大英博物館が所蔵する文化財の高精細複製品を奈良県の談山神社へ奉納 「秋冬花鳥図」

特定非営利活動法人 京都文化協会(以下 京都文化協会)とキヤノン株式会社(以下 キヤノン)が共同で取り組んでいる「綴(つづり)プロジェクト」(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)の第11期作品として、英国大英博物館所蔵の「秋冬花鳥図」(狩野派筆)の高精細複製品を、6月28日に奈良県桜井市の談山神社へ奉納することとなった。

「秋冬花鳥図」は、江戸時代(17世紀)の狩野派の作と伝えられており、雁や鴨、白椿や千両など秋冬の景物が描かれた襖絵。オリジナルは、「大化の改新」の中心人物である藤原鎌足を御祭神とする奈良県の談山神社旧蔵という来歴が明らかな点や、桃山時代から江戸時代初期にかけての狩野派の特徴を顕著に伝える点で重要であり、大英博物館が所蔵する日本美術品の中でも代表的な作品と位置づけられています。「綴プロジェクト」では、今期の作品より、複製品の制作過程で使用するカメラやレンズなどの機材を刷新し、これまで以上に高精細な複製品を実現している。「秋冬花鳥図」の高精細複製品を旧蔵元である談山神社に奉納することで、日本絵画の名品の“里帰り”が実現する。

作品は、談山神社の重要文化財である神廟拝所(しんびょうはいしょ)に常設展示される予定です。参拝者は随時、鑑賞できます(拝観料は別途必要)。

東京都英語村「TOKYO GLOBAL GATEWAY」完成

株式会社 TOKYO GLOBAL GATEWAY(東京都・江東区青海 織田 信雄 代表取締役社長・CEO)は、2018年9月6日(木)にオープンする革新的な体験型英語学習施設「TOKYO GLOBAL GATEWAY」の施設が完成したことを発表した。

「TOKYO GLOBAL GATEWAY」は、東京都内の国公私立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等の児童生徒約123万人を優先対象とし、授業や学校行事等で利用できる施設だ。また、個人での利用や、他の道府県所在の学校等の利用も可能。今後は、平日夜や土日、長期休暇などを利用し、英語を学びたいすべての人を対象としたプログラムやイベントも実施する予定。

2017年9月より2018年度(2018年9月6日〜2019年3月31日)学校利用の先着順予約受付を開始し、すでに約400校/約5万人の予約があり、個人での利用予約や、2019年度の学校利用についても予約受付を開始している。

ソニーのMESH、Windows版アプリを本日より提供開始

ソニー株式会社のMESHプロジェクトは、身近なものとセンサーなどを組み合わせてオリジナルの仕組みを簡単に作ることができ、プログラミング的思考が身につく「MESH(メッシュ)」のWindows版アプリケーションの提供を本日(2018年6月27日)より開始した。従来のiOS、Android向けアプリケーションに加えて、Windows対応アプリケーションも揃えた。※1
「MESH」は、無線でつながるセンサーなどのブロックを、専用アプリ内でつないでいくだけで、センサーやインターネットを活用した仕組みをつくれる、ユニークなプラットフォーム。
難しい電子工作やプログラミングの知識がなくても、直感的に仕組みをつくることができ、試行錯誤を気軽に何度でも繰り返すことが可能。そのため、「つくる(Make)、体験する(Experience)、共有する(Share)」という、ものづくりを通じて学んでいくサイクルを、子どもから大人まで幅広い年齢層の方に楽しみながら体験いただける商品。プログラミング教育やSTEAM教育(※2)、人材育成などのアクティブラーニングの場でも活用することができる。

※1 Windows版MESHアプリケーションは、Windows10以降、Bluetooth 4.0 (Bluetooth Low Energy)を搭載するデバイスに対応します。詳しくは以下のページをご覧ください。
https://meshprj.com/start/

※2 STEAMは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字で、これからの時代に必要な基礎能力を養う「STEAM教育」が提唱されています。

EdTech推進議員連盟第一次提言

世界のEdTech市場の規模は2015年に437億ドルであったが、2020年には2倍以上の934億ドルに達するであろうという見方もある。そうした世界的動向を見据え、昨年末には「自民党EdTech推進議員連盟」が発足した。
 EdTechとはEducation×Technologyの造語であり、教育にイノベーションを起こすビジネス領域として注目を集めている。
 二十社ほどの企業を交えながら合同ディスカッションを精力的におこなってきた同連盟。6月13日には、塩谷立会長をはじめとする議員が経済産業省や文部科学省など関係各所を訪れ、第一次提言をおこなった。提言の項目は次の5つ。

