鹿児島伝統の高校受験「不合格内示」が今春廃止へ 全国で進む合格発表のデジタル化、残る未実施は2県のみ

 鹿児島県の公立高校入試で長年独自に行われてきた慣習「不合格内示」が、今春(2026年3月)をもって廃止された。合格発表日に掲示板の前で不合格の生徒が失意を味わうのを防ぐため、事前に中学校を通じて結果を電話連絡する仕組みだったが、全県でホームページ(HP)による合否公表が始まったことでその配慮が不要となった。全国的にも受験手続きのオンライン化が急速に進んでおり、掲示板の前で手に汗握る受験期の「風物詩」が大きな転換期を迎えている。

「不合格内示」は、少なくとも数十年間にわたり鹿児島県内で続けられてきた独自の配慮だった。合格発表の当日、高校側が中学校へ事前に不合格者の受験番号を通知し、中学校の教諭が該当する生徒へ電話で連絡する。発表時間までに連絡がなければ「合格のサイン」となり、合格者のみが安心して発表現場に集まるという仕組みだった。しかし、高校側からの通知漏れによる連絡ミスが発生したことや、県内の全公立高校が特設HP上での合格発表へ移行したことを機に、今年3月に廃止が決定した。
 デジタル庁の調査によると、令和6年末時点で17都道府県がウェブ出願を実施し、ウェブ上での合格発表を行う自治体は41に上っていた。さらに、当時未実施だった6県のうち今春までに4県が新たにウェブ発表を取り入れ、現在も未実施のままなのは徳島県と石川県の2県のみとなった。石川県は来春からのデジタル化を検討しているものの、徳島県では導入時期が未定となっている。
 一方で、デジタル化に舵を切りつつも、従来のアナログな掲示発表を併用する動きもある。宮城県では当初、デジタル化に伴って校内掲示を廃止する方針を示していたが、受験生や保護者ら約3000人を対象にしたアンケートで約6割が「継続してほしい」と回答。サイトへのアクセス集中によるトラブル防止に加え、「掲示板を見ることで高校入学への意欲が高まる」といった声が寄せられたため、掲示板の存続を決めた。
 こうした受験現場のデジタル化について、国際大学の豊福晋平准教授(教育工学)は「国がデジタル化を推進する中、受験現場への波及や業務の効率化は当然の流れ」と指摘する。長年の春の光景が変わることに寂しさを覚える声もあるが、豊福氏は「高校側がSNSの公式アカウントを活用して入学前から生徒同士の交流の場を設けるなど、オンラインだからこそできる温かい関係づくりや価値の見出し方もある」と、デジタルがもたらす新たな可能性を提示している。

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