Category: 月刊私塾界本誌

TOP LEADER Interview|早稲田アカデミー 瀧本 司社長

生徒のやる気を引き出し学力を伸ばす。独自の指導システムで、合格実績全国ナンバー1へ。

塾の枠を超えるユニークな切り口で、さまざまなブランドを構築してきた早稲田アカデミー。30周年の節目を迎えた今、『本気でやる子を育てる』を教育理念に突き進んできた成果、そして今後の方針について、瀧本司社長にたずねた。

早稲田アカデミーの瀧本司社長

早稲田アカデミーの瀧本司社長

本気になれる環境やきっかけがあれば、難関校合格は夢じゃない。

──早稲田アカデミーに商号変更されてから30年という節目の年を迎え、あらためて今想うことは。

「2013年の中学入試では、御三家中や早慶中などの難関校にトップレベルの合格者を送り出し、高校入試では開成高・慶女高・早慶高へ全国ナンバー1の合格者を送り出しました。

中でも特筆すべきは、早稲田アカデミーに通い始めたころの偏差値は〝50〟前後といった学力の生徒が難関校に合格していること。スタートの学力に関わらず、環境やきっかけをつくってあげれば、生徒自らが望む憧れの難関校合格を実現することは可能だということです。あらためて、『本気でやる子を育てる』という教育理念を堅持し、実践していきたいと思います」

──『本気でやる子を育てる』ためのポイントはなんでしょう。

「大きく分けると、一つは〝競争する〟ということ。それから、〝生徒とのコミュニケーション〟です。受験は他人との競争です。だから早稲田アカデミーでは、どんなに小さなテストでも必ず順位表を貼り出します。それに反応する子もいますし、あるいは『夏期合宿』のような特訓の場において〝みんなといっしょにこれだけ頑張った〟ということに反応する子もいます。その反応は受験に挑む原動力になりますから、競争していることが明確で、結果としてわかる状態をつくってあげることが大切だと思います。

一方で、受験は自分自身との競争でもあります。受験に対して自分はどうとらえ、どんな目標を立てればよいのか。これは先生とのコミュニケーションが必要になるんですね。ある生徒には偏差値を〝70〟に上げることを目標にして、またある生徒には〝まずはこの単元だけはできるようにしよう〟という目標を与える。それぞれの子どもに応じた目標をきちんと与え、そのためにはどうしたらいいかというアドバイスをする。目標がクリアできたらより高い目標を設定し、チャレンジ。できなくても繰り返しコミュニケーションをして軌道修正していくことで、子どもたちのやる気は変わってきます」

──とにかく〝やる気〟を引き出すことが大切なんですね。

「そうです。受験というのはあくまでも子どもの人生をつくるきっかけにすぎません。それを目標にしてどう取り組んだかというところに本当の価値がある。一生懸命取り組んだことが財産となり、今後の人生においても大きな糧となるのです。

私たちは、お子さんやご家族のみなさんが〝やってよかった〟と振り返られるような受験であってほしいと願いますし、そのためにスタッフ一同、全力でサポートしていくことをお約束します」

手厚いサービスで、すべての塾生を全力でサポート。

──中学受験の合格実績が伸びている理由は何でしょう。早稲田アカデミーの瀧本司社長

「ひとつは、リーマンショックによる中学入試の冷え込みがあった時期から、低学年の募集に力を入れたこと。もうひとつは、四谷大塚の『予習シリーズ』に対応した、指導マニュアルが充実したこと。それらが、今年になって、ようやく実を結んだというわけです。

生徒の獲得に関しては、『全国統一小学生テスト』をはじめ、体験授業や低学年向けの『チャレンジテスト』などを用意して、何度もアプローチをかけていきました。すべて無料ですから、それなりに費用はかかりますが、広告宣伝費として低学年のうちに投資をして、より優秀な生徒さんを早めに獲得しておく方が、4年後、5年後、6年後と長いスパンでみると効果的であると考えたのです。

