Author: 山田未知之

目指せ、塾検索サイトからの入塾率100%  塾の〝営業力〟UPセミナーでズバリ聞いた

塾は教育かビジネスか。あえて一定の結論を導くなら、「塾」は教育、「塾運営」はビジネスということだろう。しかし、塾経営者の多くが、教育者としてのプライドからか、「ビジネス」「営業」という言葉に、明らかな拒否反応を示すことも少なくない。

東京と兵庫に本部を置く個別指導塾専門コンサルタント・株式会社リアル・パートナーズ代表の安多秀司氏も、こう警鐘を鳴らす。「気持ちは分かるが、塾にも営業は必要。ただ、営業とは押し売りではなく、提案であることを理解して欲しい。せっかく自塾に興味を持ってくれた保護者や生徒がいるのに、そこから入塾に繋がらないのは、まさに営業力不足。営業は悪いことではない」と訴える。

講演する信田代表

講演する信田貴仁代表

先日、同社の『入会率90%営業研修セミナー&塾ナビ成約率100%セミナー』が開催された。講師に個別指導塾TOCO(東京都)を経営する信田貴仁氏を迎え、塾の営業力強化についてレクチャーを行った。信田氏は、もと厚生官僚ながら、そのサクセス街道を捨てて塾経営者になったという極めて珍しい職歴を持つ人物。同時にMBAを取得するなど、各種の経営メソッドに明るく、それを塾に応用して、問い合わせからの入塾成約率を飛躍的に高める営業術を考案した。

セミナーのタイトル通り、問い合わせさえあれば、ほぼ100%入塾に繋げることができるという。この日も、「塾経営者の多くが、とりあえず教室まで来てもらえれば入塾してもらえる、という自信を持つ一方で、まずこの『教室に来てもらう』点で苦戦している」と語り、電話や塾ナビからの問い合わせへの対応術を披露。NGトークなども交えて、顧客の警戒心を解き、来校を促す流れについて解説した。参加者らもいかにこれまで自分が「取りこぼして」いたのか実感し、営業力の重要性を再認識していたようだ。次回開催は未定だが、今後のニーズは増えることが予測される。

個別指導塾TOCOの信田貴仁代表(中)。リアルパートナーズの安多秀司代表(右)と小倉政彦取締役(左)とともに。

個別指導塾TOCOの信田貴仁代表(写真、真ん中)。リアルパートナーズの安多秀司代表(写真、右)と小倉政彦取締役(同左)とともに。

民事再生を申請した千葉国際中・高の今後 ビジュアルビジョンの井沢隆代表が語る

千葉県君津市の私立千葉国際中学校・高等学校を運営する学校法人千葉国際(大谷晋示理事長)が5月7日に東京地裁に申し立てた民事再生法の適用について、学校再建のために2010年から同校を支援しているビジュアルビジョンの井沢隆代表が本誌取材に応じた。

ビジュアルビジョンの井沢隆代表

ビジュアルビジョンの井沢隆代表

同校は、5月12日に記者会見を開いており、その中で大谷晋示理事長は「学校運営の継続を前提とした手続きで、授業はこれまで通り継続する」と発表している。また、同法人の代理人によれば、負債総額は約30億円で、生徒数はビジュアルビジョンが支援を始めた4年前に比べ生徒数は増え、授業料収入などが順調に伸びているものの、1992年の開校時に施設建設費として借り入れていた巨額の長期債務が現在も残り、遅延損害金などが発生していることが明らかにされている。

実際、4月時点の同校の生徒数は千葉国際高校が436人、同中学が136人で、今春の高校入学者数も4年前に比べると2倍の170名となり、中学生の生徒数も倍増している。大学合格実績も4年間で約4倍に伸び、運動部も剣道部が関東大会や全国大会で上位入賞を遂げるほか、プロ野球やサッカーのJリーグに選手を輩出している。記者会見に先だっておこなわれた、生徒や保護者に対する説明会でも、今回の申し立てへの理解を得ており、6月中旬には経営の立て直しに向けた具体案を裁判所に示す予定だ。

