Archive for: 6月 2014

バカロレア 日本語指導可に

「国際バカロレア(IB)」の導入を目指す高校が増えている。これまで英語、フランス語、スペイン語の3カ国語での指導を原則としてきた同機構が16年度の授業から、日本の高校を対象に、全9科目中、数学や物理、歴史など計7科目を日本語で指導できると認めたからだ。教育現場の機運は高まるが、各校で進む準備を通じ、教員の技術不足や通常の教育課程との両立といった課題も浮かび上がる。

2016年度入試から、東京大と京都大が「推薦入試」「特色入試」の実施

東京大が16年度入試から導入する推薦入試は、ペーパーテスト一辺倒だった試験から「面接での人物重視」「勉強以外の活動実績」の内容で、従来型の“受験秀才”以外の学生を獲得するのが目的だ。京都大が同じく16年度から導入する特色入試は受験科目に偏らない高校での幅広い学習を重視する一方、医学部医学科では一定の条件を満たせば高校2年でも出願できる「飛び入学」を認めるなど、「世界に通用する傑出した人材」を求めているのが特徴だ。

経済的な理由で私立高校を中退した生徒 過去最少を更新

平成25年度に経済的な理由で私立高校を中退した生徒は1校当たり0・28人だったことが10日、全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)による調査で分かった。10年度の調査開始以降、過去最少を更新した。調査は全国私教連に加盟する教職員組合がある私立高を中心に、29都府県の300校(全私立高の23・3%)に在籍する生徒25万6001人を対象に実施。13年度に経済的理由で中退したのは41校の83人だった。1校当たりのピークは19年度の1・74人で、約6分の1に減った。

奈良県立医大生、町家で食堂と学習塾

奈良県立医大の「チームPREドクターズ」が、橿原市南八木町の町家2軒を借り、食堂と学習塾を切り盛りしている。北側の建物は「町屋ダイニング はる」、南側は「寺塾」。「はる」は、現在は予約制で水曜と金曜に営業し、8人以上の団体客を受け付けている。寄せ鍋料理と、タンドリーチキンやミニタイカレー、雑炊で税込み1500円。「寺塾」の授業料は小学生が週3回で税込み1万1000円、中学生が同1万5000円、高校生が同2万3000円(別に入塾金2000円が必要)。小学生~高校生計20人を教えている。

非正規向けに資格制度 学習塾業界も対象

政府は6月7日、非正規雇用を対象とした資格制度を創設する方針を固めた。新たな資格は、非正規雇用の多い〈1〉流通〈2〉派遣〈3〉教育〈4〉健康――の4業種で、接客などの対人サービスに従事する人を対象とする。資格の認定は、厚生労働省から委託を受けた業界団体があたる。これまでに、日本百貨店協会(流通)、日本生産技能労務協会(派遣)、全国学習塾協会(教育)、日本フィットネス産業協会(健康)の4団体が政府の方針に応じた。6月下旬に決まる新成長戦略に盛り込む。

京都工繊大 知的資源、産業振興に 綾部市と包括協定

京都工芸繊維大学(京都市左京区)は産学官が協力し共同研究や人材育成などを図ることを目的に、綾部市と包括連携協定を締結した。工芸繊維大は昨年2月、知的資源を地域の産業振興などに生かすため府と包括協定を締結。府の「北京都ものづくりパーク構想」にも呼応し、今年3月には府北部で地域貢献を進めるための拠点とする「綾部地域連携室」を、綾部工業団地の企業内に設けている。綾部市とは協定締結でさらに関係を深め、企業支援のほか情報発信や観光振興などにも積極的に関わる。

問題生徒を隔離し指導 大阪市教委方針、来春から

大阪市教育委員会が、著しく悪質な問題行動を繰り返す公立小中学校の児童や生徒について、来春から特別に外部で指導する場を設け、隔離する方針であることが6月9日、分かった。市教委が10日の橋下徹市長との協議で示す。市長の了承が得られれば制度化に踏み切るという。市教委は、暴力などの問題が目立つ児童や生徒の存在が、周囲の教育に悪影響を及ぼすと問題視。少年院などの既存の施設に送られないケースもあるため、特別な教室を設けるという。

就学援助対象、71自治体で縮小の恐れ

「就学援助」の対象者が、全国の71自治体で縮小される可能性がある。就学援助の対象者は全国で約155万人と、全公立小中学生の15・64%に上る。申請すると、給食費や体育用品など平均で年に約7万円分の援助が受けられる。調査は4月、全国1768市区町村を対象に実施。その結果、4%の71自治体が、対象となる所得額を「生活保護基準額の1・3倍」などと連動する形で定め、かつ基準変更など対象者が減らないような対応はしていない。このうち県庁所在市と政令指定都市は、横浜市、相模原市、富山市、大津市。

塾と連携し、子どもの生きる力を育む 佐賀県武雄市

佐賀県武雄市は学習塾「花まる学習会」(さいたま市)と提携し、来年度より市内11の小学校のうちの2、3校において同会の教材や教育方法を導入していく。契約期間は10年。実際の授業をおこなうのは武雄市の教員で、野外で思考力と人間力を育てる「青空教室」に関してのみ同会の社員を派遣して授業を実施する予定。

花まる学習会の高濱正伸代表

花まる学習会の高濱正伸代表

提携のきっかけは公教育の停滞感を打開したい武雄市の桶渡啓祐市長が、人間力を育成する、受験塾とは一線を画した同会の理念に共感したため。花まる学習会の高濱正伸代表も「金銭的余裕がないと良い教育が受けられない時代。教育の機会を均等にするためにも、公教育との連携はチャンスがあればやってみたいと思っていた。また、特定の塾に儲けさせていいのかという批判もあるが、武雄市の仕事に関しては、交通費・教材実費等以外の報酬は出ない」と語る。

高濱氏は、花まる学習会が公教育に関わることによって、生徒の学力を上げることがファーストステップとしているが、それはすぐに実現可能だという。それ以降の短期的な目標としては、いい教育を提供することで武雄市の人口増を図ること。そして長期的には生徒の人間力を上げ、保護者を安心させるとともに、武雄市から幕末の志士のような人材を輩出していきたいとしている。

「これからは塾が公教育を支える時代。私たちがモデルを示すことで、日本中の塾が地元の学校に積極的に関わっていき、各地域から官民一体の動きが加速していけば」と全国への波及を期待している。

再生実行会議 3~5歳の幼児教育の無償化等を提言

政府の教育再生実行会議がまとめた学制改革についての提言の素案の内容がわかった。3~5歳の幼児教育の無償化を段階的に進めることや、職業教育を行う高等教育機関の新設、「小中一貫教育学校」(仮称)の制度化などが柱。11日に開く会議で示され、7月に予定される提出に向けて協議を続ける。素案では、幼児教育について「生涯にわたる学びと資質・能力の向上に寄与する」として質の向上を提言。そのうえで、私立幼稚園の平均で年間約30万円かかる3~5歳児の教育について「無償化を段階的に推進する」とした。