都教委、「都立学校AI Lab」始動 中高生が生成AIで社会課題解決に挑戦 アプリ開発やハッカソンを実施

 東京都教育委員会は、都立学校の生徒が生成AIなどのデジタル技術を活用し、社会や地域の課題解決に挑戦する新プロジェクト「都立学校AI Lab」を開始する。生成AIの活用が社会や経済に急速に広がる中、デジタル技術を使いこなし、新たな価値を生み出す人材の育成を目指す。

 東京都教育委員会は昨年5月、全都立学校に生成AI利用環境「都立AI」を整備し、児童・生徒が学習の中で生成AIを活用する取り組みを進めてきた。今回の「都立学校AI Lab」は、その学びをさらに発展させるもので、AIと対話して発想を広げる段階から、実際に課題解決型のプロダクトを開発する段階へと学習を深める。

 プログラムは、生徒の習熟度に応じて初級・中級・上級の3段階で構成する。初級では、AIアプリ開発の基礎を動画教材で学ぶオンラインプログラムを実施する。対象は、都立学校に通う中学生・高校生で、配信期間は2026年7月から2027年3月までを予定している。

 中級では、アプリ開発ワークショップを実施する。デザイン思考やAIアプリ開発の基礎を学び、実際にアプリ開発を体験する内容で、集合型と学校開催型の2形式で行う。集合型はデロイト トーマツ東京オフィスでの開催を予定し、定員は150人。学校開催型は都立学校8校で、2026年9月から12月にかけて実施する予定だ。

 上級のハッカソン・コースでは、高度な課題解決を目指す高校生40人を対象に、メンターの伴走支援を受けながらAIアプリ開発に挑戦する。2026年9月から2027年1月にかけて、デザイン思考、データサイエンス、AIアプリ開発に関する知識を学び、課題の検討から開発までを進める。2027年1月下旬には成果発表、審査、表彰式を行う予定だ。

 中級プログラムの集合型ワークショップについては、6月12日から参加募集を開始した。アプリ開発に関心のある都立学校の中学生・高校生であれば参加できる。

 生成AIを使うだけでなく、社会課題の解決に向けて自らプロダクトをつくる経験は、今後の探究学習やSTEAM教育にもつながる。東京都の取り組みは、AI時代に求められる実践的なデジタル人材育成のモデルとして注目されそうだ。

TOASU、7月1日付で「学研ビジネスブレインズ」に社名変更

学研グループの法人向け人材育成事業を担う中核企業へ

 株式会社学研ホールディングスのグループ会社である株式会社TOASUは、2026年7月1日付で社名を「株式会社学研ビジネスブレインズ(Gakken Business Brains Co., Ltd.)」へ変更する。法人・社会人向け事業ブランド「学研ビジネス」の立ち上げに伴うもので、企業向け人材育成・組織開発事業の中核企業としての位置付けを明確にする狙いがある。

 学研ホールディングスは5月、法人・ビジネスパーソン向けの新サービスブランド「学研ビジネス」を発表した。企業を取り巻く経営環境が複雑化する中、単なる研修提供にとどまらず、企業の将来像の実現に向けて伴走する人材開発サービスの展開を目指している。

 今回の社名変更は、そのブランド戦略の一環として実施されるもの。新社名のもと、同社は人材育成や組織開発に関する課題解決を支援する「伴走型パートナー」としての役割を強化していく。

 同社はこれまで、企業研修や人材開発支援を中心に事業を展開してきた。今後は「学研ビジネス」が提供する各種ソリューションの企画・開発から実施までを一貫して担い、企業の人材戦略や組織変革を支援する体制を強化する。

 新社名に採用された「Business Brains」には、企業の課題解決に向けて顧客とともに知恵を出し合い、目標達成まで伴走する存在でありたいという思いが込められているという。

 学研グループは教育事業で培った知見を生かし、近年はリスキリングや人的資本経営への関心の高まりを背景に、企業向け人材育成市場での事業拡大を進めている。今回の社名変更は、同グループが法人教育分野への取り組みをさらに強化する姿勢を示すものといえそうだ。