本誌では5月末、学校再建が順調に進む中で発表された民事再生の申請について、ビジュアルビジョンの井沢隆代表に直接話しを聞くことができた。井沢氏は「民事再生を申請したというと倒産したのだと誤解されることも多いが、まったく違う。生徒は自ら挨拶ができるようになり、乱れた服装も減ったことで地域の皆さまからの評判も良くなっている。このように学校改革が進んでいる今こそ、債権者の方々にもご理解をいただいて、千葉国際中・高に通う生徒や保護者の皆さんにとってさらにいい学校となるよう、今回の申請をおこなった」と語る。今後、具体的な再生計画案が示され裁判所から認可されれば、長期債権の一部免除など学校再建のスピードが一段と早まることが期待される。

「個太郎塾」を展開する個学舎 創立15周年を記念して式典を開催

市進教育グループ(下屋俊裕代表)で個別指導塾「個太郎塾」を全国に266教室(うちFC83教室)を展開する株式会社個学舎は6月1日、創立15周年を記念して、東京・港区の東京グランドホテルで式典を催した。全国のフランチャイズ(FC)オーナーや市進教育グループの関係者ら合わせて約70名が集まり、記念セミナーとしてFCオーナーによるパネルディスカッションがおこなわれた。

個学舎の佐伯修二社長

個学舎の佐伯修二社長

個学舎の佐伯修二社長は、冒頭の挨拶で「これからも子ども達にとって居心地のいい場所を提供し、成績を上げることを大切にした『街の学びのホットステーション』として、地域に貢献して欲しい」と述べた。

続いて開かれたパネルディスカッションでは、FC本部の柴田隆志氏の司会により、幕張本郷教室の渡辺雅之氏、一之江教室の岡坂文弘氏、北小金教室の作道卓也氏、お花茶屋教室の森山正康氏、天台教室の有馬智也氏、藤が丘教室の門馬佳史氏らがパネリストとして登壇し、生徒募集や保護者対応における自教室のこれまでの取り組みについて語った。また、会場に集まったFCオーナーたちから教室運営に関するアドバイスを求められると、具体的な施策について話し、参加したFCオーナーたちは熱心に聞き入っていた。

個太郎塾のFCオーナーによるパネルディスカッション

個太郎塾のFCオーナーによるパネルディスカッション

〝日本一の先生〟めざし 足利で全国模擬授業大会

栃木県の開倫塾が主催する「全国模擬授業大会」が5月25日(日)、日本最古の学校である「足利学校」のあった足利市の足利工業大学附属高等学校の教室とホールを借り切っておこなわれた。前日の24日には、茂木敏充経済産業大臣も駆けつけプレイベントが開催されるなど。この週末は、足利の街が塾関係者で賑わった。

開会式で式辞を述べる開倫塾の林明夫代表

開倫塾の林明夫代表

全国模擬授業大会は「チョーク1本で教育改革 を」を合い言葉に、2006年から毎年この時期に開催され、今年で9回目を迎える。今年は、全国から60を超える学習塾・学校ならびに企業・団体が参加した。開倫塾の林明夫代表は開会式で「授業を充実させることにより、各教育機関の社会的使命(ミッション)を果たすことを目的としています」と宣言し、日頃から学習塾に通う生徒たちに、授業を通して学ぶことの楽しさや、生きることの目的を自覚してもらうことを実践している先生たちに向けてエールを送った。

大会には、参加した各塾から選りすぐりの48人の先生たち。午前中は、国語、数学、英語、理科、社会の各教科ごとに13のブロックに分かれて予選をおこなった。模擬授業の審査は、授業導入部分の15分間を実際に生徒が居ると想定して先生が授業をおこない、授業を受けている生徒をいかに惹きつけ、その後に続く授業をモチベーションを高い状態で受け続けられるかということを1授業につき3名の審査員が、授業目標の立て方、板書の工夫、本題に入る前のツカミや間の取り方といった話法に関する項目でポイントを付け、合計点が高いほど良い授業とされる。

