デジタル教科書を正式な「教科書」に 学校教育法改正案を国会で説明

 5月29日、第221回国会の参議院本会議で、文部科学大臣の松本剛明氏が、「学校教育法等の一部を改正する法律案」の趣旨説明を行った。法案は、動画や音声などデジタルの特性を取り入れた新たな教科書制度を整備し、紙とデジタルそれぞれの長所を生かした学習環境の実現を目指すものだ。

 現在の制度では、学校での使用義務や検定、採択、義務教育段階での無償給与の対象となる「教科書」は紙媒体に限られている。一方、デジタル教科書は「教科書代替教材」として位置付けられ、紙の教科書と同じ内容をパソコンやタブレット端末上で表示する役割にとどまっている。

 今回の法改正案では、動画や音声、アニメーションなどデジタルならではの機能を組み込んだ教材を「教科書」として認めることを可能にする。また、紙媒体だけでなくデジタル形式を含むものについても法的に教科書として位置付け、検定や採択、無償給与などの対象とする。

 近年、GIGAスクール構想の推進により児童生徒一人一台端末の環境整備が進むなか、デジタル教科書の活用拡大が議論されてきた。今回の法改正は、その流れを制度面から後押しするものといえる。

 ただし文部科学省は、紙の教科書を全面的に廃止してデジタルへ移行する方針ではないことを強調している。これまでも「紙中心の学習環境を基本としながら、デジタルの特性が生きる場面で活用する」という考え方を示しており、今回の法案もその延長線上に位置付けられる。

 法案は今後、参議院の文教科学委員会に付託され、詳細な審議が行われる予定だ。成立すれば、紙とデジタルを組み合わせた新たな教科書のあり方が本格的に検討されることになる。

 教育現場では、動画による実験解説や音声教材、多様な学習支援機能など、デジタルならではの学習効果への期待が高まる一方、児童生徒の視力への影響や学習習慣の変化、学校間のICT環境格差なども課題として指摘されている。今後の国会審議では、こうした論点も含めた議論が注目されそうだ。

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