LINE WORKS、シフト管理アプリを提供開始

希望シフト回収から作成・共有まで一元化

 LINE WORKS株式会社は6月11日、ビジネスコミュニケーションツール「LINE WORKS」と連携する新サービス「シフト管理」アプリβ版の提供を開始したと発表した。希望シフトの回収からシフト表の作成、共有までをLINE WORKS上で完結できるようにし、店舗や現場のシフト管理業務の効率化を支援する。

 飲食店や小売店、各種サービス業などシフト制で運営される現場では、勤務希望の回収や調整に多くの時間を要するケースが少なくない。紙やExcel、スプレッドシートによる管理が依然として残る中、共有漏れや管理業務の属人化が課題となっている。

 今回提供を開始した「シフト管理」アプリは、こうした現場課題の解決を目的に開発された。管理者はLINE WORKS上で対象スタッフへ希望シフトの提出依頼を一括送信できるほか、提出状況の確認や未提出者へのリマインド通知も行える。

 スタッフ側は専用画面から勤務可能日や時間帯を選択するだけで希望シフトを提出できる。過去に提出したシフト内容を複製して再利用する機能も備え、入力の手間を軽減する。

 シフト表の作成では、提出された希望シフトや勤務条件を参照しながら管理者が配置を決定できるほか、自動割り当て機能も利用可能。作成したシフトは対象スタッフへ一括配信され、確認画面上でシフト交代の依頼や調整も行える。

 また、複数店舗や多人数のスタッフを抱える事業者向けに、店舗ごとの提出状況管理や一括通知機能も搭載した。シフト提出期限や勤務当日のリマインド通知も自動化されるため、管理者の負担軽減と運営効率向上が期待される。

 本アプリはLINE WORKSのアプリディレクトリから追加でき、契約プランを問わず無料で利用できる。LINE WORKSは今後、正式版リリースに向けて機能改善や強化を進める方針だ。

 学習塾や教育機関においても、講師やスタッフのシフト管理は重要な業務の一つとなっている。特に個別指導塾や学童保育、複数教室を運営する教育事業者では、人員配置の最適化や管理業務の効率化が求められており、こうしたシフト管理ツールへの関心は今後さらに高まりそうだ。

秀英予備校、新任取締役候補を選任

現場経験豊富な中島氏と横山氏を起用

 株式会社秀英予備校は、6月2日開催の取締役会において、新任取締役候補者2人を決定した。6月26日に開催予定の第43期定時株主総会で正式に選任される見通し。

 新たに取締役(監査等委員を除く)候補となったのは、第1事業本部長兼静岡東部第1本部長を務める中島秀一氏(53)。また、監査等委員である取締役候補には、元静岡新聞社・静岡放送取締役の横山秀雄氏(69)が選ばれた。

 中島氏は1996年に秀英予備校へ入社後、静岡、神奈川、北海道など各地域の事業本部長を歴任。2024年には第4事業本部長兼北海道第1本部長に就任し、2026年3月からは第1事業本部長兼静岡東部第1本部長を務めている。入社以来30年にわたり教室運営や地域事業の拡大に携わってきた現場経験豊富な人材として、経営体制への参画が期待される。

 一方、監査等委員候補の横山氏は1979年に静岡新聞社・静岡放送へ入社。企画事業局長、読者プロモーション局長を経て、2016年には取締役に就任した。2024年からは同社相談役を務めており、企業経営やメディア事業で培った知見を活かし、ガバナンス強化への貢献が期待される。

 秀英予備校は静岡県を発祥とする総合学習塾として全国展開を進めており、小中学生から大学受験生までを対象とした教育サービスを提供している。今回の役員人事は、教育現場に精通した内部人材の登用と外部有識者の起用を通じて、経営基盤の強化と持続的な成長を図る狙いがあるとみられる。

湘南ゼミナール、無料体験参加者をプロ野球観戦に招待

横浜DeNAベイスターズ「STAR BOXシート」キャンペーン実施

 株式会社湘南ゼミナール(東京都渋谷区)は、オフィシャルスポンサーを務めるプロ野球・横浜DeNAベイスターズとの連携企画として、「横浜DeNAベイスターズ STAR BOXシート招待キャンペーン」を実施すると発表した。

