教育学部、教員養成特化へ変身

国立大学の教育学部が抜本的な改革断行中だ。東京学芸大学は4月、大学卒業に教員免許の取得を必要としない芸術スポーツ文化課程など5課程を教育支援課程に改組。そのうえで定員は335人から185人へ大幅に減らした。授業も教育現場を支援する人材育成に特化。子どもの悩みを聞くスクールカウンセラーや、補習などを受け持つ学習支援員などを養成する。今春から教員免許の取得を義務付けない環境教育課程の募集をやめた滋賀大学。環境教育課程の定員20人は教員養成課程に移し、県内教育で弱い英語や理科などの専攻を新設した。

大学生の内定 2人に1人 民間調べ、面接解禁を前に

リクルートキャリアは7月24日、来春卒業予定の大学生・大学院生の就職内定率が7月1日時点で49.6%だったと発表した。就職希望者の2人に1人がすでに内定を得ており、内定率は1カ月前より15.1ポイント上昇した。経団連の採用指針では、面接や事実上の採用内定の解禁を4年の8月1日としている。政府は他の経済団体にもこの日程に従うよう求めているが、中小や外資系企業などから内定を得ている学生が続出している実態が明らかになった。調査は7月2~8日にインターネットで実施。大学生1181人、大学院生442人が回答。

ソニー、データ保管参入

ソニーは光ディスクを活用したデータストレージ(外部記憶装置)事業に参入する。工場の監視カメラやSNS(交流サイト)で大量に発生する情報「コールドデータ」を省エネで長期保存する。ソニーは新たに開発した装置を使い、データストレージのシステム構築から運用サービスまで企業にパッケージとして提供する。システムの構築・運用は今年5月に買収した米オプティカル・アーカイブ(OAI、カリフォルニア州)のノウハウを活用する。2016年前半にもシステムを発売し、20年度をめどに年間売上高1000億円規模を目指す。

小学生の保護者に「変わる大学入試」と私立中高一貫校での取り組みについて 日能研東海が説明会を開催

愛知県を中心に中学受験塾の「日能研」を展開する株式会社日能研東海は7月12日、「変わる大学入試」をテーマに、小学生の保護者約300名を対象に、朝日新聞名古屋本社の朝日ホールで説明会を実施した。

学校法人河合塾 教育研究部の谷口哲也部長

学校法人河合塾 教育研究部の谷口哲也部長

第一部では、学校法人河合塾 教育研究部の谷口哲也部長を講師に招いて、「大学入試改革」「今後求められる『進学力』とは何か?」について、講演をおこなった。講演では、画一的な一斉試験で知識の再生を問う評価から、多面的・総合的な評価に変わることについて、どのような背景があるのかといったことや、社会の変化に合わせた大学入学者選抜をはじめとする高校教育の一体改革について具体的に説明した。また、子供が主体的に学習し、やる気を伸ばす保護者の心構えについて事例とともに紹介。

名古屋中学校の森田祐二教頭先生

名古屋中学校の森田祐二教頭先生

第二部は、名古屋中学校の森田祐二教頭先生と滝中学校の中島政彦校長先生から、私立の中高一貫校が今後の大学入試改革に向けてどのような取り組みをしているのか、何を目指して子供たちに教育をしているか発表した。実際に名古屋中学校では、教科横断型の協働学習(アクティブラーニング)に日常的に取り組んでいるといい、ICTを活用しながら多面的評価に向けて生徒の学習活動履歴を蓄積しポートフォリオを作成しているという。

滝中学校の中島政彦校長先生

滝中学校の中島政彦校長先生

また、滝中学校では、学校5日制を機にはじまったという土曜講座において、リベラルアーツや実用英語能力検定(英検)で準2級を目指す対策講座や、東京大学や名古屋大学レベルの数学講座をおこなっていることなどを紹介。2020年に向けて大きく転換する教育現場の取り組みに、参加した保護者からは「子育てにおいて意識して働きかけるポイントがよくわかった」や「まだまだ先のことですが、今から参考になる心構え等がよくわかった」といった声が寄せられた。

「変わる大学入試」の説明会には約300名の小学生の保護者らが参加した

「変わる大学入試」の説明会には約300名の小学生の保護者らが参加した

月刊私塾界2015年8月号(通巻412号)

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巻頭言

夏期講習真っ盛り。暑さに負けず、生徒指導に熱が入っていることでしょう。今の生徒、先生の頑張りが、来春の果実を大きくする。
 今年の夏期行事において、何か新たな取り組みがなされたであろうか。例えば教育ICT導入、新講座設置などなど。何等かの改革、改善なくしては、この変化の激しい時代から取り残されてしまう。
 大学入試の大きな改革が進行している。高等学校基礎学力テスト(仮称)導入は2019年度、大学入学希望者学力評価テスト(仮称)は20年度から実施される。①知識・技能、②思考力・判断力・表現力等、③主体性・多様性・協働性の三要素が問われるようになる。高大接続システム改革会議で協議されている。4月に開催された第2回会議では、入試改革を先行導入した東北・九州・早稲田・追手門学院の国私立4大学の事例が発表された。時間と手間がかかるが、それぞれ非常にユニークな取り組みが紹介された。
 改革会議と並行して、中央教育審議会において、教科課程や指導要領についても検討され、大きく変わろうとしている。授業そのものの在り方を問うている。
 それらは全て、知識偏重から、知識を基に自ら問題を発見し、解決する能力を養う教育へ、と変えるための道具立てである。
 学習塾は、これら大きな変化に対応しなければならない。これまでもそうであったように、文部科学省の政策転換は、学習塾にとり新たな市場開拓のチャンスでもある。是非真摯に取り組んで欲しい。

