地域と学校が協力し教育支援 アレックの「セレンブレイン」

地域の企業と学校が協力して独自の教育支援に取り組む動きが全国的に広がる中、和歌山市では公立学校が休日の土曜日を活用した土曜教室を行っている。文部科学省が推進する「土曜学習応援団」に登録している、株式会社アレックが開発した数字パズル「セレンブレイン」が和歌山市内での小学校5校で利用され、好評を得ている。

セレンブレインは一人ひとりの思考段階に最適な問題をプリントアウトし、脳の活性化を促す。

セレンブレインは一人ひとりの思考段階に最適な問題をプリントアウトし、脳の活性化を促す。

「セレンブレイン」は学習効果や意欲を高め集中力を上げるために役立てるもので、数字を使ったパズルを使いひらめきや気づきをきっかけに脳の活性化を狙う仕組みだ。開発の動機については、小学4年生の男子生徒が勉強に対する強いストレス反応を示した事を挙げる。勉強に喜びを見いだす塾生もいることから、「その差はどこから生じるのか探求したい」と脳科学を学ぶことを思い立った。と長洲央訓社長は語る。

実際に「セレンブレイン」を導入している湊小学校でのアンケート結果は「問題が解けるとうれしい」「頑張ったらできるから楽しい」など、達成感を得られる楽しさがポイントのようだ。一方教師用のアンケートでは「15分間集中して取り組むことで、次の学習にスムーズに入ることができた。」「パズルを解く達成感から次へ、次へと意欲がもてた」など成果が見られた。株式会社アレックは学習塾やシステム開発、認知症予防などの事業を展開している。

セレンブレインを開発したアレックの長洲央訓社長(左)と夫人の有紀子副社長(写真=わかやま新報)

セレンブレインを開発したアレックの長洲央訓社長(左)と夫人の有紀子副社長(写真=わかやま新報)

芝浦工大の孫の育児向け哺乳瓶

芝浦工業大学の女子学生が孫の育児に取り組む高齢者向けの哺乳瓶をデザインし、「ほほほ ほにゅうびん」(容量220ミリリットル、2052円)として商品化された。老眼でも見やすい大きな目盛りや、持ちやすいように凹凸を付けた形状が特徴だ。目盛りを大きく見やすくし、10ミリリットルごとに徐々に長くすることで量り間違えをしないようにした。また、花形の形状として凹凸をつけることで、握力が弱い人でも握りやすくした。BABAラボのインターネットサイトで通販中。

教科書謝礼、提供社には検定申請認めず 文科省が方針

教科書会社が検定中の教科書を教員らに見せ、意見を聞いたことへの「謝礼」などを渡していた問題で、文部科学省は金品や酒食などを提供した会社に対し、教科書検定の申請を認めない新制度を設ける方針を決めた。申請が不可能になれば、会社は教科書を発行できなくなる。文科省は8日に開かれる「教科用図書検定調査審議会」に具体的な制度設計を要請する。2017年夏に省令を改正し、18年度の検定(20年度の使用分)からの導入を目指す。

女子中高生たちがSTE(A)M教育プログラムを体験

SKY LaboとigsZが共同開催した「デザイン思考ワークショップ 〝SKY Labo Tokyo 2016〟」のクロージングセレモニーが、8月7日、富士見丘中学校高等学校にて開催された。
SKY Laboは、スタンフォード大学院博士課程の卒業生の女性3名が、STEM領域を中心に、これからの時代を支える人材育成を目指して設立した非営利の一般社団法人。一方、igsZは、海外大学やSGU(スーパーグローバル大学)への進学だけでなく、社会に出た後グローバルリーダーとして活躍する幼小中高生の育成を目指す新しい塾のひとつである。

この2つの組織が開催したワークショップは、女子中高生を対象に3日間に渡り行われた。彼女たちは、高齢者の生活の課題を解決するために、聞き取り調査をし、プロダクトの試作品を製作。そのプレゼンテーションまでのプロセスを体験した。

SKY Laboの木島里江代表

SKY Laboの木島里江代表

今回のワークショップについて、SKY Laboの木島里江代表は、「日本ではSTEM領域に進出する女性の数が先進国の中でも圧倒的に少ない。そこで女子中高生を中心に、従来のSTEM領域にARTの遊び心を加えたSTEM+A(STEAM)のカリキュラムをスタンフォード大学のデザイン思考、エキスパートたちとともに開発致しました」と語る。

IDEO共同経営者のトム・ケリー氏

IDEO共同経営者のトム・ケリー氏

基調講演を行ったのは、IDEO共同経営者のトム・ケリー氏。「創造的に生きるための3つの秘訣」と題して、創造するための思考法を語った。

続いて登壇したのは、ドイツのKUKA ROBOTER GMBHが開発・提供している産業用ロボットと共に行うダンスアートを行う台湾出身のファン・イー氏。インタビュー形式で、ロボットとのダンスの深層などが語られた。

