5月29日、第221回国会の衆議院文部科学委員会で、「著作権法の一部を改正する法律案」の審議が始まり、文部科学大臣の松本剛明氏が提案理由を説明した。
法案の柱は、音楽CDや配信音源がレストランや商業施設、店舗などでBGMとして利用された際に、アーティストやレコード製作者へ適切な対価を還元する仕組みを新たに整備することにある。
現在、日本では楽曲の作詞家や作曲家に対する著作権使用料の制度は整備されているものの、実際に歌唱や演奏を行った実演家やレコード製作者については、店舗などでの音源利用に対する十分な対価還元の仕組みが整っていないとの指摘があった。
今回の改正案では、いわゆる「レコード演奏・伝達権」を導入し、商業用レコードが公の場で再生・伝達された場合に、実演家やレコード製作者が二次使用料を受け取る権利を新たに認める。これにより、音楽の利用実態に応じた収益分配を実現し、創作活動を支える環境整備を目指す。
こうした制度は欧米をはじめ多くの国で既に導入されている。一方、日本では制度が未整備だったため、日本のアーティストや実演家は海外で楽曲が利用された場合でも十分な対価を受け取れないケースがあり、国際的な権利保護の面で課題となっていた。
松本大臣は提案理由説明の中で、「実演家等への望ましい対価還元を図り、我が国の音楽や、それを伝える実演家等の海外展開を一層促進する観点から必要な措置である」と述べ、法案への理解を求めた。
近年、日本の音楽コンテンツは海外市場で存在感を高めている。政府としては、クリエイターやアーティストが適正な収益を得られる環境を整えることで、音楽産業全体の発展や国際競争力の強化につなげたい考えだ。
法案は今後、衆議院文部科学委員会で詳細な審議が行われる。成立すれば、日本の著作権制度における実演家・レコード製作者の権利保護が大きく前進することになりそうだ。



