Category: 塾ニュース|教育ICT

FLENSが中学生向けの学習管理ツールを搭載 新たに英語コンテンツも追加

FLENS(フレンズ)株式会社(東京・品川区、大生隆洋代表)は、同社が各地の学習塾や学校などの教育機関に提供している、タブレットPCで全国の生徒がリアルタイムに対戦型の授業をおこなうことができる「FLENS」に、中学生向けの学習管理ツールを新たに搭載。また、中学の英語教科にも対応した。

確認テストモード

確認テストモード

この学習管理ツールには、高校の入試対策用に使う「確認テストモード」と、弱点克服のための「個人帳票」、そして講師の指導力向上ための「弱点分析帳票」が含まれる。これまでは、全国の自分にぴったりのライバルと競い合いながら基礎知識の定着を図る「コンテストモード」に加え、今回搭載された「確認テストモード」では、より入試問題に則した形式で学習できるようにする。これは、学習塾で普段実施している確認テストを、タブレットで実施することにより、プリント準備や採点をはじめ、結果の入力や宿題管理といった業務にまつわる講師の負担を軽減し、効率よくテストを実施することができる。また、思考力を問う問題や図表の読み取り問題など実践的な内容を確認テスト形式で行うことができる。

個人帳票

個人帳票

また、弱点克服のための個人帳票によって、受講当日に間違えた問題や未回答問題のテキスト対応ページ、過去の学習履歴などを随時帳票で出力でき、復習に役立てられる。実際に授業が終了してから数分で帳票を出力でき、校舎責任者がリアルタイムに確認してフォローできる。また、各教室の用途に合わせて、ペーパーでもPCの画面上でも出力でき、CSVテキスト形式で書き出して独自の学習管理システムに取り込むこともできる。

理科解答分布図

理科解答分布図

さらに、ペーパーテストによる採点で困難だった単問単位の正解率分析や、生徒の誤答パターン分析もできるうえに、正解率だけではなく、生徒がどのように間違えたかを視覚的に見易い画面でタイムリーに把握できるため、間違えやすい問題などを重点的に教えるための授業の補完ツールとしても使えそうだ。

そして、今回追加された中学校向けの英語コンテンツでは、中学1年~ 中学3年を対象に、語彙力、文法、用法など基礎力の定着を図る事を目的としたコンテンツが7200問を収録されている。FLENSが提供する家庭学習用教材「リハトレブック」は、教室では週1回20分の確認テスト講座を想定して設計されており、家庭学習と連動して繰り返し行うことで、各学年で重要な基本項目を効率よく習得できるという。なお、中学生向け英語コンテンツは、2014年10月から2015年3月まで実施された福生市と慶応義塾大学とFLENSの産学官協働実証実験でも採用されていた。

単問別正解率グラフ

単問別正解率グラフ

「Romo(ロモ)」ロボット使いプログラミング体験

米国のロモティブ社が開発した教育用ロボット「Romo(ロモ)」は、スマホと駆動装置を組み合わせたロボットを使ってプログラミングを学ぶシステム。ロモは昨夏から日本での販売が始まり、今年2月には、米国のマサチューセッツ工科大メディアラボが開発したプログラミング学習用ツールと連動した新作も発表された。自分で入力したプログラム通りに動き回るロボットを見て、コンピューターの世界を体感してもらうのが狙いだ。

オンライン学習塾のアオイゼミ 有料の新サービス「SACLASS」を始動

オンライン学習塾『アオイゼミ』を運営する株式会社葵は、この4月から新たに、最難関公立高校受験生向けのオンライン学習塾『SACLASS(サクラス)』の提供を開始する。このサービスの特徴は、それまでライブ授業を無料で配信していたアオイゼミとは違い、有料でのサービス提供(受講料:2万7000円・税別/月、入会金・教材費・夏期/冬期講習代含む)となっていることと、入塾テストが設けられていることだろう。