午後に入ると、各教科ごとに2〜4名の予選通過者が、改めて各教科1人の本戦出場者を決めるために模擬授業をおこなった。その後、参加者全員が講堂に集められ本戦がおこなわれた。本戦に進んだのは、国語の舩木政子先生(創学舎)、英語の石田朋彦先生(トーゼミ)、社会科の田中潤先生(洛西進学教室)、理科の高田晋輔先生(野田塾)、数学の岡部正行先生(開倫塾)の5人だ。(※名前は本選の授業順)

左から舟木政子先生(創学舎)、石田朋彦先生(トーゼミ)、社会科の田中潤先生(洛西進学教室)

左から舩木政子先生(創学舎)、石田朋彦先生(トーゼミ)、社会科の田中潤先生(洛西進学教室)

5人とも観ている者を惹きつける、普段であれば授業を受けている生徒たちが、楽しみながら「もっと知りたい!」と学びのエンジンが起動するような見事な授業を披露してくれた。審査員からも「年々レベルが上がっている」といわれるほど素晴らしい授業の中から雌雄決するのは困難を極めたとみられるが、見事最優秀賞に輝いたのは、理科で「感覚器官」の授業をした野田塾の高田先生だった。

左から理科の高田晋輔先生(野田塾)、高田先生が「三半規管」を説明するためにくるくる回って表現、数学の岡部正行先生(開倫塾)

左から理科の高田晋輔先生(野田塾)、高田先生が「三半規管」を説明するためにくるくる回って表現、数学の岡部正行先生(開倫塾)

審査委員長を務めた野田塾の小川英範塾長

審査委員長を務めた野田塾の小川英範塾長

審査委員長を務めた野田塾の小川英範塾長は最終審査には加わらなかったものの、39人の審査員が高田先生を高く評価した点は、お笑い芸人としても通用しそ うな「言動一致」と「体を張った」点だろう。「三半規管」を理解させるために、自らその場で25回まわって、目を回してフラフラになりながらも「なぜそうなるのかほかのことに置き換えるとこう」ということをとても分かりやすく伝えたことだろう。

表彰式を終えると、審査委員長の小川塾長から本戦に進んだ5人の先生一人ひとりに、素晴らしかった点や、今後こういった点を伸ばすと生徒たちにとってさらに良い授業ができる、といった講評が伝えられたほか「授業は引き算。10伝えたいことがあっても3つに絞って伝える」といった、小川塾長自身が培ってきた良い授業のエッセンスを伝授してくれた。

全国模擬授業大会は、次回10月26日(日)に名古屋で開催される。そして栃木での開催は来年で10回目を迎える。ほかの塾がどんな方針で講師を育成しているのか、また生徒のために何を大事に授業を設計しているのか、ということがつぶさに見て取れる模擬授業は、講師として出場をしなくても、観覧するだけで十分に価値のある大会と言えるだろう。

表彰式では今回初めておこなわれたAE(オール・イングリッシュ)授業に挑戦した3名に「チャレンジ賞」が授与された

表彰式では今回初めておこなわれたAE(オール・イングリッシュ)授業に挑戦した3名に「チャレンジ賞」が授与された

非正規雇用の社員への人材育成に 「キャリアップ助成金」の活用を

エース教育総合研究所(青木清代表)は、非正規雇用の契約社員、アルバイト、パート社員が10人以上在職している企業に、厚生労働省が推進する支援制度「キャリアアップ助成金」を利用した人材育成(一般職業訓練)の実施に関する説明会が、6月10日と7月2日におこなわれる。この研修は、日本経営道協会(市川覚峯代表)が担当し、会社が社会保険に加入していれば1事業所につき500万円まで適用が可能だ(ただし、講師の出張費用は企業側が負担)。

今回の制度利用については、研修中の社員の時給も1人あたり1時間700円が支給され、1社あたり10人以下の企業でも複数の企業と共同で研修を実施することが可能となっている。また、申請手続きの書類作成等にかかる諸費用についても、今回の説明会に参加した企業に限って無料となる。