1) EdTechを活用した新たな学び
2) EdTech活用の前提となるインフラ整備
3) EdTech推進のために必要となる制度・ルール・仕組みづくり
4) EdTech産業の振興
5) EdTechの海外展開支援

 特に塩谷会長はスタディ・ログ(学習履歴)について言及。「スタディ・ログが取れれば個別に指導することができるようになる。それを可能にするのはEdTechに他ならない。今後、インフラ整備や仕組みづくりをしっかりとお願いしたい」と林芳正文部科学省大臣に訴えた。林大臣も「スタディ・ログの重要性を認識しているため、鋭意取り組みたい」と伝えた。
 また同連盟の議員は経済産業省にも同様にスタディ・ログの重要性やEdTechの可能性について唱えた。西銘恒三郎経済産業副大臣は「貴重な提言をありがとう。EdTechはこれからの時代の経済を牽引する領域であり、いい提言だと思う。当省としてもこの提言を活かしていきたい」と評価した。

高橋一生×永作博美で連続テレビドラマ「みかづき」制作開始

NHKは6月26日、連続ドラマ「みかづき」の制作を開始と発表した。
 来年2019年1月スタートで毎週土曜日、連続5回の放送予定。
 原作は2017年中央公論文芸賞、2017年本屋大賞2位、の『みかづき』(集英社刊、森絵都著)。
 脚本は水橋文美江さん、音楽は佐藤直紀さん、演出は片岡敬司さん。
 出演は高橋一生さん、永作博美さん、工藤阿須加さん、大政洵さん、風吹ジュンさん、壇蜜さん、黒川芽以さん他。
 制作統括は、陸田元一さん、黒沢淳さん、高橋練さん。
 森絵都さんが原作の『みかづき』の執筆前から協力させていただいていた私塾界待望の映像化となった。

「私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです。太陽の光を十分に吸収できない子どもたちを、暗がりの中で静かに照らす月。今はまだ儚げな三日月にすぎないけれど、かならず満ちていきますわ」
 赤坂千明が大島吾郎に向かって一緒に塾を始めようと迫るシーンだ。
 塾を通して、公教育と私教育、男と女、親と子の葛藤の50年の歴史を刻んだドラマ。
 続報が入り次第、レポートする。

■NHKサイトへ(外部サイト)

楽天、電子図書館サービス「Rakuten OverDrive」に関する協定を大阪市と締結

楽天株式会社(東京・世田谷区:三木谷 浩史 代表取締役会長兼社長、以下「楽天」)と大阪市教育委員会(山本 晋次 教育長、以下「大阪市」)は、楽天グループが展開する電子図書館サービス「Rakuten OverDrive」に関する協定を締結した。これに伴い、大阪市は「Rakuten OverDrive」電子図書館サービスを、2018年7月2日から2020年5月31日まで、試験的に導入する。なお、国内市町村における公共図書館では、13例目となる。

 本導入により、大阪市の図書館カードを持っている人は、各市立図書館(西区の中央図書館、および西区以外の各区の地域図書館、計24館)の窓口で「Rakuten OverDrive」専用のIDとパスワードを受け取ることにより、手持ちのタブレットやスマートフォン、パソコンから、時間や場所を問わず「Rakuten OverDrive」の電子図書コンテンツが借りられるようになる。

「Rakuten OverDrive」は160万点以上の海外コンテンツを取り揃えており、豊富な外国語のコンテンツを特長としている。大阪市は今回の「Rakuten OverDrive」導入の目的を、ICTを活用した読書習慣の醸成・普及と、英語学習に資することと位置づけており、音声読み上げ機能「Read-Along(リード・アロング)」が付いている約150点の図書を含む、英語の絵本や児童書約400点の電子図書を導入する。「Rakuten OverDrive」で提供する音声読み上げ機能付きの図書は、出版社がキャスティングしたプロのナレーターの録音によるもので、読まれている箇所にハイライトが付くため、ネイティブの英語を耳で聴きながら読書ができ、英語学習に大いに役立てることができる。図書数は、市民のニーズを見ながら、試験的導入期間中に2,000点程度まで増やす予定。また、サービス開始に伴い、楽天と大阪市では、7月22日に「Rakuten OverDrive」の使い方が体験できる市民向けの入門講座を実施する。