SACLASS(サクラス)の紹介ページ

SACLASS(サクラス)の紹介ページ

まず、有料サービスになったことで、受講生には様々な特典が用意されている。例えば、受講生一人ひとりに「専属チューター」がつくことは特筆すべき点だ。そして、そのチューターと講師によって、「やることリスト」という受講生一人ひとりに合った学習リストが作成され、それをもとに勉強の進み具合に合わせて、過去の講義動画を使った復習や予習などのアドバイスをしてくれる。その際の面談は、チャットのような形で双方向のやり取りが可能になっている。さらに、サクラスの受講生限定で、いつでも何度でも質問できる「質問掲示板」も設置され、24時間以内に質問に対する回答が返ってくるなど、手厚いフォローが受けられる。

また、ハイレベルな授業について行けるように、オンラインのサービスとしては珍しく入塾テストが設けられており、基礎学力を養成するアオイゼミとは一線を画している。

ライブ授業は、毎月郵送される専用テキストを使用して、米アップルのiPadで受講する。そして、授業中も直接質問することが可能になっているだけでなく、例えば部活や用事で授業が受講できなくても過去の授業動画を常時無制限に見て学習することができる。

アオイゼミの石井貴基代表

アオイゼミの石井貴基代表

また、自習用テキストや参考書には、受験研究社の教材から生徒一人ひとりに合わせた形で提供される。初年度は、中学3年生を対象に、100名限定で募集する。基本的には、数学と英語のみの週2日の4講座だが、夏期講習と冬期講習は、それに加えて国語、理科、社会の入試対策授業も配信される。

「自分のデバイスで好きなものを見る、使う現代に適した学習スタイルを提供し、次世代の学習塾をつくりたいと思っています」と同社代表取締役塾長の石井貴基氏は語る。SACLASSはオンライン学習塾の新たな市場を開拓するのか、動向を見守りたい。

好学出版が、小学生向け問題集に対応した「デジタル指導書」をリリース

株式会社好学出版は、自社の学習塾向けの小学生向け問題集『コア』に対応した「デジタル指導書」を発売した。同社のデジタル指導書は、昨年に発売された中学問題集『ウイニング』に続いてのリリースとなる。このデジタル指導書は、小学5・6年生向けの4教科(国語、算数、理科、社会)の『コア』に対応した約1200ページを電子黒板に表示して使用できる。画面をタップするだけで電子黒板に映ったテキストを拡大・縮小、あるいは、問題の解答も表示され、直感的にシンプルな操作で授業が進められるように工夫されている。

画面をタップするだけで直感的に操作できる

画面をタップするだけで直感的に操作できる

電子黒板を導入する塾も増える中、授業でどういったアプリケーションを使うかが焦点になるだろう。同社が開発したデジタル指導書は、インタラクティブPDFで提供されるため、米・アドビが提供する無料のAdobet ReaderがインストールされているPCであればスムーズな運用が可能になっており、すぐに授業に組み込むことができる。

編集部の松田義信課長

編集部の松田義信課長

このデジタル指導書の開発に携わった同社編集部の松田義信課長は「実際に使われる先生方のご意見も伺いながら、デジタル指導書を使うために特別に操作方法を覚える必要がないように設計しました」と語る。実際に使ってみると、初めて触れる記者でもすぐに使うことができ、優れたユーザビリティを備えていることを実感できた。

国語の掲載文、理科、社会の図版も収録されているコンテンツはすべて著作権処理が施されているので、写真や図版を安心して授業で使うことができる。理科や社会では、フルカラーの教材の魅力を存分に活かすことができるため、すでに導入した塾では、生徒が常に目を前に向けて授業に集中できるという効果も出ているという。