 期間中に同社の「総合進学コース」の無料体験授業に参加した生徒・保護者を対象に、抽選で10組50名を横浜スタジアムの特別観戦席「湘南ゼミナール 楽しく学べる STAR BOXシート」へ招待する。

 対象となるのは、6月体験、7月+夏期講習体験、夏期講習+9月体験のいずれかに参加した家庭。応募締切は7月31日で、無料体験申込時に配布される専用応募フォームから申し込む。

 招待席となる「湘南ゼミナール 楽しく学べる STAR BOXシート」は、同社が横浜DeNAベイスターズとのスポンサー契約に伴いネーミングライツを取得したグループ観戦席。4〜5人がゆったりと利用できるボックス型シートで、家族や友人同士で試合観戦を楽しめる。

 湘南ゼミナールは神奈川県を中心に展開する進学塾として知られ、2023年にはブランドパーパスとして「楽しく学ぶ毎日が、君をトップ校へ導く」を掲げた。今回の企画も、その理念を体現する取り組みの一環と位置付ける。

 同社は、同じ横浜発祥の企業として挑戦を続ける横浜DeNAベイスターズに共感し、長年にわたりスポンサー活動を展開してきた。今回のキャンペーンについては、「これから学びに挑戦する子どもたちに、プロスポーツの熱気や感動を体感してもらい、日々の学習への意欲向上や家族との思い出づくりにつなげてほしい」としている。

 学習塾業界では近年、体験授業やイベントを通じたブランド訴求や地域との接点づくりが活発化している。スポーツ観戦と学習機会を組み合わせた今回の取り組みは、塾選びのきっかけづくりと地域密着型のブランディングを兼ねた施策として注目される。

デジタル教科書を正式位置付け 学校教育法改正が成立 紙とデジタルの融合へ

 紙とデジタル双方の特性を生かした新たな教科書づくりを可能にする「学校教育法等の一部を改正する法律」が6月10日、参議院本会議で可決、成立した。今後、デジタルな形態を含む教科書が法的に正式な「教科書」として位置付けられ、学校現場での活用が進むことになる。

 今回の制度改正は、教科書の全面デジタル化を目的とするものではない。これまで紙のみが教科書として認められていた制度を見直し、デジタルの利点を取り入れた教材を教科書として作成できるようにすることで、学習効果の向上を目指す。

 現行のデジタル教科書は、紙の教科書と同じ内容をタブレット端末などで表示する「教科書代替教材」として位置付けられている。一方、新制度では動画や音声、インタラクティブな表示機能などを教科書そのものに組み込むことが可能となる。

 例えば英語ではネイティブスピーカーによる音声教材を教科書の一部として掲載できるほか、理科では実験動画を組み込むことができる。また、学習内容を段階的に表示するなど、デジタルならではの表現方法も認められる。児童生徒の理解を深め、より分かりやすい学習環境の実現が期待される。

 さらに、現在は教科書に掲載された二次元コードのリンク先にある動画や資料は「教材」として扱われ、教科書検定の対象外となっている。改正後は、こうしたデジタルコンテンツも教科書の一部として位置付けられ、検定対象となることで内容の質や信頼性の確保が図られる。

 文部科学省は今後、新たな教科書制度の運用に向けて大臣指針や教科書検定基準の整備を進める方針だ。発行、採択、無償給与などの仕組みについても具体的な制度設計を進め、学校現場への円滑な導入を目指す。

 GIGAスクール構想によって1人1台端末環境が整備された中、今回の法改正は教科書制度そのものをデジタル時代に対応させる大きな転換点となる。紙の良さを維持しながらデジタルの強みを取り入れる新たな教科書のあり方が、今後の学校教育にどのような変化をもたらすか注目される。

日能研プラネット ユリウス、一部教室で保護者連携アプリFLENS School Managerを導入

指導報告や成績管理をデジタル化、年内の全校展開も視野

 FLENS株式会社(東京都港区)は、同社が提供する学習塾向けコミュニケーションアプリ「FLENS School Manager(FSM)」が、日能研関東グループの株式会社アトラス(神奈川県横浜市)が運営する個別指導塾「日能研プラネット ユリウス」の一部教室で導入されたと発表した。2026年5月から神奈川、東京、埼玉の一部教室でトライアル運用を開始している。

