ICTリテラシー教材を初表彰 官民連携で情報社会の安全性向上へ

 総務省と民間企業が連携してICT(情報通信技術)リテラシーの向上を目指すプロジェクト「DIGITAL POSITIVE ACTION(DPA)」は、2026年2月16日、優れた啓発教材を称える「DIGITAL POSITIVE ACTION AWARDS 2026」を初めて開催した。インターネット上の偽情報や誹謗中傷といった課題が深刻化する中、幅広い世代がデジタル技術を適切に活用できる能力を育むことが目的である。
 今回のアワードには、DPAの会員企業などから計71件のエントリーがあり、1次審査を通過した16件が最終選考の対象となった。審査には大学教授などの専門家のほか、教育系クリエイターや現役の高校生、大学生も加わり、多様な視点から評価が行われた。
 最高賞にあたる大賞に選ばれたのは、日本マイクロソフトの「CyberSafe AI: Dig Deeper」である。同教材は、人気ゲーム「マインクラフト」の世界を舞台に、生成AI(人工知能)の出力を鵜呑みにせず、情報の真偽を確かめる重要性を体験的に学べる点が評価された。高いゲーム性により、利用者が主体的にスキルを身につけられる点が、これからのリテラシー教材のモデルになると期待されている。
 部門賞では、各分野で創意工夫を凝らした教材が選出された。教育現場向けの「School賞」を受賞したスマートニュースの教材は、SNSのアルゴリズムを擬似体験することで、自分が見たい情報に偏る「フィルターバブル」の問題を学ぶ構成となっている。家庭向けの「Home賞」に選ばれたLINEヤフーは、クイズ形式で情報判断能力を客観的に把握できる仕組みを提供した。
 また、ソフトバンクは親子でスマートフォンの利用ルールを決めるためのガイドで「Digital Use賞」を受賞した。グーグルは、著名な動画投稿者のチャンネルを活用してネット上のリスクを周知するキャンペーンにより「Safety賞」を獲得した。
 アワード開催の背景には、リテラシー向上の必要性を感じながらも行動に移せていない現状がある。総務省が2025年に公表した実態調査によると、ICTリテラシーを重要だと考える人は87・8%に達する一方、具体的な取り組みを行っていない人は75・3%に及ぶ。その最大の理由は「取り組み方が分からない」というものであった。
 DPAは、今回のアワードを通じて多様な教材を可視化することで、教育現場や家庭での利活用を促していく考えである。表彰式では、不確かな情報に惑わされない人間関係の構築や、受け手側が毅然とした態度を持つことの重要性についても議論が交わされた。事務局は、デジタル技術を過度に恐れるのではなく、リスクを理解した上で前向きに使いこなせる社会の実現を目指している。

みんなが私塾界!