新『予習シリーズ』については、マスの生徒層にはハードルが高くなりました。ただし、優秀生にとっては何の問題もなくチャレンジできるものになっています。教える深さは変わらないのですが、内容をぎゅっと凝縮して短時間に詰め込んでいるものですから量が多くなっているのですね。だから優秀生はどんどん伸びていける。逆にマスの生徒層には、クラスごとにピックアップする問題や、生徒たちに到達させるべきレベルの見極めを緻密にコントロールして、ドロップアウトすることなく的確に伸ばしていけるマニュアルづくりをしています」

──ここ近年、『早稲田アカデミー個別進学館』や『早稲田アカデミーIBS』といった新しい取り組みを次々と始めていますが……

「集団でのライブ授業には、サービス的な面での限界があります。それを補う形で設けたのが『早稲田アカデミー個別進学館』です。集団授業を行う教室のすぐ近くに個別の教室を構え、併用できる状態にしました。今後は、各校舎あるいは自宅で、パソコンによる自学自習をフォローするシステムにも着手しようと思っています。

また、英語教育も変わりつつあります。これからは、言語としての英語という意識改革が必要です。目指すところは、〝グローバルな人材〟になるための英語教育。国際人としてビジネスの世界でも成立する英語力を身に付けること。社会人になってからしゃかりきに英語を勉強するのではなく、学生のうちから英語圏の方々と自然に会話ができる。そうした下地をつくってあげる教育が求められています。だから受験英語にとどまらず、それを超えるコンテンツとして、東大・医学部・ハーバードに一番近い小学生たちの英語塾『早稲田アカデミーIBS』が生まれました」

──その反響はいかがですか。

「『早稲田アカデミー個別進学館』は2年ほど前からはじめ、明光ネットワークジャパンと提携し、現在は首都圏に20校舎を構えています。生徒数は1200人ほど。1校舎平均60人くらいになります。基本的に1対2で自立をさせながら進めるスタイルで、汎用性が高いので、3年後くらいには100校舎まで展開を目指しています。

『早稲田アカデミーIBS』は、保護者の方にも一緒に授業を受けていただくなど制約のある教室ながらも、ほとんどのクラスが満席の状態で、キャンセル待ちをしていただいています。今は御茶ノ水の1カ所だけで首都圏の東側の方が対象になりますので、次は西・南側を対象に神奈川エリアにも教室を開こうと思っています。

さらに『早稲田アカデミーIBS』のノウハウを一般化して、今秋から特別なカリキュラムをスタートします。小5~6年の2年間で、3級程度の英語能力を身に付ける教室を首都圏で10カ所ほど開く予定です」

中・高校、大学入試のすべてにおいて合格実績日本一を目指す。

──広告的な戦略としてはどのようにされていますか。

9月の新学期開講チラシ

9月の新学期開講チラシ

 

「広告予算は、収益の状況を見ながら調整はしますが、およそ8%です。内訳についてですが、やはりウェブ、インターネットにかける広告費が増えてきています。テレビCMにかける予算はほとんど一定。チラシもそれほど減らしてはいません。ウェブの場合は、パソコンのスイッチを入れてブラウザを立ち上げてという顧客の能動的な行動がなければ届きませんが、チラシは顧客が受動的であっても情報だけは届けられるので、根強く残っていくと思います」


──ウェブに関して、ソーシャルメディアへの対応はいかがですか。

夏期合宿のパンフレット

夏期合宿のパンフレット

「仲間意識を高めたり、卒業生たちのネットワークづくりにはラインやフェイスブックは活用できるツールだと思いますし、そこから発生していけば口コミの材料としてコントロールはできると思います。ただし、そこに生徒が関与すると、想定されるリスクを回避しなくてはなりませんので、慎重にやっていかなくてはいけない。活用にはもう少し見極めが必要ですね」