 今回の導入は、保護者とのコミュニケーション強化と教室運営の効率化を目的としたもの。従来は電話や紙媒体が中心だった保護者連絡をアプリ上で双方向化し、家庭との情報共有をより円滑に進める。

 また、生徒ごとの指導報告や成績データの回収・管理についてもデジタル化を進める。これまで紙ベースで行っていた業務をアプリに集約することで、教室スタッフの事務負担軽減を図るとともに、テスト結果の分析や学習状況のフィードバックを迅速に行える体制づくりを目指す。

 さらに、授業の欠席・遅刻連絡や保護者面談の予約についてもアプリ上で受け付ける。保護者の利便性向上に加え、教室側の電話対応業務の削減にもつなげる考えだ。

 ユリウスを運営するアトラスでは、今回のトライアル運用の成果を検証したうえで、早ければ2026年内にも全教室への導入拡大を検討している。

 学習塾業界では、少子化や人手不足を背景にDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が高まっている。保護者との関係強化と業務効率化を同時に実現するツールへの関心は高く、今回の取り組みは個別指導塾におけるデジタル活用の新たな事例として注目されそうだ。

みんがく・佐藤氏が探究推進機構参与に就任

AI時代の「問い続ける力」育成へ 教育AIサミットにも登壇

 教育向け生成AIプラットフォーム「スクールAI」を展開する株式会社みんがく(東京都千代田区)は6月9日、同社代表取締役で一般社団法人教育AI活用協会代表理事を務める佐藤雄太氏が、4月に設立された一般社団法人探究推進機構(TAO)の参与に就任したと発表した。

 探究推進機構は、子どもたちの主体性や探究心を育む教育環境づくりを目的に設立された団体で、神戸情報大学院大学学長の炭谷俊樹氏が代表理事を務める。参与には元文部科学副大臣の鈴木寛氏や慶應義塾大学名誉教授の田中茂範氏、NPO学習学協会代表理事の本間正人氏ら教育界の有識者が名を連ねている。

 生成AIの急速な普及により、「知識を覚えること」の価値が変化する中、教育現場では主体性や思考力、探究的な学びをどのように育成するかが重要な課題となっている。探究推進機構では、子どもたちの好奇心や学習意欲を引き出す伴走者「探究ナビゲーター」の育成を通じて、探究型学習の普及を目指している。

 みんがくは教育特化型生成AIプラットフォーム「スクールAI」を展開し、全国1,600校、16万人以上の利用実績を持つ。これまで探究テーマの設定や問いづくり、情報整理、振り返り支援など、生徒の思考プロセスに寄り添う生成AI活用を推進してきた。また、教員研修や教育関係者向けコミュニティの運営を通じて、AI時代の新しい学びの在り方について実践知の共有を進めている。

 佐藤氏は今回の就任について、「生成AIの進化によって『答えを得ること』の価値は大きく変わり始めている。今後は『どんな問いを持つか』『どう考えるか』がより重要になる。AIを単なる効率化ツールではなく、子どもたちの主体性や探究心を引き出す存在として活用していきたい」とコメントしている。

 また、佐藤氏は6月10日から開催される「AI NATIVE EXPO2026」の特別企画「教育AIサミット」にも参加。6月11日に開催されるセッション「AIと生きる時代の、主体性の育成メソッド『探究ナビゲーター』」でモデレーターを務める予定だ。セッションでは、探究推進機構代表理事の炭谷氏をはじめ、探究学習の実践者や研究者が登壇し、AI時代に求められる主体性の育成について議論する。

 探究推進機構は今後、「探究ナビゲーター認定講座」を順次開講する予定で、保護者や教育関係者を対象に、探究的な学びを支える伴走者の育成を進める。生成AIの活用と探究学習の推進を結び付ける新たな取り組みとして、教育界から注目を集めそうだ。

日本金融教育支援機構、助成採択で金融教育を拡充

東京・京都・石川で子ども・若者向けワークショップ実施へ

 一般社団法人日本金融教育支援機構(東京都千代田区)は、認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンとロート製薬が実施する「ロート子どもの夢基金」の助成対象事業に採択されたことを受け、東京都、京都府、石川県の3地域で子ども・若者向けの金融教育プログラムを展開すると発表した。