講師にとっては、黒板やホワイトボードに解答を書くことや、地図や実験の図を描きながら説明する必要がなくなり、板書の時間を短縮できることから、生徒と向き合うことに集中して、理解度を深めるために、より濃度の高い授業をおこなうことができる。価格も通常の指導書を購入するのと変わらない程度の価格に抑えられており、PC1台毎にライセンス提供されることから、規模の大きい塾にとっても導入しやすい。好学出版では、今後も季節講習の教材などへのデジタル対応も検討しているといい、塾における教育ICTの推進を教材の面から後押ししていく。

佐賀の小学1年生がプログラミング授業の成果発表

タブレット端末を使ってプログラミングに親しむ学習実証研究の最後の授業が2月12日、武雄市山内町の山内農村環境改善センターであった。市立山内西小学校の1年生40人を対象に、DeNA(ディー・エヌ・エー)、東洋大学と市が昨年9月、三者協定を結び、昨年10月から今月までに隔週ペースで計8回の授業を実施してきた。DeNAの川崎修平最高技術責任者がすべての授業で講師を務めた。この日、児童たちは自分で完成させた作品を1人ずつ発表した。

デジタル学習支援システム 阪大などが新開発

大阪大学のサイバーメディアセンターなどはデジタル教材の新たな支援システムを開発した。新システムは「ウェブ・オーシーエム・ネクスト」。阪大のほか北大、東北大、九大などが連携して開発した。新システムは、決まった形式に従ってパソコンを操作すれば、問題文や画像などの編集・作成ができる。時間・場所に縛られず、ウェブ環境さえ整えば、勉強できる利点もある。システムに不慣れな教師でも簡単に独自教材を作れるため、個人の学習状況に応じたきめ細やかな指導ができると期待されている。

産官学が連携し、ICT利活用を促進するための「標準化」策定と普及図る共創会議が設立

ICT CONNECT 21(みらいのまなび共創会議)設立発表会が、2月2日、電通ホール(東京都港区)で開かれた。同会議は、企業、教育団体、有識者、省庁が数多く参加している。設置された席も満席になり、注目の高さが伺えた。

現在、学校の現場では、電子黒板やデジタル教科書の利用が増加し、生徒1人につき1台のタブレット端末を配布し学習に利用する学校も出てきている。授業以外では、教職員の校務にもICT機器が利用されるなど、様々な場面でICTの活用が進んでいる。さらに学校だけでなく、オンラインで家庭学習ができる教育サービスなどを提供するEdTechと呼ばれる教育ベンチャー企業や、大学の講義配信サービスからはじまったMOOKsなど、教育の中に様々な形でICTを利用する動きが活発になっている。

ICT CONNECT21 発表会の様子

ICT CONNECT21 発表会の様子

しかし一方で、ICTの利用が進むにつれて、学習者の個人情報の保護、ユーザビリティーやアクセシビリティの向上、コスト削減などの諸問題とも向き合わなくてはならない。そういった背景の中、教育の中でICTを活用するための「標準化」の策定を担い、その普及を図るべく、ICT CONNECT 21(みらいのまなび共創会議)は設立された。

「標準化」が策定されれば、様々な教育サービスが同じフォーマットを使用し、操作方法の共有、連携が可能になる。そうなれば、学習者や指導者、また提供者にとって相乗効果が生まれ、ICTのよりよい利用ができるようになることだろう。同会議の会長に就任した一般社団法人日本教育情報化振興会会長、白鴎大学教授である赤堀侃司氏は、

「日本の教育システムは極めて優れています。世界に向かって堂々と発信していいわけです。伸ばすべきところはもっと伸ばし、コアとなる日本の素晴らしさを海外に発信していいと思っております。そういった中で、このICT CONNECT 21が起爆剤となれば大変嬉しいです」と述べた。

劇的に変化している教育パラダイムの中、ICTの利活用は切り離せない。そうしたことからも、今後のICT CONNECT 21の活動が、日本のICTの教育利用の道標となることを期待したい。

