政府の総合科学技術・イノベーション会議(議長・安倍晋三首相)は12月18日、2016年度から5年間の科学技術政策の基本指針となる「第5期科学技術基本計画」を答申した。政府が投じる研究開発投資を国内総生産比1%、5年間の総額で約26兆円とすることなどを盛り込んだ。来年1月にも閣議決定する。科学技術基本計画は5年ごとに策定。5期目となる今期は、情報技術など複数の技術を組み合わせ、新たな製品やサービスを生み出すための研究「Society(ソサエティー)5.0」を重点的に進めることなどが柱。
同立有志会グループ(奈良県大和郡山市、中村尊裕代表)と株式会社アーテック(大阪府八尾市、藤原悦社長)は、同立有志会が提供する自立学習システム「Iシステム」と、アーテックが提供する「ロジカルキッズプログラム」を使った、幼児向けの新しい学習塾ブランド「同立有志会アーテック」を開講する。12月14日には、その第一弾として、同立有志会とアーテック共催の授業体験会が、同立有志会の大和小泉駅前校にて催された。
「ロジカルキッズプログラム」は子ども達の論理的に考える力を引き出す、アーテック社のオリジナル学習システム。論理的思考力だけではなく、空間認識力、推理力、忍耐力を引き出すことができる。すべての辺が同じ立方体で構成された「アーテックブロック」を使用し、その組み合わせの中で、生徒の納得するものを組み立てさせ、答えを導くプロセスを自然と学ばせる。
また、「アーテックブロック」は、全ての辺が同じ立方体で構成されていることもあり、数や量的感覚を見た目で理解させやすく、算数の学習時にも相性が良い。この思考力、応用力を楽しみながら養うことのできる利点を最大限活用し、同立有志会が提供する「Iシステム」と合わせて、従来の受験対策、学校の定期テスト対策だけには留まらない、新しい教育サービスを目指す。第1回目の体験会には、ウェブサイト、チラシ等の事前告知がほとんどなかったにも関わらず、多くの小学生と保護者が参加し、このプログラムの注目の高さがうかがえた。今後の展開にも期待したい。
新しい学校の会主催の創立10周年記念シンポジウム「『日本の教育の未来を考える』~ICT教育の行方と心の教育実践~」が、11月25日、アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)開催された。開会に先立ち一色真司氏(同会副理事長)は、「子どもたちの置かれている背景が劇的に変わっていると思います。しかし、制度が追いついてこない。その中で今の制度で何ができるのか? また、新しい制度を求めてこの会はやっていきたいと思います」と挨拶した。
基調講演には、山口文洋氏(株式会社リクルートマーケティングスパートナーズ代表取締役社長)が登壇。山口氏は同社が提供する「受験サプリ」の概要から教育現場での活用例を挙げ、教育におけるICTの役割を語った。
「受験サプリ」は、受験科目コンテンツだけでなく、アクティブラーニング型のコンテンツも配信するなど、多岐に渡るコンテンツを擁している。そして、ビッグデータを活用し、生徒一人ひとりにあった学習プランニングを提供する。それらを活用して、「これからの先生の役割は教えるだけでなく、ファシリテーターとしての役割も担うのではないでしょうか」と山口氏は語る。
続いて、山口氏に加えて、佐藤昌宏氏(デジタルハリウッド大学大学院教授)、日野公三氏(明蓬館高等学校理事長校長)が登壇し、桃井隆良氏(同会理事長)の司会のもと、パネルディスカッションが行われた。ICTの導入が進むにつれ、教師の役割が変わると3人は口を揃える。また、「マインクラフト(ブロックなどを空中や地面に配置し、構造物を自由に作っていくゲーム)を通して、建蔽率なども学んでいる」(佐藤氏)、「教室で集団授業を受けられない発達障害の生徒に有益」(日野氏)など、ICTは発達障害の子どもたちの学習にも恩恵を与えるという意見もあった。
一方で「オンラインにも限界があり、知識学習は直に触れ合って学習した方がいい」(山口氏)と語るなど、ICTだけではない、新しい教育の在り方の必要性も語られていた。
この11月に開催された「東日本大震災調べ学習ツアー」に参加した通信制高校の生徒たちによる報告会も行われた。最後に桃井氏は、「この調べ学習が、ICTを利用することによって、時間を確保できアクティブラーニングができるという実例を話してくれたと思います」と語った。
カドカワ株式会社は、12月10日、ニコファーレ(東京都港区)にて、2016年4月に開校予定のネット上の高校「N高等学校」に続く教育系の新事業を発表した。今回発表されたのは、東京大学進学を希望する生徒を対象にした全寮制個別指導塾「N塾」だ。
この塾は、子別指導塾「坪田塾」との共同事業で、塾長は坪田塾を運営する坪田信貴氏が務め、2016年4月に開塾する。坪田氏は、『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話』を著書に持ちその指導方法には定評があるという。
初年度は男性のみ30名の募集。応募資格は、東京大学への進学希望者。高校卒業資格を保有していない15歳~85歳となっている。初年度以降は、応募資格の変更も視野に入れられている。
そして生徒は、栄養管理士による朝夕食付の寮で生活しながら、授業を受講する。費用は、月額6万円/年間72万円(受講費+寮費)。また、特待生制度があり、費用に関しても補助が受けられる。
また、提携校であるN高等学校に入学することで、高校卒業資格も取得することができる。2015年12月10日(木)から選抜試験募集開始(2016年2月5日(金)締切)し、2016年2月14日から試験が開始される。
N塾に加えて新たに発表されたのは、即戦力となるIT人材を養成する専門スクール「バンタン プログラマーズ・ハイレベル・ハイスクール」(通称プロハイハイ)の開校も発表された。このプロハイハイは、N高等学校の提携通学コースとして用意され、2016年4月開校予定。
設立の背景には、IT業界の人材不足だけでなく、別業界においてもITやプログラミングの知識や技術が求められていることがある。そのような社会のニーズにあった能力・技術、そして、子どもたちの進路選択の幅を広げることが念頭に置かれている。
講師には、最先端で活躍する現役エンジニアなどを迎え、実践的な講義を平日週5日行うことにより、1年間で即戦力のプログラマを育成することを目標にしている。さらに、様々な提携企業へのインターンシップの場の提供、基本情報処理技術者の資格取得も可能となっている。また、プロハイハイの授業後にネットで高校過程の勉強をする。応募資格は、N高等学校生であること。定員は30名。来春に控えるN高等学校の開校とともに、その動向が注目される。