Category: 塾ニュース|生活

地震の後も熊本の私塾が貫いた、民間教育機関としての使命

4月14日に発生した震度7の前震をはじめとする一連の地震は、熊本一帯に大きな被害をもたらした。それでも現地で私塾に携わる人たちは過酷な状況のなか、子供たちに学ぶ機会を提供し続けている。地震発生から4ヶ月近く経った熊本で、4つの教育現場をレポートする。

お金や理屈より、授業の再開を優先

早稲田スクールの本部校舎は大きな被害は免れたが、地震発生後に解体や大規模修理が必要となった校舎もあった。

早稲田スクールの本部校舎は大きな被害は免れたが、地震発生後に解体や大規模修理が必要となった校舎もあった。

熊本県内屈指の教室数をほこる「早稲田スクール」(熊本市中央区)は、地震によりひとつの校舎が解体、3校で大規模修理が必要となった。解体される校舎は移転先が見つかったものの、3校は授業再開の目途が立たなかった。そこで3校の駐車場に、トレーラーで運んですぐに使用できるユニットハウスを複数設置。5月10日には授業を再開した。

ユニットハウスの外観。手前2棟がトイレ、奥2棟が教室として使用していた。

ユニットハウスの外観。手前2棟がトイレ、奥2棟が教室として使用していた。

実はプレハブを建てたほうが費用的には負担が少ないのだが、あえてユニットハウスを選択した理由を同社の向田敬二社長が語った。「安価なプレハブを建てることも考えましたが、建築の申請や工事に長い時間がかかるんです。そうなると生徒の学習はますます遅れます。保護者も心配されますし、受験生への影響は特に大きい。ですから費用がかさんでも学習環境を早く整えなければいけない。お金や理屈ではなく、そういう思いを社内で共有して授業再開に向けて取り組みました」

仮設教室の内部

仮設教室の内部

向田氏自身も被災し、自宅近くの高校に1週間避難していた。同様に被災していた社員も少なくない。それでも同社は生徒の学習環境を整えることを優先した。向田氏は授業再開後の生徒について「それはもう喜んでいました」と、顔をほころばせた。1学期の終わりには校舎の修理がほぼ完了し、生徒たちは通いなれた校舎で夏期講習に勤しんでいる。

 

学ぶ機会を教材で提供…阿蘇地区の中学校にテキストを寄贈

なるほどゼミナールの山中孝光社長

なるほどゼミナールの山中孝光社長

熊本市東区の「なるほどゼミナール(ナルゼミ)」では、教室の水道が復旧した4月25日から「震災特別講習」を無料で実施した。それから学校が始まるゴールデンウィーク明けまでの2週間、休日を返上して朝9時から夕方6時まで授業を継続。特に小学生が通常より50人も増えたため、卒塾生の大学生や高校生がボランティアとして講師を買って出た。同社社長で講師でもある山中孝光氏は、さらに多くの子供たちに勉強する場所を与えたいと協力を呼びかけ、同様の講習が他塾でも実施された。

阿蘇地区の中学校で寄贈するテキストを生徒に手渡す山中氏

阿蘇地区の中学校で寄贈するテキストを生徒に手渡す山中氏。

しかし、阿蘇地区の子供たちは熊本市内への道路やJRが寸断されており熊本市内の塾に来ることができない状況が続いている。山中氏はここでも「阿蘇地区にいる受験生たちにも力になりたい」と考えたという。そこでナルゼミで使用しているテキスト「高校入試対策 Spurt+(スパートプラス)」を440人分、2200冊を阿蘇地区の4つの中学校に寄贈した。

「勉強の仕方が誰でもわかるようになる」という工夫が凝らされているテキストは、阿蘇地区の中学校の先生からも好評を得た。現在は、多くの住宅が倒壊した益城町の中学校にも同様の支援を行うため、クラウドファンディングで資金を募っている。

無料の授業で笑顔を増やす

〝夏期講習も無料で教えます〟。益城町でも特に被害が大きい惣領地区で、ひときわ目立つ横断幕を掲げる「さくらゼミナールましき校」。小5から中3が対象の学習塾だ。こちらの平屋で鉄筋構造の校舎はほとんど被害を受けなかったが、周囲に住む多くの子どもたちは家を失い、避難所生活を強いられることになった。

さくらゼミナールましき校の石井仁晃校長

さくらゼミナールましき校の石井仁晃校長

そこでさくらゼミナールは、4月25日から5月8日の間、ましき校を13時から17時まで無料で開放した。「生活のための避難所は大人が中心の環境になってしまいます。まずは子どもだけの居場所が必要だと感じ、教室を開放しました。ただ、子供たちは来ても元気がないんです。ですから、まずは勉強というより一人一人の話を聞いてあげることから始めました」ましき校の校長、石井仁晃氏はそう語った。