■「Rakuten OverDrive」について
楽天グループのOverDrive社(本社:米国)は、世界70カ国で40,000館以上の公共図書館・学校図書館に電子図書館サービスを提供している。OverDrive社の電子図書館システムは米国の90%以上の公共図書館に導入されている。取り扱いコンテンツは100言語以上、300万点を超え、そのうち日本の電子図書館では、株式会社メディアドゥとの提携のもと、和書を含むコンテンツ160万点以上を提供している。

CodeCampKIDS フランチャイズ展開をスタート

コードキャンプ株式会社(東京・新宿区 池田 洋宣 代表取締役 兼 CEO)が運営する小学生・中学生向けプログラミング教室「CodeCampKIDS(コードキャンプキッズ)」は、直営教室で培った運営ノウハウをベースとしたフランチャイズ(FC)展開をスタートした。
子どもたち一人ひとりが個別最適な学習を進めることができるCodeCampKIDSのオリジナル映像教材によって、プログラミング教育の経験がない事業者でも安心して教室を開校できるようサポートする。

【CodeCampKIDS FC教室の特徴】
・映像教材を用いた学習により、子どもたちに個別最適化された学びを提供。先生方は教室でのファシリテーションに専念できる。
・小学1年〜中学3年まで幅広い年齢層に対応し、いつでも受講スタート可能。約300ステップ以上が用意された教材・カリキュラムにより、スモールステップで長期的に学び、着実にレベルアップできる。
・指導要綱、各種オフライン研修、受講生管理システムを完備。万全のバックアップ体制で教室開校をサポートする。

高大接続改革への貢献が期待されるTOEFLⓇiBT

5月23日、TOEFLⓇテストなどの制作・実施・採点をおこなっている米国の非営利教育団体Educational Testing Service(以下、ETS)が、「変わる日本の英語教育において世界基準のTOEFLⓇテストが果たす役割」と題し、記者懇談会をおこなった。
 まずはTOEFLⓇテストプログラム エグゼクティブ・ディレクターのジェニファー・ブラウン氏がスピーチ。TOEFLⓇiBTは最先端セキュリティの採用、採点者へのトレーニング、一流の専門家との連携など、「安全性」「公平性」「正当性」を保つために多額の投資をおこなっていると説明した。
 その結果、TOEFLⓇiBTは世界で多大な信頼を獲得し、スペインやサウジアラビアでは英語教師の、オーストラリアでは医療従事者のアセスメントとして利用されるなど、今や130カ国、約1万の機関や団体が導入。日本では高大接続改革に資する試験として認定され、同改革への貢献が期待されている。
 次に国際教育交換協議会(CIEE) 日本代表部代表代行 根本斉氏が発表。同団体は1965年に設立され、ETSから委託を受けて1981年より日本国内でTOEFLⓇテストの運用をおこなっていると伝えた。
 早稲田大学 教育・総合科学学術院 教授の澤木泰代氏は、ETSは「採点方法が一貫しているか」「学習理論と噛み合っているか」「大学や教員、受験者はテスト結果をどのように利用しているか」など、多角的にかつ綿密に研究していることを紹介。テストを受けることで、英語を勉強する上で必要なスキルを確認できると述べた。
 続いて3名によるパネルディスカッションがおこなわれた。「TOEFLⓇテストは日本の学生にとって難易度が高いのでは?」という司会者の問いに対し、根本氏は「よく言われることだが、TOEFLⓇテストは高等教育機関で学ぶ力がどれだけあるかを測るのが目的であり、日本の学習指導要領に必ずしも即したものではない。ただ、新学習指導要領では高い英語力が要求されており、『内容を整理して話す』という意味においても合致してきている」と回答した。
 その後、質疑応答がおこなわれ、「TOEFLⓇiBTを実施する会場は30都道府県しかないが、今後の計画は?」との質問に対し、ブラウン氏は「会場は今後CIEEや大学入試センターと協力して追加していくつもりであり、テスト回数も増やす計画」とコメント。澤木氏は「どの地域でどのくらいの受験ニーズがあるのかを調査し、関係者と協力していきたい」と説明した。

