瀬戸内海の海洋ごみ対策へ 5億円規模の基金を新設 海洋ごみ対策・資源循環に貢献するモデル事業の形成を支援

 日本財団(東京・港区、笹川 陽平 会長)と連携して海洋プラスチックごみ対策に取り組む、瀬戸内4県(岡山県・広島県・香川県・愛媛県)で組織される瀬戸内オーシャンズX推進協議会は、「瀬戸内海洋ごみ削減行動促進 支援基金」を設置した。この基金は、瀬戸内海における海洋ごみ対策や循環型社会を形成するための活動に支援することを目的としている。
 海洋ごみの約8割は陸域で発生し、ごみが川や用水路などを通じて海に流出しているといわれている。一度海へ流出したごみの回収は多大な労力を要するため、陸域でごみを回収することが重要となる。

 日本財団が2020年12月~2021年5月に実施した河川調査では、瀬戸内4県の人口が集中したエリアの280の河川において、ごみが集中して散乱する箇所(ホットスポット)が1,711箇所確認され、プラスチックごみの年間流出量が200トン以上と推計された。台風や草が繁茂する時期など作業に支障がある時期を避けて、懸案場所を捉えた効率的な回収活動モデルの実践が重要となる。
 また、市民ボランティアが清掃活動できているエリアが、懸案箇所の10%程度に留まっており、ボランティアに加え、職業上のスキルや専門知識を発揮して公益的活動に参加する専門性の高いボランティア(プロボノ)と連携した活動モデルの実践が必要なことも分かった。加えて、海洋ごみの流出を根本から防ぐためには、発泡スチロール等プラスチックを多用するあらゆる産業における、サプライチェーン全体を見渡した発生抑制策も必要となる。

 以上の背景や課題を踏まえ、この基金では、戦略的な清掃活動の計画・実施、問題解決を担う地域人材の育成や体制構築のほか、瀬戸内地域に根差したサプライチェーン全体の資源循環スキームの創出などを対象に、モデルとなり得る具体的な事業の活動費を支援していく。*補助率:原則80%

■基金概要
基金名称:「瀬戸内海洋ごみ削減行動促進 支援基金」
受付期間:第1回:2022年8月15日(月)~2022年9月5日(月)
第2回:2022年12月1日(木)~2023年1月13日(金)
対象となる団体:企業及び財団法人、社団法人、NPO法人、任意団体 等
申請方法:詳細は右のURLよりご確認ください。https://fund.setouchi-oceansx.jp/

「瀬戸内オーシャンズX」は、瀬戸内海に面する4県(岡山県・広島県・香川県・愛媛県)と日本財団が連携協定を締結(2020年12月)し、共同で推進している包括的海洋ごみ対策プロジェクト。2025年までに瀬戸内海の海洋ごみの全体量を減少傾向に転じ、問題解決へつなげることを目指している。外界からの海洋ごみ流入が少ない海域(閉鎖性海域)である瀬戸内海をフィールドに、①調査研究②企業・地域連携③啓発・教育・行動④政策形成の4つの柱で事業を展開していく。

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