組織行動科学の研究・教育開発を行うリクエスト(東京都新宿区)は、芸術の歴史と実践に基づく学習提案「アート思考を社会の誰もが使える実践へ」を取りまとめ、全文のPDFファイルおよび10点の図解資料を無料で公開した。
同社は980社、33万人を超える働く人のデータを基盤に研究を重ねている。今回の発表では、アート思考を特定の才能や感覚(センス)によるものとせず、誰もが学び、試すことができる再現可能な方法として整理した。
資料は全8部21章からなり、付録5種や参照資料34件で構成される。過去の芸術史における工房での学習や協働体制、山本鼎による美術教育活動などを分析し、表現を支えた環境や技能の継承過程を検証した。その上で、描く、話す、動かすといった多様な表現手段を選べる仕組みや、不参加や中断を選択できる権利など、学習に参加するための具体的な条件を示している。
さらに、言語化しにくい気づきや試行錯誤の経過を記録する様式を整備し、個人の経験を他者に共有・継承できる仕組みを提示した。広まりを見せるAI技術については作業補助として位置づけ、目的の問い直しや事実確認といった人間ならではの判断機会を確保することの大切さを挙げている。
才能の有無に左右されず、社会の中で学びを深める手法として、教育現場や各種組織での応用が期待される。