──今後の経営的な目標と、瀧本社長が早稲田アカデミーで実現されたいことはなんですか。

「経営面では5年後には売上は280億、利益は22億くらい。10年後には売上は400億、利益は40億くらいが目標です。実現したいことは、10年後には学習塾として合格実績で日本一になることですね。まず、御三家中は確実にトップに。高校入試は誰からもナンバー1と評価されていますが、国立高校や都県立のトップ校など、まだいくつかの学校はナンバー1のタイトルをもらっていないものがありますので、それを全部取る。それが最終的には東大につながっていくと思いますので、ゆくゆくは大学入試でもナンバー1になれるのではないかと思います。10年経つと私は60歳になります。引き継いだ責任をそれで果たしたい。もちろん、できれば売上・利益でも日本一になりたいですね」

疾風の如く|19BOX(千葉県)代表 安藤賢孝さん

sメイン(予備候補)

本当の自分はどこだ。
塾との出会い、師との出会い……
演じ続けて来た自分に別れを告げ、
ついに手にした「自分ブランド」。
想いのたけを詰めた「箱」の蓋は
いま、開かれた。

 

 

 

探し求めた「自分ブランド」をこの手に

「空っぽ」の優等生

少年・安藤賢孝は、明らかに「完璧」だった。勉強は常にトップ、クラブではキャプテン、さらに生徒会長も務める。スポーツも得意、ピアノだって弾けたし、先生受けも抜群にいい。「オレ以上のヤツなんていない」、自分でもそう思うほど。

しかし華やかな称賛の裏で、その秀才の心は虚しいまでに空洞だった。いつだって自信満々、マジメで何でもでき、人望も厚い優等生。いつしかそんな、周囲の目線に応えた自分を演じるようになっていたのだ。しかし、それを崩してしまえば自分は一気に孤立するのではないか。そんな不安に苛まれるようになる。「本当の自分」を出したい。いや、本当の自分って何だ? そもそもオレには本当の自分なんてものがない……実はその孤独感へのアンチテーゼこそが、安藤の塾作りの原点だ。

自分の生きた証を残すために

その後は「とりあえず」国立大を卒業し、大手電機メーカーに「なんとなく」就職。その頃になっても、空っぽの心は埋まらないままだったのだ。それでも3年働いてみたが、やはり何かが足りない……。そんな気持ちを埋めるべく、週末に塾でアルバイトを始めた。

いつも虚無感を抱いていた安藤だったが、塾講師は「楽しい」と感じた。生徒に過去の自分を重ねたのか、彼らの主体的な人生創りに関与できることに喜びを見出せたのだ。やがて、次第に塾の仕事にのめり込むようになる。

しかし、そうさせたのにはもうひとつ理由がある。塾の上司の存在だ。彼は「自分」をハッキリと持つ強い男で、安藤も素直に憧れた。彼もまた、「ビジネスとは」「社会人とは」「生きるとは」といった哲学を、厳しくも惜しみなく安藤に叩き込んだ。

そんな日々の中、やがて安藤の中にも「自分」が見え始める。それが「自分の生きた証を残したい」「そのために、自分で塾をやってみよう」という想い。その志を胸に開いたのが「アンドー塾」だ。

「19BOX」。すべての想いをその箱に込めて

「こうあるべき」――そんな息苦しさの中で生きてきた安藤だけに、塾に対してもその思いは強く抱いていた。「塾は中身で勝負」、それは分かる。しかし、成績を上げるだけでいいのか? 既成概念に捉われず、もっともっと付加価値があってもいいじゃないか。そう思ったのだ。

そこでまず、自らの過去をふまえて子どものキャリア観育成をミッションに据え、勉強や受験を「人間力を高めるためにやるもの」と位置付けた。だから進学においても「行けるところに行く」という判断基準はないし、保護者から「どの学校へ進学する子が多いですか」と問い合わせがあっても、毅然と「ウチはそういう塾じゃないんです」と言い切る。広告でも合格実績を謳うことはしない。

また、元々が聡明なアイデアマンだけに、塾や勉強を楽しむためのフックも多数仕掛けた。例えば、目的ある勉強意識の育成戦略「夢カナストラテジー」。テスト対策の「天下一勉強会」。部活を引退した三年生は「アンドー部」に入って、「自主トレ」「練習試合」と称した勉強会に取り組む……etc。

