文部科学省が3月5日、教育委員会や学校に尋ねた意向調査の結果を公表。新年度の全国学力調査に国公立の全小中学校が参加する見通しになった。また、結果分析や改善方法とあわせて、学校別の調査結果を教委が公表できる方式に変更される。学力調査は小学6年生と中学3年生が対象で、2013年度もほぼ全ての国公立校が参加した。文科省によると、新年度は国公立では計3万194校が参加予定。半数近くが参加する私立と合わせると、参加率は小学99.4%、中学96.2%。
自民党と公明党のは3月11日、首長の権限を強める改革案について大筋で合意した。教育長と教育委員長を統合して新設するポスト名を「教育長」と決定。任期は自民党案より1年延ばし3年とした。政府は今国会への地方教育行政法改正案の提出を目指す。2月18日に策定した自民党案について、両党で8回にわたり協議した。任期については、公明党の「新教育長の任期が短く、首長の権限が強まりすぎる」という意見に配慮し、2年から3年に延長。緊急時に首長が教育委員会に直接対応を要求できるとする条項は削除した。
下村博文文部科学相は2月28日の閣議後の記者会見で、「アンネの日記」破損事件について「このような本を破損することは断固許されるべきではない」と非難した。アンネの日記が世界記憶遺産に登録されていることに言及した上で「ナチスのユダヤ人迫害を語り継ぐ人類共通の遺産。今回の事件で、日本がファシズムに向かっていることはないと、海外にメッセージを送る必要がある」と話した。イスラエル大使館が被害を受けた東京都内の図書館にアンネの日記の関連本を寄贈したことにも触れ「心から感謝申し上げたい」と述べた。
文部科学省の有識者会議は2月25日、児童生徒が自殺した際に学校側が実施する背景調査の指針を見直し、全ての事案について遺族や警察への状況確認や、全教職員からの聴取、指導記録の確認などに即日着手するよう求めることで一致した。文科省は2011年6月の通知で、自殺事案があれば「できる限り全ての教員から迅速に聴取する」と規定していたが、全件調査は明示していなかった。大津市の中2男子自殺で学校側のずさんな初期対応が問題となったのを受け、ルールを厳格化することにした。
中教審の法科大学院特別委員会は2月24日、入学者数の減少など深刻な課題を抱える法科大学院を対象にした2013年度調査で、12校に「重点的な改善が必要」と指摘した。このうち既に学生の募集停止を決めた5校を除く7校はいずれも「前年度から改善が進んでいない」とした。7校の内訳は国立が香川大と鹿児島大、私立が白鴎大(栃木)、日本大(東京)、愛知学院大、京都産業大、久留米大(福岡)。特別委は、入学者数が低迷していることや教育体制が十分に整っていない点を課題として挙げた。
自民党の教育委員会制度のあり方を議論する小委員会は2月18日、教委制度の見直し案を了承した。自治体の首長の権限を強めて政治主導を発揮するうえに、教科書採択やいじめ問題で国の関与も強める内容。 見直し案は、改革目的として、 ・教育行政の責任の所在を明確化 ・迅速な危機管理対応 ・選挙で選ばれた首長の意向を教育行政に反映 ・国の関与強化 の4点を明記。いずれも自民党の選挙公約に沿った内容だ。教委の役割は縮小させる安倍晋三首相の意向に沿ったもので、今国会での関連法案の成立を目指す。
自民、公明両党は2月5日、自治体の教育委員会制度改革を巡り、教委を教育行政の決定権がある最終責任者(執行機関)のまま残す一方、教育委員長と教育長のポストを統合して機能を強化する案の検討に入った。中央教育審議会が首長を執行機関とし、教委を付属機関に格下げするよう答申したのに対し、新たな案は統合する教委トップを常勤とし、いじめ問題などに緊急対応できる体制整備を図るもので、首長に教委トップの任免権を与える方向で調整する。
文部科学省が、カード型の「教員免許証」の発行を検討している。免許証は自動車運転免許証のような形態を想定。氏名、生年月日、所有免許の種類、更新講習の受講期間などを明記し、複数の免許所持者も1枚のカードに情報をまとめる。1月31日にあった有識者の検討会議では、「携帯義務までは不要だ」などの意見が出た。6月ごろまでに方針を決める。免許更新制で必要な講習の受講や手続きを忘れた失効が相次ぐため、有効期限を明記して防ぐ狙いがある。「証明証」も作り、「失効隠し教員」の対策を強めたい考えだ。
文部科学省が1月26日までに、中学・高校の地理で学習指導要領解説書について、災害対応で自衛隊が果たす役割に関する記述を追加する方針を固めたことが分かった。文科省は既に同解説書で竹島と尖閣諸島を「我が国固有の領土」と明記することを決めており、近日中に併せて発表される。自衛隊は、東日本大震災、伊豆大島の土石流など多くの大規模災害に出動し、物資の輸送やがれきの撤去などの復旧活動に従事。一方、フィリピン台風災害(昨年11月)時の自衛艦派遣を「海外派兵」と批判する国際世論もある。
教育再生実行会議(代表:鎌田薫早稲田大総長)は10月29日、「入りにくく、出やすい」といわれる日本の大学の現状を改め、卒業認定を厳格にするため、国から大学への助成制度を見直すよう提言する方針を固めた。学生数が定員を大きく上回った大学は助成を受けられないという現行のルールを撤廃または緩和。成績の悪い学生を留年させても大学が不利にならないようにして、卒業生の質の向上を狙う。同会議は10月末にまとめる大学改革の提言に盛り込む。詳しい仕組みは中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)で検討する見通し。
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