Category: 塾ニュース|大学

東海大学とNEC、教学IR高度化へ共同実証 大学データ活用基盤PoCを完了

 東海大学と日本電気(NEC)は4月27日、教学IR(Institutional Research)領域におけるデータ活用高度化を目的とした共同プロジェクト「大学向けデータ利活用基盤PoC」を実施し、2026年3月に完了したと発表した。今回の実証では、大学内に分散する学務データや学修力調査、学生アンケートなどを横断的に活用し、教育の質向上や大学運営の高度化につながる分析基盤の有効性を検証した。基盤にはMicrosoft Fabricを採用した。両者はワークショップを通じて、①就職率向上に向けた進路・キャリア分析、②中退・留年防止に向けた学生行動分析、③入学時属性と学習成果の関連分析、④教育価値の可視化――の4つの重点課題を設定。課題ごとにKGI・KPIを整理し、分析ロジックの構築やダッシュボードによる可視化を進めた。

 その結果、これまで個別管理されていたデータを統合的に分析できる体制を整備し、教職員間での共通理解や施策検討に役立つ知見が得られたという。今後はAI活用も視野に、実務運用への展開や対象領域の拡大を検討する。NECは今回の成果を他大学向けサービスにも展開し、大学DX支援を強化する方針だ。

名古屋大学×オリコン、実データ活用の人材育成始動 自動車保険の顧客満足度を共同分析

 オリコン株式会社は4月27日、名古屋大学 数理・データ科学・人工知能教育研究センターが実施する「実践データサイエンティスト育成プログラム」に対し、顧客満足度調査データを提供すると発表した。社会人と大学院生がチームを組み、実際の企業データを活用して課題解決に取り組む産学連携型の教育プログラムとなる。今回のテーマは「自動車保険を顧客満足度から分析」。受講者は、オリコンが保有する2024年~2026年の自動車保険ランキングに関する定量・定性データをもとに、契約者が重視する評価ポイントの可視化や、分析業務の効率化につながるプロトタイプ開発を進める。統計解析や自然言語処理(NLP)を活用し、サービス品質の本質に迫る。

 演習は2026年4月に開始しており、5月の中間報告会、7月の課題報告会を経て、7月末に企業向け最終報告を実施する予定。修了式は9月24日に行われる。企業の保有データを教育現場に開放し、実務に近い環境で高度人材を育成する取り組みとして注目されそうだ。

叡啓大学、地域課題に挑むPBL実施 人口流出や観光ごみ問題を学生が提案

 叡啓大学は17日、若年層の人口流出や観光地の環境負荷など、地方都市が抱える課題の解決に取り組む課題解決演習(PBL=Project-Based Learning)のテーマ紹介セッションを4月21日と24日に開催すると発表した。地元企業や自治体と連携し、実社会の課題を題材に学生が解決策を提案する。PBLは、企業、自治体、NPO、国際機関などが現実に直面する課題に対し、学生が4人程度のチームを組んで調査・分析し、解決策を導き出す実践型授業。現地調査やグループワークも取り入れ、課題の本質を見極める力や協働力を養う。

 同大学では1年次に「ソーシャルシステムデザイン入門」「課題解決入門」を必修化し、課題発見や自己理解の基礎を学ぶ。2・3年次では、外部機関から提示されたテーマに複数回取り組み、提案まで行うカリキュラムを組んでいる。今回の演習には、株式会社フレスタホールディングスによる「学生アルバイトを戦力化するにはどうするか」、株式会社enginepotによる「広島県の人口流出をとめる」、廿日市市役所による「宮島におけるポジティブなごみ対策」など、多様なテーマが並ぶ。

 大学教育では近年、知識習得に加え、社会課題への対応力や実践的スキルの育成が重視されている。地域と大学が連携するPBLは、学生の学びと地域活性化を同時に実現するモデルとして広がりを見せている。叡啓大学は今後も産学官連携を通じて、地域社会に貢献できる人材育成を進めるとしている。

大阪経済大ラグビー部、西尾レントオールとスポンサー契約 関西大学Bリーグで初

 大阪経済大学体育会ラグビー部は、西尾レントオール株式会社とスポンサー契約を締結した。4月2日に発表会を行い、同社がユニフォームスポンサーとして支援する。関西大学ラグビーBリーグにおけるユニフォームスポンサー契約は初めて。

 契約の背景には、同大と同社のこれまでの関係性がある。就職・キャリア支援の分野で連携を深めてきた実績があり、同社には同大出身者が多数在籍している。こうしたつながりを踏まえ、クラブ活動支援の一環として契約が実現した。

 また、日本ラグビーフットボール協会が2025年度からユニフォームスポンサー制度を解禁したことも後押しとなった。同大は今回の契約を、ラグビー部の競技力向上と活動基盤強化につながる契機と位置付けている。