極めつけは先ごろ設立した、アンドー塾を含む自塾ブランドを包括する上位概念、総合ブランドの「19BOX(ジュークボックス)」。「自分の人生は自分で創る」「自分ブランドをデザインする」という考えのもと、あらゆる生徒の個性や夢に対応するための「塾の箱」だ。

そこまでブランドという概念にこだわるのは、「自分」を渇望し続けてきた安藤だからこそ。そして今、彼はついに見つけたのだ。塾を通じて自分を表現する術を。自分の「ブランド」を。

19BOX――それは、本当の自分、教育への想い、ビジネスへのロマン、安藤のあらゆる想いが詰め込まれた夢の「箱」なのだ。(敬称略)

プロフィール

安藤賢孝 ANDO Masataka

sメイン1979年、千葉県生まれ。開業7年目、5教場(今夏、6教場目を開校)約500名の生徒を抱える。幼少期より「本当の自分」を出せないまま優等生を演じ続けた過去を持つことから、既成概念に捉われない塾運営を展開。アパレルを思わせるクールでシャープなイメージ戦略もそのひとつ。また、そういった新しいチャレンジを共に行える仲間を探すべく、コンサル事業にも着手している。

 

WEBサイト

ブログ「恋愛と同じですよ!」

 

TOP LEADER Interview|株式会社ナガセ 永瀬昭幸社長

去る5月16日、東進衛星予備校全国大会の「第20回記念大会」にて新たな決意を表明された、永瀬昭幸社長に、東進衛星予備校をはじめ、東進ハイスクール、四谷大塚、東進こども英語塾、イトマンスイミングスクールなど、さまざまな角度から教育に専念してきた観点から、さらに深く話を伺った。

独立自尊の社会・世界に貢献する人財を育成する
株式会社ナガセ 永瀬 昭幸社長

自ら求め自ら考え 自ら判断・実行する 生徒を育てる

株式会社ナガセ・永瀬昭幸社長

―――ナガセグループ全体の教育目標=企業目標である「独立自尊の社会・世界に貢献する人財を育成する」 具体的にはどんな取り組みをされているのですか。

「わたしたちは、『独立自尊の社会・世界に貢献する人財を育成する』ことを教育目標としておりますが、独立自尊とは、自らの人生について信念を持ち、プライドにかけて決めたことを完遂することであると考えています。具体的な生徒指導では、まず生徒自身が、何をどのように勉強するのか自分の頭で考え、計画を立てる。もちろん、我々は生徒が考えたり計画するための材料はたっぷり与えますし、いつまでにそれをやるのか締切を決めて、ちゃんとやるように励ます。生徒の考えや計画が正しかったかどうかは、模擬試験の成績などから、生徒が自分で考えて、問題があれば計画を変更します。そうして自分の責任で、自ら求めるという職場をつくることで、独立自尊の精神が育まれるわけです」

―――”心の教育”に取り組まれて5年目になります。

「これまで長く教育に携わってきてわかってきたのですが、「受験に王道はない」という言葉の通り、志望校に合格しようと思ったら、徹底的に努力をするしかない。だからといって、誰かに強制されて勉強をしても学習効果は低く、目の前の受験に勝てたとしても将来につながりません。一方、自ら求め、自ら考えて勉強すれば取り組みの成果は飛躍的に高まります。自ら求め、自ら考え、自ら判断・実行する生徒を育てるためには、生徒の心をしっかりと鍛えていく必要があると考え、そういう方向でやってきたことが、ここまで成長できた要因だろうと考えています。

先日、雑誌で東大合格者のインタビュー記事を見ましたが、東進出身の生徒は皆、しっかりと未来を見据えて、自らの志や夢を語っていました。あれには私も嬉しくなりました。夢は、努力をするための原動力だと思います。しっかりとした心が備わっていれば努力を継続できるし、私たちの取り組んでいる”心の教育”は、感度のいい子ほど影響を受けていきますから、まずは感度の良い生徒を自ら求める状態に変えていく。そのうえでだんだん”心の教育”が多くの生徒に浸透していけばいいなと思っています」