校舎の前面に「無料」の横断幕を掲げる。

校舎の前面に「無料」の横断幕を掲げる。

さらに、ウェブサイトを通して寄付金を募り、ゴールデンウィーク後に再開した授業や夏季講習も無料で実施することにした。この期間で生徒は100人近く増えたが、資金面での負担が大きく、9月からは無料で続けるわけにはいかないため、今後は被災者を支援する他団体と協力し、新たな方法で生徒のサポートを続けていくという。

生徒たちも地震直後にくらべ「笑顔が戻ってきました。それを見た保護者の笑顔も増えていると感じます」と石井氏は言う。笑顔を増やしたい。それが支援を続ける原動力だ。

私塾と学校が連携、小学校内で塾を開く

熊本県内に528校ある小中学校うち、一時は351校が地震の影響で休校となった。益城町立広安西小学校は避難所となり、約800人の避難者を受け入れた。授業は5月9日に再開したものの、その週は2時間しか授業ができなかった。

そこでPTAが中心となり、放課後に希望者が勉強できる「ガッツ学習塾」を16日から開始。ここで子供たちの宿題や復習をサポートしたのが、熊本県内で明光義塾を運営する「サクセスリンク」(熊本県玉名市)と、家庭教師派遣の熊大アカデミーを展開する「九州教育研修センター」(熊本市中央区)の講師たちだった。

明光義塾 帯山教室の尾方範夫教室長

明光義塾 帯山教室の尾方範夫教室長

明光義塾の帯山教室教室長、尾方範夫氏は「PTA会長が私と知り合いということもあり、すぐに話がまとまりました。熊大アカデミーの講師は熊大の教育学部生が多く、授業ではレクリエーションなども取り入れました。大人が協力して子供の学習をサポートしました」と語った。

益城町立広安西小学校の井手文雄校長

益城町立広安西小学校の井手文雄校長

同校の井手文雄校長は、私塾の取り組みについて「学校と学習塾は、立場は違っても気持ちは変わりません。勉強はもちろん、子供たちを見守るという点でも、子供と保護者に安心感を持ってもらったと思います」と述べた。

熊本の私塾に携わる人たちは、震災直後から子供たちに勉強を教えるという務めを全うした。その役割をそれぞれの立ち位置から貫くことで被災者に安心感を与えた。熊本の私塾をはじめとした教育関係者に敬意を表したい。

ガッツ学習塾の授業の様子。5月16日から7月22日まで実施した。

ガッツ学習塾の授業の様子。5月16日から7月22日まで実施した。

シー・シェパード、捕鯨妨害禁止で日本側と合意 米での訴訟決着

南極海などで調査捕鯨を行う日本鯨類研究所(東京)は8月23日、米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」との間で、米連邦地裁での調停により、日本側の調査船に対する妨害行為を永久に行わないことなどを柱とする合意に達したと発表した。鯨研が妨害中止を求めて2011年に米ワシントン州の連邦地裁に起こした訴訟が決着した形。鯨研によると、シー・シェパードや創設者のカナダ人、ポール・ワトソン容疑者は調査船への攻撃や安全を脅かす航行のほか、公海上で調査船の約450メートル以内に接近することも禁止された。

井伏鱒二の書簡発見  佐藤春夫に文学碑揮毫を依頼

作家、太宰治の死後、その文学碑建立を巡って作家の井伏鱒二が佐藤春夫に宛てた書簡3通が見つかった。太宰は1948年に38歳で死去。碑は56年夏、青森県外ケ浜町に建てられた。書簡3通の日付は55年12月から56年5月にかけて。井伏は手紙で、建立のいきさつを説明。「先方では石の表にいきなり文字を刻みたいと申しますが如何なものでせう」「先生の御意向をお知らせ下さいませ」と佐藤に相談している。井伏は病気療養中だったが「恢復しましたら参上して御揮毫を頂きたい」と記すなど、熱心さがうかがえる。

報奨金、計1億4600万円 リオ五輪

日本オリンピック委員会(JOC)はリオデジャネイロ五輪のメダリストに「金」は500万円、「銀」は200万円、「銅」は100万円の報奨金を支給する。メダルを41個積み上げた結果、その総額は1億4600万円になった。団体やリレー、ダブルスなど複数人で挑む種目は、1人ずつ規定額を払う。複数でメダルを獲得した選手はそれぞれを合算する。最高額は体操男子で2冠に輝いた内村航平(コナミスポーツ)の1千万円で、競泳男子の萩野公介(東洋大)が「金」「銀」「銅」1つずつの合計800万円で続く。

新人弁護士の平均年収 2010年度と比べ210万減

法務省の調査で2015年の新人弁護士の平均年収は568万円となり、5年前の10年に比べ210万円減ったことがわかった。新人ばかりではなく、全体的に弁護士の平均年収は低下傾向にある。15年の弁護士の平均年収調査は、法務省が日弁連などの協力を得て今年3月に実施。弁護士2万1313人に調査票を送り、7912人から回答を得た(回収率37%)。収入源だった消費者金融への過払い金返還請求の業務が一巡したほか、法曹人口の拡大で「弁護士余り」の状況が続いていることも背景にあるとみられる。

