Archive for: 8月 2014

「就労移行支援事業」に塾経営のノウハウを生かす

学習塾の新規事業の成功事例として、「就労移行支援事業」がおもしろい。学習塾「武田塾」を展開する株式会社A.ver(エイバー)は、「就労移行支援事業リバーサル」を東京都と千葉に2拠点展開する。

「就労移行支援事業」とは、障害者自立支援法に定められた就労支援事業のひとつで、障害を持っている人の中で、企業などへの一般就労を希望する65歳未満の人 に対して、事業所内での作業訓練や、企業等での職場実習、就職後の職場定着支援などを行う事業である。リバーサルは、その事業を学習塾運営のノウハウを最 大限に生かしながら展開している。

リバーサルの塾経営のノウハウを生かした取り組みのひとつに、利用者に対して、個別のカリキュラムを組ん で就業支援をしていることがある。なぜその形をとるのかというと、事業所に来る人たちは障害の度合いも、目指す就職先もバラバラだからだ。そして、これら が、偏差値や目指す学校がバラバラな生徒に個別指導で教えることと共通している点に注目したい。他の支援事業所のほとんどが集団用にカリキュラムを組むこ とが多い中、リバーサルは塾経営で培ったノウハウを生かし、個別指導の形でひとりひとり専用のカリキュラムを組む。このように、随所に塾経営のノウハウを 生かした運営がされている。

株式会社就労移行支援の上原俊也氏も就労移行支援事業の魅力に引き込まれたうちの一人だ。上原氏は学習塾業界に 長く身を置く中で、新規事業の責任者として就労移行支援事業に携わった。その結果、多くの利用者を獲得、就職実績を出すことにも短期間で成功した。「この事業に関わる中で、就職支援を必要とする存在の多さに気付き、もっと世の中に広めるべきだと確信した」と上原氏は言う。障害者(身体・知的・精神)は約 800万人いると言われている。ニーズを感じた上原氏はこの就労移行支援事業を広める新会社を設立。今秋から支援した新しい事業所が関東を中心に5事業所 オープンするそうだ。

「短期間で就職実績が出せたのも、教育にたずさわってきた塾経営のノウハウも利用できるのはもちろんのこと、教育とい う観点からもこの事業は塾経営者に向いているのではないだろうかと思います」と、上原氏が語るように、塾経営者の新たな試みとして注目してはいかがだろう か。

日本人平均寿命、男性初の80歳超

 厚生労働省は7月31日、2013年の日本人の平均寿命は女性86・61歳、男性80・21歳で、いずれも過去最高を更新したと発表した。前年より女性は0・20歳、男性は0・27歳延び、男性は調査が始まった1891年以来初めて80歳を超えた。女性は2年連続で長寿世界一となった。世界各国・地域の最新統計との比較では、女性が香港(86・57歳)を僅差で抑え、長寿世界一の座を守った。男性も前年の5位から4位に順位を上げた。男性のトップは香港(80・87歳)だった。

大阪市の公募校長2人を免職・減給

 昨年4月に公募で民間から採用された大阪市生野区の市立中学校の男性校長(38)について、市教育委員会は7月31日、「信用失墜行為」があったとして減給3カ月の懲戒処分とし、校長は同日付で依願退職した。さらに、長期欠勤などで5月に更迭された民間出身の元市立小学校長の男性(51)=教務部付=についても、校長応募時の書類に経歴詐称があったとして、懲戒免職処分とした。

夏のボーナス 7.19%増 大手、経団連まとめ 24年ぶり伸び率 

 経団連が7月31日発表した今夏の大手企業のボーナス集計によると、妥結額平均は昨年夏に比べて7.19%増え、86万7731円となった。2年連続の増加で、バブル期の1990年(8.36%増)以来、24年ぶりの伸び率となった。製造業112社の平均は11.03%増の89万8013円。バブル期を含め、製造業全体で2桁の伸びとなったのは初めて。伸び率で最大だった鉄鋼は28.17%増、セメントも16.09%増だった。自動車も13.63%増やし、7年ぶりに100万円台に乗せた。一方、非製造業21社の平均は6.39%減の76万660円で2年ぶりに減少に転じた。