タブレット活用教育支援 大日本印刷と日本マイクロソフト

大日本印刷は日本マイクロソフトと共同で、タブレットを活用した教育支援システムを開発した。システムはウィンドウズを搭載した一般的なタブレットで利用できる。生徒は設問に応じて、タッチ操作で解答を選んだり、手書きで数式を書き込んだりできる。解答は電子データとして教師のパソコンで自動集計。各設問の解答にかかった時間や解答の順序、自由記述問題の記述過程なども記録する。大日印などは解答過程のデータを分析し、指導方法の改善手法などを提供する。システムの価格は1校当たり15万円。

教師対面授業が主役、ICT利用は補完的に 栄光ゼミナールが保護者に意識調査

2014年9月、栄光ゼミナールはICTの教育活用について、サイバーエージェントグループ・株式会社STRIDEが運営する、女性向けクラウドソーシングサービス「Woman&Crowd」と協力して全国500人の母親を対象にインターネットによるアンケート調査を実施。20の質問が設けられたアンケートを通し、母親がICTの教育活用に関してどのような意識を持っているかが考察された。

文部科学省の方針「2020年には1人に1台のタブレット」を与えることについて認知している母親は、わずか21.8%しかいない結果になった。その一方で、その方針については「賛成」「どちらかといえば賛成」を合わせると、63.6%の母親が支持をしているという結果に。認知を広める努力の必要性は感じるが、期待度の高さは感じられる結果となった。

政府方針を知っているか

ICT機器を学習に使用するとき、使用に適している場所はどこかという質問には、76.4%が学校、75.2%が家庭(居間)と回答(複数回答可)。その反面、家庭(子供部屋)の回答が9.8%にとどまっていることから、栄光ゼミナールは、教師や親の目の届くところで使用させたいとの考えが浮かび上がると述べる。しかし注目すべきは、学習塾と回答した母親が35.8%にのぼることだろう。学習塾に対するICT活用教育への期待値の高さが伺え、今後の学習塾の取り組みに示唆を与えている。

 

ICT機器の使用場所

ICT機器の利用については、対面型の授業をベースとして、その補完的役割を担ってほしいと考える母親が68%いるという結果が出ている。その反面、ICTのみやICTを主役にした授業は、8%にとどまり、家庭での予復習に利用の意見も9%にとどまっていることから見ると、母親の大半は、教師によるクラス制の対面指導という従来の学習法を希望していることがわかる。

「希望する学習サービス」の質問では、母親は平均すると1人当たり3.7個の学習サービスを選択している(複数回答可)。最も多かったのは「インターネットを使っていつでも自由に質問できる」で49%。反対に「e-learningによる教科指導」は18%と低く、「教師対面授業が主役でICTは補完的に」の声が強いのではないかと栄光ゼミナールは分析している。また、そのような中、「e-learningによる英会話」の44%、「英単語・語句・知識の暗記」の32%は注目される数値だとも栄光ゼミナールは述べる。

 

03_希望する学習サービス

栄光ゼミナールは今年度からiPad miniを使った学習指導を導入している。そこで栄光ゼミナールは、今回のアンケートの回答者にそのPRのホームページを視聴してもらった上で、感想も聞いている。その結果、約半分の48%が「関心が湧いた」「少し湧いた」と回答。この結果から、栄光ゼミナールは、学校や学習塾での導入例も少なく、まだ理解されていないと分析。ソフトや指導法の開発はもちろんだが、保護者へのわかりやすい説明やPRが必要とコメントしている。

シャープ、教科書や教材の電子化に参入 今春から

シャープは今春に教科書や教材を電子化する事業に参入する。教育・教材関係の出版社などと電子教材を共同開発し、学校や学習塾に販売する。同社は電子書籍サイト「ガラパゴスストア」を運営しているが、個人向け市場は競争が激しく占有率の拡大は至難と判断した。今後急成長が見込める教育関連の電子コンテンツを開拓し、学校や学習塾などからの大料受注を狙う。