(如己 一)

目次

  • 14 【SPECIAL REPORT】
       東京都下4自治体の取り組みに迫る
      進む官民連携
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 46 HOT TOPICS 1 産学官が語るICT教育の現状と展望
  • 48 HOT TOPICS 2 読書感想文の書き方を動画でアドバイス
  • 50 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 51【特集】
       中央教育審議会での議論が進む
      これからの時代にふさわしい高大接続のあり方
  • 60【TOP LEADER SPECIAL対談】
      高大接続改革がもたらす教育の未来を展望する。
    文部科学大臣、教育再生担当大臣
       東京オリンピック・パラリンピック担当大臣
       下村 博文氏
          ×
       株式会社ナガセ 代表取締役社長
       永瀬 昭幸氏
  • 70 教育サービス業界 企業研究(35) 株式会社POPER
  • 72 挑む私学 叡明高等学校
  • 75 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(260)
  • 76 疾風の如く(73)
      特定非営利活動法人こども哲学 おとな哲学 アーダコーダ
      代表理事 川辺 洋平さん
  • 78 好機到来 STUDY MAX CAFE 店主 小山 眞一郎氏(4)
  • 80 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(25)
  • 82 白書界隈徘徊話(5) 西村克之
  • 84 自ら動き出すチームにする方法(10) 中谷彰宏
  • 86 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(25)
  • 87 芸術見聞録(25)
  • 88 高校生からの子育てハイウェイ(4)
  • 89 クロスワードパズル「塾長の机」
  • 90 為田裕行の「教育ICT行」(4)
  • 92 塾ソムリエの講師研修指南 西村 則康(名門指導会代表 塾ソムリエ)(2)
  • 94 林明夫の「歩きながら考える」(120)
  • 96 咲かせよ桜(11) 小林哲夫
  • 100 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(28)
  • 102 論点2015(8) 貸出残高8兆円。えっ!? どこの金融機関?
                日本学生支援機構の奨学金貸付金額である。
  • 106 編集後記
  • 108 Book Review
  • 110 塾長のためのガジェット講座

【速報】大阪偕星学園が甲子園初出場決める

夏の甲子園出場の最後となる49校目の代表校を決める大阪決勝戦が舞洲ベースボールスタジアムでおこなわれ、大阪偕星学園が4−3で強豪大体大浪商を下し優勝を決めた。大阪偕星学園は2013年春に此花学院から校名を変更。現在は、開成教育グループ(株式会社成学社)の太田明弘代表が理事長を務める共学校で、今春の大阪大会では決勝まで進んでいたが、今回夏の大会で初めて甲子園への切符を手にした。

ヤフーがIoT事業

ヤフーは7月27日、あらゆるモノをインターネットにつなぐIoT(インターネット・オブ・シングス)事業に参入すると発表した。同日から提供するアプリ「マイシングス」では、利用者は自分が使うIoT製品やネットサービスをアプリ上で簡単に組み合わせられる。個人向けにスマートフォン(スマホ)アプリを用意し、複数のネットサービスとIoT製品を自由に組み合わせて利用できるようにする。事業者向けには複数のサービスを連携させる仕組みを公開し、新しい製品やサービスの開発を促す。

規制緩和地域に指定 、池袋駅周辺

東京都豊島区のJR池袋駅周辺地域が国の「特定都市再生緊急整備地域」に指定された。指定地域は池袋駅の東西にまたがる143ヘクタールで、移転予定の造幣局東京支局周辺の木造住宅密集地域を含む。都内の指定は都心や臨海部、JR新宿駅周辺などに続いて5例目で、木密地域が含まれたのは今回が初めて。これにより、民間開発事業者は建築規制緩和や税の優遇措置が適用されるようになる。指定地域は国際競争力を強化する地域とし、同区などは大規模再開発を後押しする。

スマホ画面投映で壁や机をタッチパネル化 富士通研究所

富士通研究所は7月27日、スマートフォン(スマホ)の画面を投映した壁や机をタッチパネルとして使えるシステムを開発したと発表した。赤外線を出す特殊なペンを使って投映した映像に触れ、写真を動かして相手の端末に受け渡したり、手書きのメモを映像内に貼り付けたりできる。人とペンの動きを捉えるカメラやセンサー、プロジェクターなどを天井に取り付けて実現した。学校の授業や店頭での商品説明に利用を見込む。2016年度にも、富士通子会社の富士通ソーシアルサイエンスラボラトリから販売する。

新国立の文科省担当局長、定年前に辞職

文部科学省が7月28日発表した幹部人事で、スポーツ・青少年局の久保公人局長が8月4日付で辞職することが決まった。久保氏は2012年1月の局長就任以来、20年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設に携わってきた。定年まで1年半以上あることから、計画の白紙撤回に伴って事実上更迭されたとの見方もある。村博文文部科学相は28日の閣議後の記者会見で「定例の人事であり、総合的に判断した」と述べ、更迭人事かどうか明言を避けた。文科省は久保氏の辞職を「自己都合」と説明している。