東京工芸大学工学部の森田芳朗教授は、住環境研究所と東京大学大学院工学系研究科の権藤智之准教授と共同で、工業化住宅の長寿命化の実態と、それを支える要因の解明に向けた研究を開始した。
研究では、積水化学工業住宅カンパニーの調査研究機関である住環境研究所が保有する約60万件の住宅データを分析する。建築時期やエリアなどの建物属性、診断受診履歴などをもとに、工業化住宅が長期間利用される実態を把握する。あわせて、住宅所有者へのアンケート調査や訪問調査も行う。
近年、住宅や資源を長く有効に使い続ける循環型社会の実現や、2050年カーボンニュートラルの達成に向け、住宅の長寿命化や既存住宅の循環利用が重要な課題となっている。工業化住宅は、工場生産による品質の均一化や高い施工精度を強みに、累計500万戸超が供給され、日本の住宅品質の向上に貢献してきた。一方で、長寿命化の実態や、それを支える要因は十分に明らかになっていなかった。
森田教授は、住宅ストックの活用、高経年住宅の実態把握、都市空間の再生手法などを研究してきた。今回の研究では、森田教授と権藤准教授の学術的知見、住環境研究所のデータと研究ノウハウを組み合わせ、住宅性能、維持管理、居住者の住みこなしや価値継承の実態などを多角的に分析する。
2025年度のアンケート調査では鉄骨造の工業化住宅に着目し、2026年度以降は構造種別を問わず工業化住宅を対象とする。今後は、居住以外の用途への活用や、住宅の構造体・部材の再利用を含めた建物の長寿命化へと研究を発展させる方針だ。
研究成果は、建築学会などで発表される予定。良質な住宅を長く使う社会の実現に向け、工業化住宅の長期活用に関する知見の蓄積が期待される。