応用力を身に付け、予習と復習のバランスのとれた学習指導を

四谷大塚の新「予習シリーズ」

四谷大塚の新「予習シリーズ」

―――四谷大塚の予習シリーズが今年改訂されました。大きなポイントとしてどんなことがあげられるでしょう。

「生徒に大きな夢、高い志を持たせ、自ら求める心、自ら考えて勉強に取り組む習慣を身につけさせるには、高校3年間だけでは不十分で、小学校の頃から取り組む必要があると考えています。たとえば、私は、人に教わったことだけを復習して、解答のパターンを丸暗記するだけでは、将来自らの頭で考えて社会で活躍できる人間にはならないだろうと思う。それだけではなく、自分で一生懸命予習して、自分の頭で考えて問題を解いていくという訓練も大切だと思います。もちろん、成績がよくなかった単元の欠点を是正する必要もありますから、予習至上主義でも、復習至上主義でもよくないと考えています。今回の予習シリーズ改訂は、どちらもバランスよくやって、しっかりわかった上で次の単元に入っていくといったカルチャーに切り替えようという試みなんですね。

まず、その5年生の3月までに受験の課程を全部修了させる。そして、6年生の1年間をかけて、それに対する応用力をつけながら志望校対策をしっかりする。基本的には”スモールステップ・パーフェクトマスター”の考え方です。自分にぴったりのレベルからステップアップし、習ったことを確実にマスターする。けれども、勉強というのは面白いもので、はじめて学んだときは多少わからなくても、先の段階へ行って振り返ってみると、こういうことだったのかと理解することもけっこう多い。広い立場からものを見てみると、かえってわかりやすいこともありますから、基礎基本を徹底的に身につけながらも、応用力の高いことも一緒にやっていきます。同時に、毎週行う〝週テスト〞で、授業で学んだ内容を復習する。この取り組みは、どんどん底力が付いてくると思いますよ」

日本の将来のために、世界で活躍できる人財を育成

―――文科省を中心に教育再生実行会議が立ち上がり、入試制度などでの大学改革も進んでいくかと思います。そうなると教育の仕方も大きく変わっていくのではないでしょうか。

「まず大切なことは、”このような人間を育てるんだ”という大きなビジョンを描くことだと思います。そのうえで制度の変化に対しては、積極的に手を打っていきたいと思います。こども英語塾ではすでに、小学生の段階から他の教科も 全部英語で教えることもしています。英語は、一つの科目として学ぶだけではなく、数学や理科や社会も英語で学ぶことで、本当に使える英語になっていくと思っています。

東進USAオンライン講座にしても、時差による弊害を取り払った仕組みを作り上げましたので、全国の塾のみなさんにも提供させていただきたいと思っています。「何を使って英会話を勉強するか」と考えるとき、金額が安いかどうかで決めるのは、私は邪道だと思う んです。言葉というのはカルチャーですから、アメリカのカルチャーを学びたいのであれば、アメリカのネイティブと話をすべき。旅 行で話が通じるということだけで満足されるのであればそれでけっこうですが、ビジネスでは一切通用しませんから。ビジネスで、億 単位のお金を動かすような仕事をするつもりなら、アメリカのカルチャーと密接に関わらないと無理だと思います。

日本の将来を考えると、世界で活躍できるような人財を育成していかないと、もうこの国は立ち行かない。だから、そうした教育を、公立学校がやるのか、大学がやるのか、民間教育者がやるのか、などという議論は不要だと思います。どんな人財を育てていくのか、しっかりとした目標を掲げ、それを教育に携わる全ての人間だけでなく、実業界も巻き込んで、日本全体で取り組んでいく。その中でしっかりとした人財を育成できるところが、日本国民が頼りとする教育機関になっていくのだと思います。私は、全国の塾の先生方と協力しながら、何としてもこの大仕事をやり遂げたいと思っています」

