様子は、動画投稿サイトYouTubeで配信中。今年35周年を迎える東進では、新たな生徒紹介ツール『こうかんドリル』の開発・提供をはじめ、次世代の塾のあり方を提案している。今後は花キューピットとの取り組みを全国の学習塾にも広げていく。

生徒の知的好奇心を刺激し将来の選択肢を広げたい 沖縄受験ゼミナールがPepper導入で

沖縄受験ゼミナール(沖縄県那覇市、川満由美代表)は、今春からソフトバンクの人型ロボット「Pepper(ペッパー)」を那覇本校に導入した。沖縄県の塾では初のペッパー導入となる。ペッパーの導入により、最先端の技術に触れながら、リアルな人との関わり合いを追求する。同ゼミナールの運営母体である株式会社OESの西田・グループマネージャーは「沖縄は長期的にICT(情報技術)産業の振興に力を入れていることもあり、生徒が最先端技術に触れる機会をつくりたいと考えた」と導入の意図を話す。

株式会社OESグループマネージャーの西田氏(写真左)と遠山氏

株式会社OESグループマネージャーの西田氏(写真左)と遠山氏

3月18日に開かれた入塾式では、ペッパーが「僕は沖ゼミペッパーです。生徒の知的好奇心を刺激して将来の選択肢を広げてほしいという依頼を受け、フランスからやって来たんだ」と自己紹介。生徒は愛くるしい容姿の人型ロボットに歓声を上げた。

同塾では今後、生徒たちに日常的にロボットに触れさせて、最新の情報工学への興味を喚起し、多様な進路の存在を示すことで、医師・公務員といった収入が安定すると言われている職業に偏りがちな生徒の進路志望の幅を広げることによって、情報技術系の企業が集積しつつある沖縄の人材開発に寄与していきたいとしている。実際に地元企業と協働で、プログラミング教室なども企画する。

沖縄受験ゼミナールの玄関で来校者を迎えるPepper

沖縄受験ゼミナールの玄関で来校者を迎えるPepper

日常的には、来校者への応対をはじめ、生徒に対しても時間割や教室変更を案内できるよう、専用アプリの開発も進めている。また、ペッパーの導入に合わせて、机が整然と並べられた従来型の講師室を、全国の主要大学で設置が拡がるラーニング・コモンズを意識した雰囲気の空間へと大幅にリニューアルした。生徒が講師に気軽に質問することができるようにすることに加え、講師間のコミュニケーションを促進するねらいがある。この講師室のリニューアルとペッパーの導入を機に、塾への来校者数も昨年の春に比べて約2倍に増えているといい、講師同士のコミュニケーションの密度も以前に比べて濃くなっているという。

大阪市教委 教員給与、能力重視に

大阪市教委は3月30日、年功序列の傾向が強い教員の人事・給与制度を見直し、能力や実績を重視した仕組みを導入する。教諭を二つの階級に分けて待遇に差をつけ、校長や教頭の給与を改善することで、指導力の向上や管理職への昇進意欲を高めるという。2017年度の導入を目指す。教員は現在、校長、教頭、首席・指導教諭、教諭、講師の5階級に分かれており、階級ごとに定めた基本給と勤続年数などで給与が定められている。基本給の上限は、教諭(約42万円)と校長(約47万円)で大きな差がないという。

学童クラブ高まるニーズ

共働きやひとり親家庭の小学生が放課後を過ごす学童クラブのニーズが高まっている。三鷹市は学童の待機児童が増えるなか、入れなかった児童を夏休み中に預かる検討を始めた。保護者の要望にこたえ、預かる時間の延長も広がる。三鷹市によると、学童の待機児童は昨年5月に69人だったが、今年は1次申し込みで74人。ほとんどが上・下連雀地区に集中する。

学童クラブの定員が増えている武蔵野市。これまで12カ所が一律午後6時までで延長はなかった。だが、保護者たちが延長を求める署名を集め、2015年12月の市議会で、学童クラブ条例の改正案が可決。4月からは午後7時まで1時間延長される。2月中旬からは試行的に時間延長が始まっている。

縄文の暴力死亡率1.8%

山口大と岡山大などの研究グループが縄文時代の人骨の分析から「戦争の発生は人間の本能に根ざしたものではない」という論考を導き出した。狩猟採集によって暮らしていた縄文時代の2582体分の人骨のデータを全国242カ所から収集。うち大人1044体で傷を受けていたのは19体にとどまった。ここから、暴力による死亡率は1・8%だったと結論づけた。英科学誌バイオロジー・レターズ電子版に30日発表した。