 発表会でスポーツ・文化センター長の明石光史氏は、選手を中心に大学や企業など多様な主体が支える「アスリートセンタード」の重要性に言及し、「今回の支援はチームの飛躍に向けた大きな契機になる」と述べた。

 西尾レントオールの富井孝昌氏は「学生に企業を知ってもらう機会としても意義がある」とし、競技と学業の両立を期待。ラグビー部の森岡良介監督は「支援への感謝とともに、期待に応える責任を感じている」と語った。

 共同主将の手崎大志選手と平原海人選手も、競技力と人間力の向上を掲げ、「結果と姿勢の両面で応えられるチームを目指す」と決意を示した。

 同大は今後、ラグビー部の強化と人材育成を進めるとともに、産学連携の取り組みを一層強化する方針だ。

ZEN数学センター、IUT理論の検証に向けた国際共同研究「LANA」始動 3大学が参画

 ZEN数学センターは2026年3月31日、新プロジェクト「LANA(Lean for ANAbelian geometry)」を発表した。日本、オランダ、カナダの大学が連携する国際共同研究として、数論幾何学の重要分野である遠アーベル幾何学の形式化と、宇宙際タイヒミューラー理論の検証を目指す。

 同プロジェクトには、ZEN大学、ユトレヒト大学、アルバータ大学を中心に研究者が参加。2023年秋から準備を進めており、東京都内で開催された発表会で概要が公表された。

 LANAでは、証明支援系プログラミング言語Leanを用い、数学理論を形式的に記述・検証する。特に、京都大学数理解析研究所の望月新一教授が提唱したIUT理論について、曖昧さを排除した形で再構成し、検証可能な形に整理することを目的とする。

 IUT理論は、その複雑さと独自性から国際的にも評価が分かれており、数学界で議論が続いている。LANAプロジェクトは特定の立場に偏らず中立的な視点を保ちつつ、論点の明確化と共有を図る方針だ。

 プロジェクトの中心メンバーには、加藤文元氏(ZEN大学教授)、ヨハン・コメリン氏(ユトレヒト大学)、キラン・ケドラヤ氏(カリフォルニア大学サンディエゴ校)、星裕一郎氏(京都大学)、アダム・トパーズ氏(アルバータ大学)らが名を連ねる。若手研究者も含めた国際的な体制で研究を進めている。

 同センターによると、これまでの研究活動を通じて、IUT理論の理解が及んでいる範囲と未解明の論点が徐々に明確になってきたという。2026年7月17日には中間報告を公表し、検証の進捗や現時点での見解を発表する予定としている。

 近年、数学における形式化研究は進展しており、証明支援系を用いた大規模理論の検証が現実的な手法として注目されている。LANAプロジェクトは、こうした潮流の中で最先端理論の検証に挑む取り組みとして位置付けられる。

関西大学、デジタル証明書を導入 学修成果の国際的可視化へ

 関西大学は、ネットラーニングホールディングスと連携し、学修成果をデジタルで証明する新たなサービスを導入した。国際技術標準「Open Badges 3.0」に準拠したデジタル証明書を発行し、リカレント教育における学修証明のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する。

 対象は、社会人向けの履修証明プログラム「海外子会社の経営を担う人材を養成する大学院教育プログラム」の修了者。今年度は「ベーシックコース」と「アドバンストコース」の2コースで、従来の紙の履修証明書に加え、デジタル証明書を発行する。

 デジタル証明書は改ざん耐性が高く、オンラインでの提示や共有、第三者による検証が可能で、国内外の教育機関や企業に対して学修成果を円滑に示せるのが特長。グローバル人材のキャリア形成支援にもつなげる。

 同大は社会人の学び直し需要の高まりを背景にリカレント教育を強化しており、従来の紙中心の証明手段では国際的な活用に限界があった。今回の導入により、学修成果の可視化と利活用の高度化を図る。

 今後は対象講座の拡大や継続的な証明書発行を進め、学修履歴の蓄積・活用を促進する方針。あわせて、在学から修了・卒業までの学修歴を一元管理する仕組みや、デジタル学生証の導入も検討している。

法政大と東京家政学院が連携強化 系列中高を新設へ

 法政大学と東京家政学院は、連携強化に関する基本合意書を締結した。これに伴い、2027年4月から「法政大学千代田三番町中学校・高等学校」(予定)が誕生する。

 現在の東京家政学院中学校・高等学校を法政大学の系列校とし、校名を変更。両法人の教育理念を融合し、「自由を生き抜く実践知」を軸に、創造的な人材育成を目指す。

 教育面では、大学間の単位互換制度の活用や連携プログラムを推進。高校から法政大学への学校推薦型選抜の拡充も検討する。将来的には男女共学化も視野に入れる。

 両法人はこれまでも大学コンソーシアムを通じて連携してきたが、社会環境の変化を背景に関係を一段と強化。今後は連絡協議会を設置し、具体的な教育連携や事業展開を協議していく方針だ。

