馳浩文部科学相は8月2日、国から教育特区の認定を受けた三重県伊賀市が設置を認可した「ウィッツ青山学園高」の広域通信制について構造改革特区法に基づき、伊賀市の岡本栄市長に、9月30日までに不適切な教育活動の改善を促す措置要求の文書を手渡した。特区制度で措置要求が出るのは初めて。文書は1日付で安倍晋三首相との連名。(1)面接指導は特区内で行う(2)教員の数を、教育上支障のない程度とする(3)法令や学習指導要領に基づく教育をする――などの確実な履行を求めた。
千葉県松戸市で、生活困窮世帯等の子どもを対象とした、放課後の学習支援「子どもの学習支援事業」が、2年前からはじまっている。今年度から、3つあるうちの1つの会場で同事業を受託した、株式会社エデュケーショナルネットワーク(東京・千代田区、二瓶嘉男社長)は、クラウド型学習システム「すらら」を採用した少人数制授業を、夏休み中も実施している。
同社は、これまでも自治体と連携して教育事業を推進してきたが、松戸市との取り組みにおいては、生徒に個別指導を実施することが予算や人材確保の面で難しく、生徒一人ひとりへの個別対応をいかに実現していくかが課題だった。
そこで、低学力層でも基礎学力向上を実現できる、対話型のオンライン学習システム「すらら」のアダプティブな学習機能を活用し、講師1名に生徒5〜7名程度の少人数型指導により、学習状況や習熟度に合わせた柔軟な講座を展開しているという。
実際に、放課後の学習支援事業に参加した生徒からは、「集中しやすい」「楽しく勉強できる」という声が挙がっている。通常の学期中は学習時間をなかなか確保できない生徒も、夏休み中に一人ひとりの苦手な分野を過去の苦手や遅れを取り戻すため、個別の学力に合わせて学習を進めている。
「子どもの学習支援事業」は、生活に困窮する世帯、生活保護受給世帯及びひとり親世帯の小学5・6年生及び、中学1〜3年生を対象として、子どもが、家庭や学校以外において、他者との関わりを持つ中で日常生活習慣や社会性を育み、また、学習に対する意欲向上・習慣化を促して自ら学ぶ力を養うことにより、子どもの将来における安定就労に繋げ、貧困の連鎖を防止することを目的として松戸市の福祉長寿部が実施している。
具体的には、学校の勉強の復習、宿題の習慣づけ、学び直し、高校受験等のための進学支援を行うとともに、子どもが安心して通える場所を提供し、日常生活習慣や社会性を育むための支援や、必要に応じて心理カウンセラーによる相談を行う。
明利学舎(東京都江戸川区西葛西)が小学5年生から中学3年生を対象に7月10日、同17日の2日間、計17時間にわたって『親子特別授業』が開催された。参加者は、大人と子ども混合の6つのグループに分けられた。この日が初対面の人同士で形成し、親子もそれぞれ別のグループに所属する。これは子どもたちが、知らない大人と接することによって人間力を高めることが狙いにある。
特別な記憶法の講義を聞いたあとはグループで実践。この記憶法は、“イメージ”が重要なファクターであり、イメージで覚えることによって長期的に記憶を保持できるようになる。これは、所謂一夜漬けですぐ忘れてしまう「短期記憶」とはまったく異なるという。
実践のあとは、必ずレクチャーされたことについてグループディスカッションを行う。謂わばアクティブラーニングだ。保護者よりも子どもたちの方が積極的に意見を述べ、驚きの声が上がっていた。
参加した親子は、短時間で160個のランダムな単語の記憶を始め、全員が驚異的な記憶力を発揮した。参加者自身も驚きの声を上げるほどだった。
明利学舎の鈴木明男塾長は『親子特別授業』について、「保護者は、どうしても子どもたちに駄目出しをしてしまいます。記憶法の習得も大事ですが、同様に保護者の方に自己肯定感や子育ての意識改革をしていただく。わが子の驚異的な記憶力を見ると自然に褒めます。それが子どもたちの自己肯定感を養うことに繋がります。その実践も目的のひとつです」と語る。
そのため、子どもだけでなく保護者の参加も義務づけられているのだ。
さらに明利学舎では、親子特別授業としてこの記憶法の定着化をより強固にする為にフォローアップ授業を設け、中学受験社会・理科の教科学習に応用している。