なお、説明会には1回につき8社・24名(1社につき3名)までの参加が可能で、説明会の参加費は無料。

  • 「キャリアップ助成金」説明会の概要
  • 主催:エース教育総合研究所
  • 協力:日本経営道協会
  • 日時:(1)6月10日(火) 14:00〜16:00
       (2)7月 2日(水) 14:00〜16:00
  • 会場:日本経営道協会 会議室
  • 東京都千代田区外神田2−2−19 MKビル5F(御茶ノ水駅 徒歩3分) >Map
  • 問い合わせ・申し込み:エース教育総合研究所
    TEL.045-501-4525/FAX.045-508-4855

英語の楽しさを子どもたちに NPO愛進研「2014教育セミナー」を開催

「ゆとり」でも「詰め込み」でもない、「生きる力」の育成を目指した新学習指導要領が全面的に実施されたことに伴い、大学入試がどのように変わるのか、注目が集まっている。昨年12月には文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を発表。小・中・高を通じた英語教育全体の抜本的充実をうたった同計画では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、国際社会に対応できる英語力を身につけるための教育環境づくりの推進が明記され、教科の中でもとりわけ、英語教育が大きく様変わりすることが予想されている。

英語の楽しさを子どもたちに

愛知県の民間教育機関で働く教師たちで運営するNPO愛知県進学研究会(以下、愛進研)は、子どもたちの進学や未来についての研究を行っている。

「日本がグローバル化に遅れをとった一因は英語教育にある。単語は知っている。文法にも強い。にもかかわらず英語が使えない…子どもたちにもっと英語の楽しさ、大切さを伝えたい」との思いから、5月11日(日)、小中学生を対象とした「2014教育セミナー」を開催した。会場となった名古屋高等学校のチャペルは約400名の親子連れで満員となり、英語教育に対する関心の高さがうかがえた。

楽しいから英語が好きになる

安河内哲也先生

安河内哲也先生

第一部は基調講演『使える英語の学び方』。テレビなどで人気の安河内哲也先生が「良い子のみなさん、悪い大人のみなさん、こんにちは!」と登場すると、会場はたちまち楽しい雰囲気に。「僕は学生時代、英語の勉強が大の苦手でした。教科書の和訳や穴埋め問題に違和感を感じていたのです。大学受験に失敗してさすがにまずいなと思い、予備校に行ったのですが、そこで出会った先生が素晴らしく、僕に英語の楽しさを教えてくれたのです。

英語はコツをつかめば、誰でもいつからでも、できるようになるんですよ」と、自身の体験を紹介した。「英語の勉強の仕方はただ一つ。音で学ぶこと。今日はそれを実践していきましょう」と、英語を使ったクイズをゲーム形式で出題。面白いクイズが続出し、会場は笑いに包まれた。クイズを通して安河内先生は、耳と口とからだを使って楽しみながら英語を学ぶことの大切さを伝えた。

英語教育についての研究発表も

鹿島塾の鹿嶌將博塾長

鹿嶌將博会長

第二部ではNPO愛進研の会長・鹿嶌將博氏(鹿島塾代表取締役社長)による愛進研の研究報告が行われた。従来の常識と異なる新しい学びを展開している国際教養大学についてレポートした。

「学内には海外からの留学生が150名ほど在籍。日本人学生は留学生たちとともに、寮生活を送っています。授業も生活もほとんど英語で行われます。世界各国の仲間たちと切磋琢磨しながら生活していくことで、英語力、コミュニケーション力がどんどん磨かれて行きます」。

そして、鹿嶌会長は「英語は、テストのために勉強するものではなく、世界で活躍するためのツールなのです」と結んだ。

英語を通して見えてくる未来

敬愛塾の伊藤清博塾長

敬愛塾の伊藤清博塾長

第三部は、敬愛塾の伊藤清博塾長によるシチュエーションクイズ。きよひろくんの一日を場面ごとに描いたユーモラスなイラストを見ながら、子どもたちは楽しそうにクイズに挑戦した。