また、今回のワークショップのカリキュラム立案からプログラム指導を担当したスタンフォード大学教授のシェリー・ゴールドマン氏は、「《デザイン思考》とSTEM教育」と題し、エンジニアリング・アート・教育をつなげる手法としてスタンフォード大学で生まれたデザイン思考、女子中高生に向けたSTEM教育の意義などを語った。

プレゼンテーション

自分たちのプロダクトを英語でプレゼンテーションする女子中高生たち。

そして最後に女子中高生たちが、ワークショップの成果をチームごとに製作した試作品とアイデアやコンセプトなどをまとめたポスターを使い、英語と日本語で発表した。

ゴールドマン氏らの講演会には保護者だけでなく、多くの教育関係者が集い、たくさんの質問が出されるなど関心の高さが伺えた。そして何よりも、ただ英語を話すだけではなくプロダクトという形にし、体系的にデザイン思考を学んだことは、未来に生きる彼女たちの糧となったことだろう。今後もSKY Laboは、中高生を中心に大人も含めてSTEAM領域の教育プログラムを推進していくという。

自民幹事長、配偶者控除の見直し支持

自民党の二階俊博幹事長は8月30日午前の記者会見で、専業主婦世帯を優遇する所得税の配偶者控除の見直しについて「共働き世帯が増えている。時代の変化を考え税制面で支援をしていく。党として支持していきたい」と語った。一方で「見直しによって専業主婦に大きな負担にならないように考慮されるべきだろう」とも指摘した。自民党税制調査会の宮沢洋一会長は2017年度税制改正で、配偶者控除見直しを検討する考えを表明している。

保育所・児童手当ネット申請、来夏可能に

政府は2017年夏から、インターネットで保育所の申し込みや児童手当の申請手続きを済ませられるサービスを始める。マイナンバーの個人向けサイト「マイナポータル」を活用し、申請を受け付ける地方自治体に利用者の情報が届くようにする。全国の自治体の参加を促すため導入費補助も検討する。共働きの女性などの負担を少しでも減らし、子育てしやすい環境を整える。マイナポータルは17年1月に運用を始める予定だったが、同年7月に遅れる見通し。運用開始にあわせて保育所の申し込み、児童手当の申請ができるページを設ける。

大阪府立高再編18年度に 分校復活

大阪府の教育委員会議が9月5日開かれ、入学志願者の減少で定員割れが続く府立高校の再編整備方針が固まった。2018年度から西淀川高は北淀高と統合して新校を開設、能勢高は豊中高の分校とする。府内で分校が復活するのは19年ぶりとなる。大阪市大正区にあり近接する大正、泉尾の両校も統合し、総合学科高校として開校する。府議会の議決などを経て、11月に正式決定する。

 府立学校条例では、3年連続で定員割れすると統廃合など再編の対象になる。西淀川高は今春で募集を停止した。北淀高と統合する新校は、北淀高の校舎を使用。小中学校の学習内容の学び直しに取り組み、生徒の学習意欲を引き出す「エンパワメントスクール」にする。西淀川高の跡地利用の方法は今後検討するという。

公立校教員10年で3万人増 文科省計画

文部科学省は8月25日、2017年度からの10年間で公立小中学校の教職員定数を約3万人増やすとする中期計画をまとめた。障害のある子供や外国人らが増える現場の課題に対応し、安定的に指導できる体制を目指す。公立小中学校の教職員定数は子供の数に応じて決まる「基礎定数」と、課題に対応するために配分する「加配定数」で決まる。文科省は現在加配定数になっている通級指導の教員と、外国人を指導する教員について基礎定数に組み替える方針。来年度予算の概算要求ではそれぞれ890人、190人の増員を求める。

東京理科大跡地を「教育センター」に 久喜市方針

東京理科大学経営学部の全面移転に伴い、久喜市に譲渡された久喜キャンパス跡地(同市下清久)の活用方針がまとまった。乳幼児段階からの子育て支援や生涯学習センターを備え、福祉の分野を結びつけた「一大教育センター」とする計画で市は意見公募を始めた。跡地は約5万3千平方メートルで、校舎など6棟も譲り受けた。大学側の帳簿価格は土地と建物で計50・4億円。大学から寄付された1億円は「東京理科大学教育振興基金」として積み立てる。

概算要求101兆円台に 17年度予算

国の2017年度予算(一般会計)で、各省庁の概算要求の総額が101兆円台になる見通しとなった。金利低下で借金の利払い負担が軽くなるのをのぞくと、過去最大だった16年度の要求総額(102兆4099億円)に匹敵する。国土交通省が要求する公共事業費は、3年連続で6兆円を超える。要求総額が前年を下回るのは、国債の償還や利払いにかかる費用が24兆6千億円と、前年より1兆5千億円ほど負担が軽くなるとみているためだ。前年は要求段階で金利を年2.0%として計算したが、今年は要求段階で1.6%に引き下げたことなどが影響する。