パソコン関連業界団体 プログラミング教材を小学校に無償提供


「MakeCode×micro:bit 100プロジェクト」のキックオフイベントが6月13日、都内でおこなわれた。文科省、総務省、経産省の連携によってプログラム教育を普及する団体「未来の学びコンソーシアム」の後援のもと、ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム(以下、WDLC)が本プロジェクトを運営する。
 WDLC会長兼日本マイクロソフト株式会社 執行役員 コンシューマー & デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長の梅田成二氏は、WDLCの取り組みと本プロジェクトの発足経緯について紹介した。
 WDLCはデジタルライフスタイルの提案を目指す業界団体で、パソコンメーカーを中心とする114社で2007年に設立。プログラミング教育のツールは様々に開発されているが、いかに学校で授業をし、いかに家庭で教育するかのノウハウが少ないことに課題を感じた同団体は、それを支援していきたいとプロジェクトを立ち上げた。
 MakeCodeとはマイクロソフトが開発したオープンソースのプログラミング学習環境で、指令が書かれたブロックを組み合わせることで、視覚的に操作が可能。カバーする領域は幅広く、初等教育から高等教育までのプログラミング教育に対応している。
 一方、micro:bitとはイギリスのBBCが教育用に開発したマイコンボードで、加速度や光、温度を感知するセンサー類やLEDを内蔵。MakeCodeと組み合わせることで、「部屋が暗くなったらLEDを光らせる」といったプログラミング内容の、体感的なフィードバックを得ることができる。
 本年6月1日にこの2つの教材を使用して授業を受けた千葉大学教育学部附属小学校の小学4年生からは「新しい発想が自発的に生まれた」などの声が寄せられているという。
 「MakeCode×micro:bit 100プロジェクト」では、プログラミング教育をいち早く採り入れたい小学校100校に20個ずつ、合計2000個のmicro:bitを寄贈する。実際に授業を実施した後はWDLCへ報告書を提出。新たなプログラミング教育授業案として、その内容が特設サイトに公開される。
 応募は6月20日(水)より受付開始、7月6日(金)締め切り、7月20日(金)に納品となっている。このスケジュールにすることで、夏休み中に先生方に授業の構成を考えてもらうのが狙いだ。もし応募が100校を超えた場合は、より熱意のある学校が選抜されることになる。

東京大学Cedep・ベネッセ教育総合研究所 共同研究 「乳幼児の生活と育ちに関する調査2017」結果速報 0~1歳児の母親・父親の約7割が、もっと子どもをもちたいと希望

株式会社ベネッセホールディングスの子会社である株式会社ベネッセコーポレーション(岡山市)の社内シンクタンク ベネッセ教育総合研究所は、東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(Cedep)(東京都・文京区)と共同で、「乳幼児の生活と育ち」研究プロジェクトを進めている。このプロジェクトは、同一の親子を対象に、複数年にわたり継続して調査を行うことで、子どもが育つプロセスや親の関わり方の影響を明らかにすることを目的としている。今回は、2017年に実施した第1回調査(0歳6か月から1歳5か月の子どもをもつ母親2,975名・父親2,624名を分析)の結果を紹介している。

主な調査結果は次のとおり。
1. 0~1歳児の母親の74.1%、父親の68.8%が、もっと子どもをもちたいと希望
●回答者全体:あと1人以上「もつ予定」母親45.5%、父親46.5%、「もっとほしいが難しい」母親28.6%、父親22.3%
●今、子どもが1人:2人目を「もつ予定」母親73.3%、父親74.6%、「もっとほしいが難しい」母親16.6%、父親12.7%
●今、子どもが2人:3人目を「もつ予定」母親21.7%、父親21.4%、「もっとほしいが難しい」母親42.2%、父親33.5%

2.「もっとほしいが難しい」理由は、上位から「子育て・教育の費用」「身体的な負担」「仕事との両立」
●1位「子育てや教育にお金がかかるから」 (母親81.4%、父親81.3%)、2位「子育ての身体的な負担が大きいから」(母親49.9%、父親36.0%)、3位「子育てと仕事の両立が難しいから」(母親37.4%、父親26.4%)
※子どもをもつ予定をたずねる設問で「もっとほしいが難しい」と答えた人の回答。 ※複数回答。