すべて無料で受けられる小・中・高の全国統一テスト

すべて無料で受けられる小・中・高の全国統一テスト

日本の将来を担う、リーダーを育成する

―――6月2日に、小学1年生から6年生の全学年対象の全国統一小学生テストがありましたが、こちらの反応はいかがでしたか。

「全国統一小学生テストは、受験者数は毎回10万人を突破しています。また、今年から全国統一中学生テストもスタートし、今回は11 月4日(月)に実施します。これで、全国統一高校生テストと合わせて、小中高の全国統一テストが揃うことになります。

全国のたくさんの塾の先生方に趣旨に賛同いただき参加をしていただいており ます。全国の才能ある生徒 諸君を発掘し、年月をかけて育てていく。日本の将来を担う人財を発掘・育成することにつながる取り組みであると確信していますので、これからも一生懸命取り組んでいきます」

―――今後の目標はなんでしょう。

「今年度、東大現役合格者は600名になり、現役合格者の3・3人に1人が東進生です。難関大学を中心に、東進生の占めるシェアが高まってきました。将来の日本を引っぱっていくような、たくさんのリーダー候補生をお預かりしているのですから、日本の未来を明るいものにするために、教育に携わる人間の役割、責任は極めて大きいと考えています。

東進ハイスクール、東大現役合格600名達成のポスター

東大現役合格600名達成のポスター

国力とは、国民一人ひとりの人間力の総和です。私は、生徒の人間力を高めることで、日本の将来を拓いていくことが、教育機関としての使命であると考えています。

私どもだけではできないことであっても、日本全国の先生方と力を合わせれば、日本全体を巻き込んだ教育運動を起こすことができると確信しています。全国のたくさんの先生方に支えられ、毎年開催している東進衛星予備校全国大会も今年で20回の節目を迎えることができました。これからも、先生方にご指導頂きながら、お預かりした生徒全員を伸ばすシステムを作りあげられるよう一生懸命頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます」

『月刊私塾界』2013年8月号掲載

疾風の如く|進学塾ブレスト(佐賀県)代表取締役社長 犬走智英さん

ブレスト犬走智英さん
剣道があった。音楽があった。
歴史があった。
親友が、悪友が、愛する人がいた。
それらすべてが、
彼の信念を創り上げている。
栄光も挫折も経験し、
夢と希望を乗せたバイクが西へと走る。

 

 

答えはシンプル、「勉強はスポーツだ!」

「オレは建築家になる。お前はどうするんだ」

「さよなら、東京」―。6年前の1月、犬走智英(当時24)は恋人を背中に、箱根峠をひたすら西へ、西へ。二人を乗せたバイクが目指すは、犬走の故郷・佐賀だ。寒風の中、体は冷え切っていたが、心は夢と希望で熱く燃えたぎっていた。

さらに遡ること、幼少期。犬走は、あるガキ大将と仲良くなった。偶然にも、二人とも剣道少年。「コイツには負けねー!」とライバル心に燃えて練習を重ね、佐賀県武雄市の大会では優勝も飾った。

人としての礼儀。競い合い、高め合う喜び。剣道は、塾人・犬走としての原点を叩きこんでくれた存在だ。

中学では定期テスト学年1位だったが、転機が訪れたのは高校時代。地元の進学校へ進んでからだ。「井の中の蛙」という言葉の意味を思い知らされ、あっという間にドロップアウト。髪を染め、悪友に借りたバイクを乗り回すようになる。

ただ、素行は荒れていたが、同時に「なぜオレはこうなった」「教育って何なんだ」という想いも常に抱いていた。仲間とたむろしては、将来を語り合う。「オレは建築士を目指すぞ。犬走、お前の夢は何だ?」とガキ大将。「そうだな、オレは……教育の道に進みたい」。

 