伊藤塾長は引き続きエンディングで、「君たちに贈るメッセージ・ある卒業生のストーリー」として、ある日本人少年のアメリカでのエピソードを紹介。「mission(責務)、Passion(情熱)、Never Give Up(あきらめない)、この三つの精神が、君たちの未来を切り開き、夢の扉を開く、大きな力となります」と会場の子どもたちにエールを贈った。

偏差値30台の生徒が1年で60に!? チャレンジカップ2014グランプリ決定戦開催

4月27日(日)に、北千住のシアター1010でチャレンジカップ2014グランプリ決定戦(主催:一般社団法人日本チャレンジ教育協会)が開催された。チャレンジカップは半年間のチャレンジ目標を子ども達自身が設定し、エントリーする。「志望校合格」や「サッカー全国大会出場」、「募金を100万円集める」など、チャレンジ目標は様々。まさに、何でもありの甲子園だ。

チャレンジカップ2014の会場

チャレンジカップ2014グランプリ決定戦の会場

今年で7回目となるチャレンジカップ2014は、過去最高となる
Robe demoiselle d’honneur violette 1万4000名を超える子ども達が学校・学習塾から参加。グランプリ決定戦では、3月に開かれた地域審査・全国審査を勝ち抜いてきた8組が半年間の活動の軌跡や、その中で得た気付きを発表した。

学習塾からは、小学生ながら2人で合計1400時間の勉強マラソンにチャレンジをした「チルドレン」(ITTO個別指導学院仙台中田校)、偏差値30台で学年ビリから1年で偏差値を60まで上げて大学合格を果たした「★あきなん★」(ITTO個別指導学院新小平校)、長年会話をしていなかった友達に謝罪することに挑戦した「琴音」(ITTO個別指導学院多摩落合校)の3組がグランプリ決定戦で発表した。

当日は、パズドラやブックオフのCMにも出演中の、日本で唯一のプロ応援団「我武者羅應援團」や、チャレンジカップ公式ソングを歌う「カラーボトル」が会場に応援に駆け付け、チャレンジカップに参加した全生徒にエールを送った。

杉山愛さんや柴田亜衣さん、土田和歌子さんといった世界一に輝いたプロのアスリートをはじめ、経済界・教育界の著名人が特別審査員として参加し、会場参加者の投票と合わせて日本一となるグランプリが決定した。

グランプリ表彰を受ける長崎創成館高等学校のYUDAIさん

グランプリ表彰を受ける長崎創成館高等学校のYUDAIさん

選ばれたのは、フリースタイルフットボールに挑戦し、100種類を超える技を身に着けた「YUDAI」(創成館高等学校)。ケガによりサッカー人生を断たれた高校生が、自分の人生をあき
Robe demoiselle d’honneur rouge らめることなく、サッカー部のマネージャーとして、そして、フリースタイルフットボールプレイヤーとしてサッカーに関わり続けたその活動は、多くの参加者の胸を打った。

「怪我をした事実は変えられない。でも、怪我をしたことをどうとらえるかは自分の考え方次第。それは変えられます」

「怪我をしたからサッカーができないと思うか、サッカーはできないけど他にできることはある、と思うかは自分次第です」

学校、学習塾の垣根を越えて参加できるチャレンジカップは、今年も9月に開催予定。実行委員は「子ども達に自信をつけさせることで、成績の向上はもちろん、自分の人生を主体的に生きる姿勢を身に着けさせることができると考えています。ぜひ、多くの学習塾にも参加してほしいと思っています」と話す。詳しいエントリー方法は7月中旬に公式ウェブサイトで公開予定。同サイトでは4月27日の発表内容の詳細も紹介している。

「教育3.0」の実現! ICT教育の最前線情報を共有

「iTeachersカンファレンス2014 Spring」開催

近年多くの学校や学習塾関係者が関心を寄せ、その必要性を感じている「ICT教育」。しかし、まだ言葉のみが先行しているのが現状ではないだろうか。実際に、「ICT教育をどのように導入するか」「どう取り組むのか」「どの程度の設備投資すればいいのか」「ICTを担う人材はどう育成すればいいのか」といった声が現場から聞こえてくる。

