国立大学の教育学部が抜本的な改革断行中だ。東京学芸大学は4月、大学卒業に教員免許の取得を必要としない芸術スポーツ文化課程など5課程を教育支援課程に改組。そのうえで定員は335人から185人へ大幅に減らした。授業も教育現場を支援する人材育成に特化。子どもの悩みを聞くスクールカウンセラーや、補習などを受け持つ学習支援員などを養成する。今春から教員免許の取得を義務付けない環境教育課程の募集をやめた滋賀大学。環境教育課程の定員20人は教員養成課程に移し、県内教育で弱い英語や理科などの専攻を新設した。
愛知県を中心に中学受験塾の「日能研」を展開する株式会社日能研東海は7月12日、「変わる大学入試」をテーマに、小学生の保護者約300名を対象に、朝日新聞名古屋本社の朝日ホールで説明会を実施した。
第一部では、学校法人河合塾 教育研究部の谷口哲也部長を講師に招いて、「大学入試改革」「今後求められる『進学力』とは何か?」について、講演をおこなった。講演では、画一的な一斉試験で知識の再生を問う評価から、多面的・総合的な評価に変わることについて、どのような背景があるのかといったことや、社会の変化に合わせた大学入学者選抜をはじめとする高校教育の一体改革について具体的に説明した。また、子供が主体的に学習し、やる気を伸ばす保護者の心構えについて事例とともに紹介。
第二部は、名古屋中学校の森田祐二教頭先生と滝中学校の中島政彦校長先生から、私立の中高一貫校が今後の大学入試改革に向けてどのような取り組みをしているのか、何を目指して子供たちに教育をしているか発表した。実際に名古屋中学校では、教科横断型の協働学習(アクティブラーニング)に日常的に取り組んでいるといい、ICTを活用しながら多面的評価に向けて生徒の学習活動履歴を蓄積しポートフォリオを作成しているという。
また、滝中学校では、学校5日制を機にはじまったという土曜講座において、リベラルアーツや実用英語能力検定(英検)で準2級を目指す対策講座や、東京大学や名古屋大学レベルの数学講座をおこなっていることなどを紹介。2020年に向けて大きく転換する教育現場の取り組みに、参加した保護者からは「子育てにおいて意識して働きかけるポイントがよくわかった」や「まだまだ先のことですが、今から参考になる心構え等がよくわかった」といった声が寄せられた。
夏期講習真っ盛り。暑さに負けず、生徒指導に熱が入っていることでしょう。今の生徒、先生の頑張りが、来春の果実を大きくする。
今年の夏期行事において、何か新たな取り組みがなされたであろうか。例えば教育ICT導入、新講座設置などなど。何等かの改革、改善なくしては、この変化の激しい時代から取り残されてしまう。
大学入試の大きな改革が進行している。高等学校基礎学力テスト(仮称)導入は2019年度、大学入学希望者学力評価テスト(仮称)は20年度から実施される。①知識・技能、②思考力・判断力・表現力等、③主体性・多様性・協働性の三要素が問われるようになる。高大接続システム改革会議で協議されている。4月に開催された第2回会議では、入試改革を先行導入した東北・九州・早稲田・追手門学院の国私立4大学の事例が発表された。時間と手間がかかるが、それぞれ非常にユニークな取り組みが紹介された。
改革会議と並行して、中央教育審議会において、教科課程や指導要領についても検討され、大きく変わろうとしている。授業そのものの在り方を問うている。
それらは全て、知識偏重から、知識を基に自ら問題を発見し、解決する能力を養う教育へ、と変えるための道具立てである。
学習塾は、これら大きな変化に対応しなければならない。これまでもそうであったように、文部科学省の政策転換は、学習塾にとり新たな市場開拓のチャンスでもある。是非真摯に取り組んで欲しい。
(如己 一)