抑鬱状態。どん底を味わう

洗練された外観が目を惹く教室。手がけたのは、旧来の親友だ

洗練された外観が目を惹く教室。手がけたのは、旧来の親友だ

田舎町の不良少年たちにとって、東京は憧れの街だ。そこに行けば、何でも叶う気がするビッグタウン。犬走にとってもそうだった。なんとか合格を勝ち取るための効率的なトレーニングをし明治大学へ進むが、「デカいことをやりたい」という気持ちと、反逆精神は持ち続けていた。自分の感情を昇華するため、社会の矛盾を痛烈に批判するHip-Hopの音楽制作にハマり、Lyric(歌詞)をノートに書き綴った。恋人と出会ったのもこの頃だ。そして、当時の音楽仲間と制作した楽曲は、スノーボードDVDのBGMとして採用され、コンピレーションアルバムが全国のスポーツショップでも販売された。

その後は大手進学塾に入社し、そこで頭角を現す。社長の信任も厚く、起業家マインドの薫陶も受けた。やりがいを感じ、昼夜を問わず働いていたが、好事魔多し。自らを追い込みすぎ、心と体が蝕まれていく。「オレがやらなきゃ」という義務感だけが自分を動かしていたのだ。胃痛だと思って診察を受けた結果は「抑鬱状態」、即ドクターストップ。休職に追い込まれ、虚無な日々が過ぎて行った。

さよなら、東京

ある日、見かねた恋人は「カフェでも行ってノンビリしたら?」と勧めてくれた。ココアをすすりながら「教育とは」という想いが頭をかすめていく。「オレをはじめ、田舎で育った人の多くは『競争』を楽しむことを知らない。そんな育ち方をして、厳しい実社会に放り込まれたらどうなる。オレみたいに壊れちまうんじゃないのか」。「練習して、できるようになる、ライバルに勝てる、そうすれば嬉しい。実にシンプルじゃないか。勉強も仕事もスポーツと一緒だ」。「自分の塾を創りたい。そうだな、名前は何にしよう?」……かつて綴ったLyricノートをパラパラめくり、見つけた言葉がこれだ。『BRAIN STORMING』―「いいな、これ。『ブレスト』か。批判せず、アイデアを出し合う塾。『自分がやらねば』に固執していたオレにピッタリだ。バランスを大切にし、もっと頭を柔らかく、いろんな人にアドバイスをもらいながら、愛される塾。スポーツのように勉強に取り組む塾。競争を楽しめて、実社会を強く生きる子どもを育てる塾。オレはそれを創りたい」。

社長に最後の挨拶をすると、力強い握手で送り出してくれた。恋人に佐賀へ帰る決意を伝えると、涙を浮かべこう言った。「私の夢は、あなたの夢を支えること」。もう迷うことは何もない。二人はバイクにまたがり、佐賀へとエンジンをうならせる。

ブレストの生徒タチ

礼儀と競争の楽しさを教え込む。子どもたちも塾が大好きで仕方ないと言う

もちろん、犬走は当時想像できなかったはずだ。やがてその塾は、人口わずか9000人の小さな町で、100名ほどの生徒が通うナンバーワン塾となることも。かつて夢を語り合ったガキ大将は一級建築士となり、新しい教室を設計してくれることも。恋人は妻となり、愛する子が生まれることも。「さよなら、東京オレはオマエに負けねェーからなー!」―。バイクはいま、関門海峡を越えた。光が見えた気がした。(敬称略)

 

プロフィール

犬走智英 TOMOHIDE INUBASHIRI

ブレスト犬走智英さんプロフィール

1982年、佐賀県出身。生徒の約5割が学年10位以内という地域きっての定員制進学塾・ブレストを運営。剣道や挫折の経験を通じて学んだ「勉強はスポーツだ!」をスローガンにし、また「競争を楽しみ、実社会で折れない子どもを育てる」ことをミッションに掲げている。授業はライブに加え、映像やITを駆使して運営。武雄市の公立中に英語の外部講師として招かれるなど、教育者としての評価も高い。
●WEBサイト
http://www.buresuto.com/
●ブログ「地域NO.1 進学塾ブレストブログ」
http://ameblo.jp/inu-the-husky0802/

『月刊私塾界』2013年8月号掲載