こうした現状は、「関心はあるが具体的な手法がわからない」といった現場の状況に応える具体的かつ有益な情報が不足しているのも一因ではないだろうか。そのようななか、4月27日(日)東京・五反田の学研ビル ホールにICT教育の第一線で活躍する実務家、研究者が一同に介したイベント「iTeachersカンファレンス2014 Spring」が開催された。

トークセッションの様子

トークセッションの様子

「iTeachers(アイ・ティーチャーズ)」は2013年4月、小学校・中学校・高校・大学・専門スクール・学習塾、それぞれの領域で日本を代表する9人の先駆者が集まり結成された、教育ICTを通じて「新しい学び」を提案する教育者チーム。互いのICT導入・活用事例を共有し、実践の中で培われた経験やノウハウを、全国のイベントやセミナー、メディア等を通じて広く情報発信している。

今回のイベントでは、iTeachersチームメンバーを中心に、最新のICT教育実践事例に関するプレゼンテーションが行われた。他にも、プレゼンター全員が登壇してのトークセッションも行われ、ICT教育に関心を寄せるイベント参加者にとって、理論理屈ではないICT教育分野における現場の実情、実践的な導入手法を知る機会となった。

今後も教育界において「ICT」が真の価値をもって広がっていくためには、今回のイベントで登壇した先駆的にICT教育に取り組む学校、学習塾の実践例が多くの関係者に共有され現場レベルで新たに実践されることが不可欠ではないだろうか。ICT教育におけるiTeachersの取り組みには今後も注目していきたい。

「iTeachers カンファレンス2014 Spring」プレゼンターとテーマ

永野直先生(千葉県立袖ヶ浦高等学校) 情報コミュニケーション科第1期生卒業とこれから
栗谷幸助先生
(デジタルハリウッド/デジタルハリウッド大学)
クリエイティブを『楽しく』伝えるということ
片山敏郎先生(新潟大学教育学部附属新潟小学校) 小学校でのICT Revolution!〜タブレット活用の成功要件〜
小酒井正和先生(玉川大学) デバイスは進歩した。先生は進歩しないといけないのか?
岩居弘樹先生(大阪大学) とりあえずやってみる
小池幸司先生(俊英館/教育ICTコンサルタント) iPadを授業で使うたった1つのシンプルな目的
金子暁先生(広尾学園中学校・高等学校) 2014広尾学園のICT
杉本真樹先生(神戸大学/医師・医学博士) 教育を動かすインセンティブプレゼンテーション

外部リンク:iTeachers 公式ウェブサイト

小学校受験対策に行動観察オープンテストを実施 成基

株式会社成基は3月21日(祝)、メルパルク京都にて小学校受験における「行動観察」対策としてオープンテストを実施した。

行動観察テストの様子

行動観察テストの様子

行動観察は受験生である子どもに、数人のグループでの共同制作や個人制作、集団遊びなどをさせて、それらを通してその子の行動を見るといったもので、ペーパーテストや面接同様、私立小学校入試で導入されている。オープンテストは子どもだけで別室に集められ、実際の試験さながらの雰囲気で進められた。結果はその日の内に保護者にフィードバックされ、後日自宅にも送られる。対策が難しい分野なだけに、申し込みは殺到したという。

子ども達がテストを受けている間、保護者には別室にて教育講演会が開催された。講師には百ます計算の提唱者で現在は立命館大学教授、立命館小学校校長顧問を務める陰山英夫氏。