「記憶法をもとにした理社教材を独自に共同開発、これを使うことによって例えば通常半年かかる中学受験用の社会の地理授業時間を4分の1に減らすことができます」と、鈴木塾長は続ける。
この講座は、アクティブ・ブレイン協会に所属する認定講師の水谷薫子氏を中心に立ち上げた「親子特別授業」のためのプロジェクトチームによって運営されている。そのアクティブ・ブレイン協会の講座には、延べ約2万5千人が参加している。『親子特別授業』は、その講座を親子向けにアレンジした特別なカリキュラムで構成され、記憶法だけでなく、人間力などの持続可能な力を身につけてもらう目的もある。
このように『親子特別授業』は、記憶力はもちろんのこと、明利学舎とアクティブ・ブレイン協会の専門プロジェクトチームが時間をかけてカリキュラム化した類をみない講座となっている。
この授業で培われたものは、今後広めていくことも計画されているといい、その一環として、中学受験を念頭に置いた社会科講座が下記の日程で開催される。
【社会科イメージ記憶特別講座】
8月26日(金) 10時~17時
9月11日(日) 10時~17時
なお、この講座を受講するためには、下記の講座を受講する必要がある。
【アクティブ・ブレイン・セミナーベーシックコース】
※下記の中から、2日間の受講が必須条件
8月13日~ 8月14日
9月17日~ 9月18日
10月15日~10月16日
10月22日~10月23日
10月23日、10月30日
場所:都内中央区セミナー会場
【詳細ほかお問合せ先】Email info@homare-inc.co.jp(担当:水谷)
【親子特別授業講師】水谷薫子講師、山田淳子講師、佐竹信恭講師、青木暢行講師
株式会社メイツ(東京・新宿区)は、学習塾管理アプリ『reco(レコ)』を公開した。この『reco』は3つの機能を備える。1つ目は、タブレットで使用することにより、指導中でも気軽に生徒情報を見ることができる。同時に、生徒の学習記録も行えるため効率的な指導が可能になる。
2つ目は、学習記録は自動で指導報告書に反映されるため、指導報告書の素早い作成が可能になっている。また、報告書の作成はタップ操作で多数の定型文から自動生成でき、講師の負担を軽減してくれる。
その指導報告書は、グラフなどで直感的に把握できるようになっている。過去の指導履歴、使っている教材ごとの学習状況も整理され、個別指導の場合は講師間の引き継ぎもスムーズにできる。同社の伊藤史弥氏は、「これまで指導報告書の作成に生徒1人1コマあたり10分かかっていたとしても、『reco』を用いると約1分で作成できます。生徒60人の教室だと月80時間以上の時間が削減できることになるので、時給換算で約10万円のコスト削減に繋がります」と話す。
3つ目は、生徒の入退室状況を管理する機能だ。受付にタブレットを設置し、生徒が入退出時に自分のIDをタブレットに入力することによって、保護者は教室で勉強する子供の学習内容をスマホやPCからリアルタイムで確認することができる。そのほかにも、指導報告書、時間割や次回の指導予定をはじめ、学習の進捗状況も閲覧できる。
この入退室管理機能によって、授業料の請求や講師の勤怠管理もスムーズにおこなうこともできる。このアプリを開発したきっかけとなったのは、同社運営の学習塾での小中高生指導の際に、保護者から入退室や細かな学習状況の報告の要望が多数寄せられたことによる。講師の入退室管理や学習状況報告の負担は大きく、指導にも影響が出はじめていた。そんな時、『reco』の仕組みを着想したのだという。
「弊社は自分たちの塾の現場で試しながら、よりいいものを創っていく。それをほかの塾にも使っていただくことで、より使い勝手のあるシステムにしてきたいと考えています」と、同社代表取締役社長の遠藤尚範氏は言う。
料金は、生徒1人の登録につき650円/月。正式リリースは、2016年10月31日を予定している。特に、中規模程度の個別指導、グループ指導塾にとっては、講師の事務作業軽減という意味で、強い味方になってくれるに違いない。また、正式リリースまでは、無料モニター(5塾限定)として、同社のウェブサイトから先行利用の申し込みを受け付けている。