大学入試センターは10月7日、来年1月14、15日に実施される大学入試センター試験について、受付最終日となる今月7日午後5時時点の出願者が54万359人になったと発表した。前年同時期より8479人増えた。
「ロボ団」「プログラミング道場」「Tech Kids School(テックキッズスクール)」「ProgLab(プログラボ)」「STAR Programming SCHOOL(スタープログラミングスクール)」と、コンピューターの動かし方を学ぶ民間のプログラミング教室が相次いでできている。2020年度から、プログラミングが小学校の授業に取り入れられる見通しになり、子どもに習わせたいという親が増えているためだ。習い事の定番に加わる日は遠くないかもしれない。内閣官房の調査によると、プログラミング教室を運営する企業や団体の数は10年の8から15年には29まで増えた。
株式会社エナジード(東京・港区)が提供する総合学習プログラム「ENAGEED(エナジード)」の特別授業が、10月3日に滝川中学校・高等学校(神戸市須磨区)で実施された。オリエンテーションを兼ねた1回目が前の週に行われ、今回はその続きの二回目となる。対象は男子校である同校の中学2年生。授業は二つのクラスに分け、それぞれ約70名の生徒の前で、エナジードの社長、氏家光謙氏が講師として熱弁をふるった。
「ENAGEED」は7冊の冊子を教材として用いる。すべてエナジードのオリジナルで、「世の中に新たな価値を生み出す方法」をさまざまな角度から問いかけ、能動的に考える工夫が施されている。今回の授業では、生徒は2回にわたって「Vol.1」の内容を学んだ。テーマは「次世代に求められる3つのスキル」だ。そのスキルとは「課題開発力」「アイディア力」「実現力」である。課題を発見し、アイディアを考え解決策を実現する例として、本田技研工業の創設者、本田宗一郎氏が、夫人が自転車で重い荷物を運んでいる様子を見て、原動機付自転車を生み出したことなどを紹介した。
生徒には起床から登校するまでにストレス(課題)になることをできるだけ多く書き出すよう指示が与えられた。そしてストレスの原因とそれがなくなった場合の「理想状況」を生徒に書かせ、「理想状況」を実現するために何が必要か氏家氏は問いかけた。生徒からは、満員電車で通学するストレスをなくし、みんなが気持ちよく電車に乗れるよう「2階建ての電車の車両をつくる」などのアイディアが出された。
同校の新教育プログラム推進支援センター長、下村卓治氏は「これからの社会で求められるのは、決まった正解がない問題に挑み、解決する力です。生徒たちは積極的にこの授業で学び、いいアイディアが生まれていました」と語った。氏家氏は「アイディアを考えてからが新たな価値を生み出すスタートです。そこから実行に移すことが何よりも重要です」と授業を締めくくった。
同校では「ENAGEED」を今後も活用していく予定だ。2020年の教育改革に先駆け、知識を身に付けるだけではなく、知識を使って「新たな価値を生み出す」ことができる生徒の育成に期待したい。
21世紀型教育を実践・推進する学校が連携し、これまで研修会などを行ってきた「21世紀型教育を創る会(21会)」が発展的に改組し、この9月に「21世紀型教育機構(21st CEO:21century Education Organization)」が発足し、9月19日に浜離宮朝日小ホールで設立記念シンポジウムを開催した。
同機構は、新しい教育を作っていくことに挑戦するとともに、教育機関の質を保証(アクレディテーション)して、メンバー校が機構の思想に則って教育を推進しているかもチェックしていく。
シンポジウムでは、冒頭に「今なぜ21世紀型教育機構か」をテーマに、同機構理事長の吉田晋氏(富士見丘学園理事長・校長)が講演。この機構を設立した根底には脱偏差値があるといい、「人工知能の発展によって今ある職業の消失が予想される未来で、子供たちが予測不可能な問題を解決できるための教育の構築を目指す」と述べた。
続いて、同機構理事の大橋清貫氏(三田国際学園学園長)が登壇し、「先鋭的な21世紀型教育とは何か」をテーマに講演した。大橋氏は、「21世紀型教育に必要なスキルの育成は、学校の教育現場で実践されてこそ意味がある」といい、三田国際学園で取り組んでいるアクティブ・ラーニングやグローバル教育、そして生徒のエンパワーメント評価などの事例を紹介した。
IGS代表の福原正大氏(一橋大学大学院特任教授)は、「未来を切り拓く教育」をテーマに講演した。「人工知能全盛時代では人間の持つ生物性がより注目される」と述べ、人工知能ができない共感の重要性について説明した。また、知識偏重になりがちな日本の教育に苦言を呈しながらも、日本の文化祭などの学校行事、クラスルームにおける人と人が接する環境があるのは、「日本の学校教育の強み」と話した。こういったことを通して学生時代にいかに〝共感〟を磨けるかが重要であり、「グローバル化、人工知能全盛時代になる中で、子供一人ひとりに寄り添う形で、子供たちのストーリーをどのように作ってあげられるのかが、これからの教育において大切なこと」と福原氏は言う。
その後、登壇した3人がパネリストとなり、同機構理事の平方邦行氏(工学院大学附属中学校・高等学校校長)のコーディネートのもと、21世紀型教育について、パネルディスカッションを行われ、21世紀型教育のひとつの形として、0から1を創造するデザイン思考やSTEM教育に着目して、意見が交わされた。平方氏は、パネルディスカッションの終わりに「予測不能な未来に挑戦する教育を今後とも続けていきたい」と語り、21世紀型教育を推進していくことを誓った。
21世紀型教育機構のメンバー校は以下の11校で9月に発足された。
※校名は五十音順(2016年9月17日現在)