バス会社が三河島駅近くにゲストハウス

バス会社の平成エンタープライズ(埼玉県富士見市)は、外国人向けの宿泊業に参入する。まず、JR三河島駅近くに8月、ゲストハウス「WASABI日暮里」をオープン、都市部で10店舗ほど展開する計画だ。相部屋と個室を用意、約70人が宿泊できる。料金は1泊約3000円から。日本特有の文化で、外国人にも人気が高い大浴場を設置した。

都立高入試、選択式問題にマークシート導入

東京都教育委員会は、都立高入試で採点ミスが相次いだ問題で、選択式問題の答案用紙にマークシートを導入する方針を固めた。ただ来春も、従来通り記述式と選択式問題を出題する。選択式問題は数学を除く4教科(国語、英語、理科、社会)にあり、全配点の5割強をしめる。マークシート導入で、採点者の勘違いによる単純ミスを減らすねらいだ。公立高入試のマークシート導入は全国初。再発防止策を検討している有識者会議の同意が得られれば、来春入試から取り入れる方針。

学校教員統計調査 教員の平均年齢が低下

文部科学省が3年ごとに実施している学校教員統計調査で8月4日、2013年度に全国の小中高校に勤める教員の平均年齢が前回調査(10年度)と比べ、いずれも低下したことが分かった。調査は国公私立の全ての小中高の教員が対象。平均年齢は小学校が44.0歳で、前回より0.3歳低かった。中学校は43.9歳、高校は45.3歳で、いずれも過去最高だった前回より0.1歳低下した。一方、公立学校の退職者数は12年度と09年度の比較になり、12年度の退職者数は小学校1万8007人、中学校8684人、高校6302人で、09年度より計2648人多かった。

塾も情報公開を 国が初の指針

文部科学省と経済産業省は8月5日までに、学習塾や語学教室に対し、財務状況や講師の経歴などの情報を幅広く公開するよう求める指針を初めて策定した。情報公開の程度はこれまで各事業者に委ねられており、利用者との間でトラブルとなるケースも多かった。指針に法的強制力はないが、文科省は「情報公開の意識を高めるきっかけにしたい」としている。指針は学習塾や語学教室のほか、書道教室やパソコン教室、料理教室などが対象。文科、経産両省は近く、それぞれの業界団体などを通じて各事業者に周知する。

ベネッセ情報、14業者から数百社に転売か

ベネッセホールディングスの顧客情報流出事件で、逮捕された元システムエンジニア、松崎正臣容疑者が持ち出した情報が少なくとも14の名簿業者に流れていたことがわかった。警視庁は転売先は数百社に上るとみて、松崎容疑者を不正競争防止法違反の疑いで再逮捕し、全容解明を進める。取引への関与が判明した14業者は警視庁の事情聴取に対して、いずれも「ベネッセの情報とは知らなかった」と説明しており、業者の同法違反容疑での立件は困難な見通しだ。

孫に教育費、5000億円超を贈与 非課税の信託広がる 

祖父母が孫に将来の教育費をまとめて贈っても課税されない制度を使った商品「教育資金贈与信託」の贈与額が、6月末までに5千億円を突破したことが信託協会の調査でわかった。制度に基づく教育資金贈与信託の利用件数は、信託を扱う52社が加盟する信託協会の6月末現在のまとめで7万6851件、贈与額は5193億円。導入から1年3カ月で、国の私学助成の年間予算額(14年度で約4400億円)を超える規模に膨らんだ。

 教育資金一括贈与の非課税制度は、高齢者の資産を子育て世代に移し、教育費の負担を軽くするのがねらいで、2013年4月に導入された。子や孫1人あたり1500万円まで一括して教育資金を贈っても、贈与税はかからない。同協会の想定よりも利用者のすそ野が広かったためだが、祖父母の資産によって教育格差が広がる心配もある。