文部科学省は7月27日にオンラインで開いた第23回科学技術・学術審議会基礎研究振興部会で、「AI for Science 萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」の第1回公募結果を報告した。大学の研究力強化や世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の今後、社会から支援される基礎研究の在り方についても議論した。
SPReADは、幅広い研究分野へのAI活用を促すため、迅速な資金提供、伴走支援、独創的な研究の芽出しを進める事業である。年間2回の公募で計1000件程度を採択する計画で、第1回には787機関から1万5868件の応募があった。このうち456件を採択し、採択率は2・9%となった。
応募には学生による2624件も含まれ、採択課題のうち61件が学生によるものだった。学部生の課題も2件採択されている。民間企業の研究者からは127件の応募があった。研究領域では生命科学・薬学、電気・電子・情報科学、臨床科学が多く、社会科学、材料・プロセス、数理・数学、農学・環境学、芸術・人文科学などにも採択が広がった。
審査ではピアレビューに無作為抽出とAIによる補助を組み合わせた。応募者へのAIインタビューでは、出力の信頼性や精度、判断過程のブラックボックス化に対する懸念が多く挙がった。このほか、AIの利用経験や知識の不足、適切なツールの選び方、学生や研究チームへの指導、計算資源の確保なども課題となった。
文科省は、採択者がAI活用の課題やノウハウを共有するコミュニティーを形成し、計算環境の構築や研究者間の連携を支援する。採択率の低さや無作為抽出への納得感、研究期間の短さなどを踏まえ、審査の透明性向上と採択規模の拡充を来年度予算要求に向けて検討する。
同部会ではこのほか、WPI全体のブランド確立や社会への情報発信、クラウドファンディングなどを通じた研究資金の多元化についても意見を交わした。学校教育との連携では、子供と保護者が一緒に科学へ関心を持てるアウトリーチ活動の必要性などが指摘された。文部科学省「基礎研究振興部会(第23回)議事録」