3.“チーム育児(※1)”をしているほうが、子どもをあと1人以上「もつ予定」の比率が高い
【夫婦で助け合う“チーム育児”】
●あと1人以上「もつ予定」:夫婦での助け合い(※2)が低群の母親では41.3%<高群の母親では48.7%
●「もっとほしいが難しい」:同、低群の母親では35.4%>高群の母親では27.1%
【親族のサポート(子どもの祖父母など)を頼りにした“チーム育児”】
●あと1人以上「もつ予定」:親族のサポート(※3)が低群の母親では39.3%<高群の母親では49.9%
●「もっとほしいが難しい」:同、低群の母親では33.4%>高群の母親では25.4%
【地域のサポート(子育て支援センターや園など)を頼りにした“チーム育児”】
●あと1人以上「もつ予定」:地域のサポート(※4)が低群の母親では41.0%<高群の母親では49.7%
●「もっとほしいが難しい」:同、低群の母親では30.7%>高群の母親では26.7%

4.“チーム育児”をしている家庭では、父親が仕事と子育てを両立しやすい職場で働いている
【夫婦で助け合う“チーム育児”をしている家庭の特徴】
●父親の平日の子育てが「2時間以上」:夫婦での助け合いが低群では7.2%<高群では29.0%
●父親の子育て分担比率:同、低群の17.2%が子育ての分担は「0割」、高群の23.3%は「3~4割以上」
●父親の職場が「定時で帰りやすい雰囲気がある」:同、低群では26.0%<高群では46.3%

※1“チーム育児”とは、本調査では、夫婦で助け合ったり、家庭外のサポートを得たりして行う子育てのことを指す。夫婦での助け合い(※2)は「配偶者と子育てや家事を助け合っていると思う」かについての回答、親族のサポート(※3)は「あなたの親族」「配偶者の親族」、地域のサポート(※4)は「子育て支援センターや児童館、園、療育センターの先生」「ファミリーサポートやベビーシッター、ヘルパー」「医師や看護師、助産師、保健師」について、それぞれ母親(主となる養育者)が子育てで頼りになる程度についての回答をもとに分析した。詳細はP5以降の各グラフ注釈を参照。

■調査結果からみえてきたこと
 2017年の出生数は、1899年の統計開始以降、最も少ない94.6万人になりました。急速な少子化の進行は、日本の人口構造に変化を与え、労働力不足や社会保障の在り方など、さまざまな面に課題をもたらします。
 こうした社会環境の中にあって、0~1歳児を育てている母親の74.1%、父親の68.8%が、もっと子どもをもちたいと考えていることがわかりました。子どもをあと1人以上「もつ予定」と答える母親は45.5%、父親は46.5%である一方で、「もっとほしいが難しい」と答える母親は28.6%、父親は22.3%いました。
 子どもをもっとほしいけれど難しい理由は、上位から「子育てや教育にお金がかかるから」「子育ての身体的な負担が大きいから」「子育てと仕事の両立が難しいから」でした。世帯年収が800万円以上の層でも約7割が費用面を理由に挙げています。個人が希望する子どもの数をもてるようにするために、第一に経済的な不安感の軽減が必要です。また、母親が30代後半以上だと「身体的な負担」、働いていると「仕事との両立」が理由としてより高くなることから、子育て家庭の多様な状況に即した支援が求められるといえます。
 さらに、次の子どもの出産意向に関連する夫婦の子育てのしかたもみえてきました。いわゆる“チーム育児”をしているかどうかです。夫婦で子育てや家事を助け合い、(子どもの)祖父母などの親族や、子育て支援センター、園などのサポートが子育てで頼りになると感じているほうが、次の子どもをもつ予定であると答える比率が高いことがわかりました。夫婦で助け合っていると感じている家庭のほうが、父親の平日の子育てが「2時間以上」が多く、(父親の)「職場が定時で帰りやすい雰囲気がある」と答える傾向があります。夫婦での“チーム育児”を可能にするには、長時間労働の是正や職場の理解など、仕事と子育てを両立できる環境整備が欠かせません。親族については、祖父母世代の就労や高齢化などを背景にサポートを得にくい家庭が今後増えていく可能性もあります。誰もが利用しやすい地域の子育てサポートの充実による“チーム育児”の実現も、希望する人が子どもをもちやすい社会にするためにますます重要になるでしょう。
 なお、本調査はプロジェクトの第1回目です。子育て中の親が、今後、実際にどのように家族をつくっていくのか。引き続き調査する中で明らかにしていきます。

【調査概要】
本リリース内容の詳細につきましては、ベネッセ教育総合研究所のWEBサイトから「乳幼児の生活と育ちに関する調査2017」の速報版・集計表をダウンロードできる。https://berd.benesse.jp/jisedai/