立命館大学教授、立命館小学校校長顧問の陰山英男氏

立命館大学教授、立命館小学校校長顧問の陰山英男氏

氏が自ら収集し分析した膨大なデータを基に、日本の行く末や今後求められる人材像、それを踏まえた幼少期における子どもへの接し方等を語った。その中でも氏は、子どもの頃の「勉強以外の様々な体験」を非常に重視しており、小学生・中学生のうちにいろいろな体験をさせ、いろいろな人に会わせ、いろいろな大人から話を聞かせることが重要だという。そのため、所謂「勉強」は「効率よくする」ことが求められる。短時間で効率よく勉強することで、勉強以外の体験に充てる時間を確保できるからだ。日本では「長時間勉強すること」や「こつこつ努力すること」が異常に尊ばれる現状があるが、それは大きな間違いだ。実際、社会では過程ではなく結果が求められ、成果を出せない者に対する評価は低い。効率よく勉強するためには「集中」が必要だが、そのためには睡眠と食事がキーとなる。「子育て=睡眠と食事」と言い切るほど、生活管理が学力の向上と深いつながりがあるとのことだ。

洛星中学校・高等学校 生徒募集担当の藤田武久氏

洛星中学校・高等学校 生徒募集担当の藤田武久氏

午後からは洛星中学校・高等学校の生徒募集担当である藤田武久氏を招いての講演会が開催された。同校は「キリスト教カトリック精神に基づく“全人教育”」を目標に掲げて教育を行なっており、授業、クラブ活動、学校行事、宗教行事などを通じて、「心と頭と体のバランスの取れた人間を育てる」ことを実践している。そこには大学進学のための学力のみならず、社会で通用する教養、自ら考え、判断し、行動する力を身につけることが含まれる。進路指導においては早期から職業や職種に対する認知を高め、職業体験などを通じて「将来何がしたいのか?」を考えさせた上で大学の学部や学科選びに繋がるようにしている。特に志望の多い医学部については別途講座を実施するという力の入れようだ。これには技術だけではない、人間味溢れる医師になって欲しいとの同校の思いからきているとのことだ。

それぞれの講演後は、私立小学校入試の傾向や今年度の入試予定が伝えられた。大阪府では10月1日が解禁日、京都府では10月8日が統一入試日となる見込みだ。

 

【訂正】『月刊私塾界』5月号に掲載されている記事中、陰山英男氏の肩書き、今年度の入試予定に誤りがありましたので、訂正します。

アップ・日能研関西・浜学園の3社が「関西教育機構」を設立

兵庫県の進学塾大手の株式会社アップ(兵庫県西宮市、尾上嘉基代表、以下「アップ」)、株式会社日能研関西(兵庫県神戸市、小松原健裕代表、以下「日能研関西」)、株式会社浜学園(兵庫県西宮市、竹森勝昭代表、以下「浜学園」)の3社は、4月1日、関西圏の私立学校における教育の発展を通じて、関西の教育水準向上を目指すために、一般社団法人「関西教育機構」(小松原健裕理事長)を設立した。

幼児から大学受験指導までを行うアップと浜学園、そして関西の私立中学受験指導に定評のある日能研関西の3社が持つ教育サービスや教育資源、さらにはこれまで蓄積されたノウハウを集約させることで、私学教育の発展および関西の教育水準向上に貢献できる活動を目指すという。

4月17日には、私立中高一貫校を目指す児童の保護者を対象にした教育セミナーを大阪市北区の読売大阪ビル地下1階のギャラリーよみうりで開いた。保護者ら約120人が参加。浜学園の藪孝昭・経営企画室課長補佐は「中高一貫の私学は、学力が同レベルの生徒を対象としているため効率の良い授業が出来、高校受験に縛られない、余裕を持った6年間の勉強スケジュールが組める」と魅力を強調。このほか、様々な特長を持った各一貫校の紹介や、国語、算数、 理科の教科担当者による学習の進め方の説明もあった。

今後は、朝日学生新聞社とタイアップしてタブロイド判の教育冊子を年2回発行するほか、6月29日には、大阪私学連合会との合同イベント『私立中学展』を開催する。また、私立学校をはじめ、公教育におけるICT教育の導入支援や指導面、有効利用に関する協力を積極的におこなっていく。

この社団法人には、複数の新聞社や大学、通信会社をはじめとする企業などが特別会員として参加を表明しているほか、設立趣旨に賛同し会員となる法人や団体は今後も募集していく。申し込み・問い合せは、株式会社浜学園・経営企画室(TEL.0798-64-1912)まで。