京都芸術大学(京都市・左京区、佐藤 卓 学長)は、2026年度入試の「総合型選抜型Ⅰ期」において、志願者数が過去最高の5,713名、前年比130%に増えました。長年培ってきた「総合型選抜」の「体験授業型入試」に加え、今年度新たに導入した「探究プロセス型」入試に注目が集まった結果となる。
■「大学淘汰時代」に問われる、“学びの質”と“探究する力”
近年、私立大学の半数以上が定員割れとなり、約4割が赤字経営に陥っているともいわれている(※文部科学省・東京商工リサーチ等の調査より)。少子化の進行により、2007年頃から「大学全入時代」となり、現在は「大学淘汰時代」に入っている。
■知識から“探究”へ――教育のパラダイムシフト
こうした中、文部科学省は高校教育改革の一環として「探究学習」を推進している。
生徒が自ら課題を設定し、調査・考察・表現を通して主体的に学ぶ「探究的な学び」は、知識の暗記や受験偏重型教育からの転換を目指すもの。
文部科学省が2025年1月に公表した「関係データ集(令和7年1月28日版)」によると、今後の仕事で求められる能力は、“知識”や“技能”よりも、「課題発見力」「創造力」「協働力」などの探究的スキルの需要が高まると予測されている。特に、社会全体で「自ら課題を見つけ、考え、他者と協働して解決に導く力」へのニーズが顕著に上昇しており、教育現場でも“知識を問う”から“問いを立てる”学びへの転換が進行している。
■20年前から“探究”を入試に取り入れてきた大学 京都芸術大学の挑戦
こうした時代の変化に20年以上先駆け、京都芸術大学は「学びと入試の不一致」を解消する入試制度改革に取り組んできた。
2002年より実施している「体験授業型」入試では、受験生が大学の授業を実際に体験し、教員がその取り組み姿勢や表現力を直接評価。受験生にとっては入学後の学びを具体的にイメージでき、大学にとっても「共に学ぶ適性」を確認できる仕組みとして高い評価を得てきた。
さらに本年度からは、アートやデザインの経験がなくても「探究のプロセス」や「熱意」を多角的に評価できる「探究プロセス型」入試を導入。受験生は「探究学習ワークシート」と5分以内の説明動画を提出し、課題設定の着眼点・探究プロセスの深さ・表現力・熱意といった、従来測りにくかった要素を評価対象としている。
結果として、2026年度入試の総合型選抜では志願者数5,713名(前年比130%)を記録。
探究学習で育まれた力を正当に評価する入試制度として、高校・教育関係者からも注目を集めている。