養老孟司氏と「AI養老先生」が客員教授に 東京工科大、AIアバター活用の教育研究へ

 東京工科大学は3月1日、解剖学者で東京大学名誉教授の養老孟司氏と、同氏の知識や思想をもとに開発されたAIデジタルヒューマン「AI養老先生」を客員教授に任命した。人間の研究者とAIアバターが同時に大学教員に就任する取り組みとなる。

 養老氏は1937年生まれの解剖学者で、東京大学医学部教授などを歴任。人体の構造や脳と身体の関係をテーマとした研究のほか、社会や自然観を論じる著作でも知られ、2003年に刊行した著書『バカの壁』はベストセラーとなった。

 一方、「AI養老先生」は養老氏の著書や発言などをもとにパーソナリティを学習したAIデジタルヒューマン。言語だけでなく、話し方や身振りなどの身体的特徴も再現した疑似人格として設計されている。開発は、養老氏が代表を務めるメタバース推進協議会、東京大学、NTTデータによる共同プロジェクトで進められた。

 同AIは2025年に開催された大阪・関西万博で初めて一般公開されている。

 AI教育の強化を掲げる東京工科大学では、AIアバターを教員として活用することで、AIの技術研究だけでなく、AI教員の役割や教育現場での活用可能性といった新たな課題の検証にもつなげる考え。具体的な教育・研究での活用方法については今後検討を進めるとしている。

大学の防災教育を議論 大学生協連が研究会、東日本大震災15年を機に

 全国大学生活協同組合連合会は3月2日、「学生の意識と行動に関する研究会」の第50回会合を東京都内の大学生協会館で開催した。テーマは「東日本大震災から15周年に改めて考える、大学による防災・減災・被災地支援の継続的取り組み」。会場とオンラインを併用するハイブリッド形式で実施され、大学関係者やメディア関係者など38人が参加した。

 研究会では、工学院大学建築学部まちづくり学科教授で防災減災教育センター長の村上正浩氏が講演。「TKK3大学連携プロジェクト 防災・減災・ボランティアを中心とした社会貢献教育の展開」と題し、大学における防災教育や被災地支援の取り組みを紹介した。

 TKK3大学連携プロジェクトは、東北福祉大学、工学院大学、神戸学院大学の3大学が連携して進める教育活動。東日本大震災以前から交流を行っており、震災後は学生ボランティアや防災教育の取り組みを継続している。建築系の学生が避難所で段ボールを加工して机や仕切りを作るなど、専門分野を生かした支援活動も紹介された。

 講演後には、大学生協の学生委員長による防災・減災の取り組み報告が行われ、会場やオンライン参加者を交えた討議が行われた。

 2026年は東日本大震災から15年、熊本地震から10年の節目にあたる。大学生協連は今後も広報活動などを通じ、防災・減災に関する取り組みの発信を強化するとともに、学生や教職員の関心を高める活動を進めていくとしている。

英検協会と宇都宮大学、AI英語学習と4技能評価を組み合わせた教育高度化プロジェクト開始

 日本英語検定協会は、宇都宮大学と連携し、AI英語学習と4技能評価を組み合わせた大学英語教育高度化プロジェクトを2026年4月から開始すると発表した。生成AIを活用した英語学習アプリと英語4技能テスト「英検IBA」を組み合わせ、学習と評価を連動させた新たな教育モデルの構築を目指す。

 2026年度は、宇都宮大学の全学英語プログラム「EPUU(English Program of Utsunomiya University)」にAI英語学習アプリを導入。学部1、2年生約2000人を対象に授業内外で活用し、課題やeラーニングの学習履歴と合わせて学習状況を把握し、学習習慣の形成を促す。

 学習成果の測定には、CEFRレベルを表示する団体向け英語テスト「英検IBA」を活用し、Reading、Listening、Writing、Speakingの4技能の伸長度を可視化する。これにより「学習→測定→改善」のサイクルを確立し、エビデンスに基づく教育改善を進めるとしている。

 さらに両者は、学部ごとの専門分野に応じた専門英語教育(ESAP=English for Specific Academic Purposes)の体系化も検討。卒業後に必要とされる英語能力を明確化し、専門分野に特化した英語教育の設計を目指す。

 また、大学で得られた教育データや知見を地域産業にも活用する構想もある。北関東の自動車メーカーなどを対象に「モビリティAI英語教育」として展開する可能性を検討し、学生から社会人までを対象とした英語教育連携の拡大を視野に入れる。

 2026年度は学内での導入と効果検証を優先し、2027年度以降に専門英語教育の具体化や地域企業向けプログラムの展開を検討していく予定だ。