 家庭環境や経済状況、地域による学習機会の格差が指摘されるなか、お金や法律、契約に関する知識を身につける機会を広げることが狙い。学校外の居場所や支援団体と連携しながら、将来の進学や就職、消費行動、生活設計などに役立つ実践的な金融教育を提供する。

 同機構はこれまで、中高生が小学生向けの金融教育動画を制作する「FESコンテスト®」や出前授業、ワークショップなどを通じて若年層への金融教育普及に取り組んできた。今回の事業では、単なる知識習得にとどまらず、自ら考え発信する力の育成を重視し、川柳や動画制作などの表現活動を取り入れる。

 東京都では7月14日、中野区の「テクリエさぎのみや」で金融特別講座「お金の8つの力を探究しよう!」を開催する。「使う」「稼ぐ」「納める」「貯める」「備える」「贈る」「借りる」「増やす」の八つの視点から、お金と生活の関わりについて学ぶ内容となる。

 京都府では8月17日、株式会社わかさ生活の協力のもと、同社本社施設「WAKASA&CO.KYOTO」でワークショップを実施する。養護施設の子どもたちも参加し、「お金と法律・契約あるある川柳大会」の作品を題材に、日常生活の中にあるお金や契約に関する課題をテーマとした動画制作に挑戦する。

 石川県では、ミミミラボと連携し、6月から9月にかけて継続的な金融教育プログラムを展開する。中高生や児童養護施設の子どもたちなどを対象に、「お金の8つの力」を学ぶ講座や動画制作ワークショップを実施し、新たに始まる「実用金融スキル検定」の受検にもつなげる予定だ。

 同機構は、「金融教育は将来の選択肢を広げるための重要な学び」と位置付ける。家庭環境や経済状況に左右されず、必要な子どもたちに学習機会を届ける仕組みづくりを進めることで、社会的な教育格差の解消にも貢献したい考えだ。

 今後も学校や自治体、企業、支援団体との連携を広げながら、金融リテラシー向上と主体的なキャリア形成を支援する取り組みを推進していく。

著作権法改正案を国会審議へ 音楽利用時のアーティストへの対価還元を強化

 5月29日、第221回国会の衆議院文部科学委員会で、「著作権法の一部を改正する法律案」の審議が始まり、文部科学大臣の松本剛明氏が提案理由を説明した。

 法案の柱は、音楽CDや配信音源がレストランや商業施設、店舗などでBGMとして利用された際に、アーティストやレコード製作者へ適切な対価を還元する仕組みを新たに整備することにある。

 現在、日本では楽曲の作詞家や作曲家に対する著作権使用料の制度は整備されているものの、実際に歌唱や演奏を行った実演家やレコード製作者については、店舗などでの音源利用に対する十分な対価還元の仕組みが整っていないとの指摘があった。

 今回の改正案では、いわゆる「レコード演奏・伝達権」を導入し、商業用レコードが公の場で再生・伝達された場合に、実演家やレコード製作者が二次使用料を受け取る権利を新たに認める。これにより、音楽の利用実態に応じた収益分配を実現し、創作活動を支える環境整備を目指す。

 こうした制度は欧米をはじめ多くの国で既に導入されている。一方、日本では制度が未整備だったため、日本のアーティストや実演家は海外で楽曲が利用された場合でも十分な対価を受け取れないケースがあり、国際的な権利保護の面で課題となっていた。

 松本大臣は提案理由説明の中で、「実演家等への望ましい対価還元を図り、我が国の音楽や、それを伝える実演家等の海外展開を一層促進する観点から必要な措置である」と述べ、法案への理解を求めた。

 近年、日本の音楽コンテンツは海外市場で存在感を高めている。政府としては、クリエイターやアーティストが適正な収益を得られる環境を整えることで、音楽産業全体の発展や国際競争力の強化につなげたい考えだ。

 法案は今後、衆議院文部科学委員会で詳細な審議が行われる。成立すれば、日本の著作権制度における実演家・レコード製作者の権利保護が大きく前進することになりそうだ。