ポール・スミスの活動の軌跡をたどる展覧会を開催

英国の人気デザイナー、ポール・スミス(70)の活動の軌跡をたどる「HELLO,MY NAME IS PAUL SMITH」展が、東京都内で開かれている。最初に開いた小さな店の再現やデザインの発想源、過去の作品など約2800点が並び、伝統性の中にも明るさや遊び心に満ちたポールの服作りの核心に迫る展示になっている。会場に入ると、壁にポールが10代から集めた写真や絵画が約400点、有名作家の作品から子供の落書きまでぎっしりと並ぶ。8月23日まで、台東区の上野の森美術館で。

東京メトロ、駅の停車時間を延長へ 25秒以上に

東京メトロは最短で15秒だった駅での停車時間を、ホームドアのない駅のある5路線の全駅で25秒以上にし、車掌らによる安全確認のための時間を確保する。始点から終点までの所要時間は延びるとみられる。対象は銀座線、千代田線、東西線、日比谷線、半蔵門線。5路線計97駅のうち、停車時間は銀座線の4駅が15秒、事故のあった九段下駅など5路線46駅が20秒、その他は25秒以上だった。まず来春に半蔵門線の全駅を25秒以上にし、4路線でも数年以内に改める。

京王電鉄、保育所を開放 事業所内施設、地域枠を新設

京王電鉄は10月から、京王グループ各社の従業員が利用する事業所内保育所(東京都多摩市)を地域に開放する。立地する多摩市の待機児童対策に役立ててもらい、沿線価値の向上につなげる。地域に開放するのは、多摩市の京王電鉄本社ビル近くにある事業所内保育所(名称「サクラさーくる」)。最寄り駅の京王線聖蹟桜ケ丘駅周辺にあるグループ各社の従業員の仕事と育児の両立を後押しする施設として、2006年に大手私鉄では初めて開設した。運営は子会社の京王子育てサポート(同市)に委託している。

 松戸市の「子どもの学習支援事業」 受託したエデュケーショナルネットワークが「すらら」を採用

千葉県松戸市で、生活困窮世帯等の子どもを対象とした、放課後の学習支援「子どもの学習支援事業」が、2年前からはじまっている。今年度から、3つあるうちの1つの会場で同事業を受託した、株式会社エデュケーショナルネットワーク(東京・千代田区、二瓶嘉男社長)は、クラウド型学習システム「すらら」を採用した少人数制授業を、夏休み中も実施している。

同社は、これまでも自治体と連携して教育事業を推進してきたが、松戸市との取り組みにおいては、生徒に個別指導を実施することが予算や人材確保の面で難しく、生徒一人ひとりへの個別対応をいかに実現していくかが課題だった。

そこで、低学力層でも基礎学力向上を実現できる、対話型のオンライン学習システム「すらら」のアダプティブな学習機能を活用し、講師1名に生徒5〜7名程度の少人数型指導により、学習状況や習熟度に合わせた柔軟な講座を展開しているという。

実際に、放課後の学習支援事業に参加した生徒からは、「集中しやすい」「楽しく勉強できる」という声が挙がっている。通常の学期中は学習時間をなかなか確保できない生徒も、夏休み中に一人ひとりの苦手な分野を過去の苦手や遅れを取り戻すため、個別の学力に合わせて学習を進めている。

「子どもの学習支援事業」は、生活に困窮する世帯、生活保護受給世帯及びひとり親世帯の小学5・6年生及び、中学1〜3年生を対象として、子どもが、家庭や学校以外において、他者との関わりを持つ中で日常生活習慣や社会性を育み、また、学習に対する意欲向上・習慣化を促して自ら学ぶ力を養うことにより、子どもの将来における安定就労に繋げ、貧困の連鎖を防止することを目的として松戸市の福祉長寿部が実施している。

具体的には、学校の勉強の復習、宿題の習慣づけ、学び直し、高校受験等のための進学支援を行うとともに、子どもが安心して通える場所を提供し、日常生活習慣や社会性を育むための支援や、必要に応じて心理カウンセラーによる相談を行う。

都内タクシー、初乗り「410円」 実証実験開始

国土交通省や東京都のタクシー会社は8月5日、初乗りの距離を短縮する実証実験を始めた。9月15日まで都内4カ所に専用乗り場を設け、約1キロメートルまで410円で利用できるようにする。現行は2キロメートル730円。利用者の需要を探り、現在、国交省で進んでいる都内初乗り運賃の短距離化の審議に生かす。

 実証実験に参加するのは大手の日本交通(東京・千代田)など23社で、専用のタクシーを40台配備する。5日はJR新橋駅東口と東武浅草駅前に専用乗り場を設け、JR新宿駅東口と東大病院前(東京・文京)でも順次始める。利用者が街中でタクシーを拾う「流し」には対応せず、乗客を降ろした後は専用乗り場に戻る。