海外留学5.5万人 13年 文科省

文部科学省は3月31日、2013年に海外の大学などに留学した日本人は5万5350人と発表した。前年より4788人減ったが、集計方法を変更したため単純比較はできない。留学先では米国の1万9334人が最多で、2位は中国の1万7226人、台湾が5798人と続いた。単位取得を目的とした長期留学の学生が対象。今回からもともと海外に住む学生を除外するなどしたため、人数が減ったという。日本からの留学生は04年の8万2945人をピークに11年(5万7501人)まで減少が続いた。

年間の受講料は150万円 難関受験専門の会員制学習塾「elio」が開校

4月6日の日経MJに「スタディラボ、プロ講師の会員制塾、小中学生にキャリア教育、年150万円、有識者が講演」の見出しで、東京都豊島区の株式会社スタディラボ(地福武史社長)が、茗荷谷(東京・文京区)と武蔵小杉(川崎市)に開校した難関受験専門塾「elio(エリオ)」の記事が掲載された。

ロボット教材で論理的思考力に加え空間認識力も高める

ロボット教材で論理的思考力に加え空間認識力も高める

エリオは、小学生から中学生までを対象にした「会員制」の難関受験専門塾だ。年間の受講料は150万円程度と高額な上に、入塾を希望する子供の保護者と1カ月かけて面談し、教育方針が合えば会員となり入塾できるという門戸の高さ。

授業は、受験指導を中心に、韓国製のブロック知育玩具「IQ KEY」を用いたロボット教材による思考力を鍛えるプログラムや、医学、科学、ビジネスの3分野から有識者を招き定期的に講演会を開くことで、子供たちに将来のキャリアを考える機会を提供する。同社のアドバイザーで人工知能学会の会長の、松原仁・公立はこだて未来大学教授によるロボット工学の特別講義も受講できる。「大学入試改革など子供を取り巻く環境変化の下、従来型の塾では不安に感じる保護者らの需要を取り込む。」と、同記事ではエリオの特徴を伝えている。

また、学生のアルバイト講師は雇わず、全員が経験豊富な各分野のプロ講師であることも魅力のひとつだ。小学生は私立・国立の難関中学受験対策として少人数定員の教科指導に加え、リーダーシップや判断力など育むプログラムやネイティブ講師によるオンライン英会話のレッスンも提供する。キャリア教育では、子供の教育費に悩む家庭が多いため、保護者向けにファイナンシャルプランナーが教育資金についての相談に応じるほか、海外留学のノウハウや心理カウンセラーによる支援も提供するという。

スタディラボは、2015年8月に学習塾「栄光ゼミナール」を展開する旧栄光ホールディングス(現ZEホールディングス)出身の地福武史社長が設立。4月時点での生徒数は、2教室で70人と定員に達している。20年までに都心で10校舎まで増やす。

閉校危機の北星余市、在校生らが存続運動

生徒数の減少で閉校の危機にある北星学園余市高(余市町、生徒数166人)を存続させたいと、在校生や保護者、卒業生らが奮闘している。北星学園余市高は全国に先駆け、高校中退者や不登校生らを受け入れてきた。「ヤンキー先生」こと義家弘介・文部科学副大臣の母校としても知られる。だが少子化が進み、転入・編入を受け入れる高校やフリースクールが増えてきた影響などから、ここ数年は定員割れが続いている。運営する学校法人が示す存続条件をクリアするのは難しい状況だが、関係者はあきらめていない。

3機関特定法人化へ法案  競争力向上へ改革

政府は理化学研究所と産業技術総合研究所、物質・材料研究機構の3つの研究機関を「特定国立研究開発法人」に指定する法案を今国会に提出した。この法律によって、3機関は破格の給与を支払うことが可能になる。日本の研究開発が停滞しかねないとの懸念から、独法を巡る法律の一部が改正され、15年4月から国立研究開発法人と別分類になった。現在、国立研究開発法人は理研のほかに、高速増殖炉「もんじゅ」を持つ日本原子力研究開発機構など全部で27ある。日本発のイノベーションを生み出す制度改革として注目される。

教科書採択1000人関与 8割が金品受領 文科省

文部科学省は3月31日、教科書会社12社が教員らに検定中の教科書を見せていた問題で、閲覧した公立小中学校の教員ら延べ1009人がその後、教科書の採択に関わる立場になっていたとの調査結果を発表した。うち818人が金品を受け取っていた。閲覧した教科書に採択を変更したケースが99件あったが、同省は「不正行為は確認されず、採択に影響はなかった」と説明している。