AIを活用したアダプティブ教材を開発・提供するすららネット(本社・東京都千代田区、代表取締役社長 湯野川孝彦)は、経済産業省「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択されたカンボジアでの実証事業の一環として、海外向け算数・数学ICT教材「Surala Math(スララ・マス)」のクメール語版を公立小学校で導入した。2025年12月より、首都プノンペンを中心とする公立小学校4校でパイロット運用を開始している。
この事業は、2025年8月に同社とカンボジア教育・青年・スポーツ省が締結した協力覚書(MOU)に基づく取り組みで、「今後5年間で約2万人の児童生徒へのデジタル学習普及」を掲げる国家目標の第一段階に位置付けられる。デジタル教育がほとんど整備されていない公立小学校において、ICT環境の構築から授業設計、教員研修、学習効果の検証までを一体的に行う点が特徴だ。
実証では、教育省傘下のNIE(National Institute of Education)付属校を含む4校で、小学3年生約150人を対象に実施。四則演算における習熟度差が表れやすく、デジタル教材の効果検証に適した学年として3年生が選定された。学校現場では学習用端末が不足していることから、すららネットが教育省にパソコンを提供し、同省から各校へ貸与する形でICT環境を整備。イヤホンやマウスなど周辺機器も含め、初めてのデジタル授業に必要な基盤づくりを支援している。
授業は週2コマの算数授業として「Surala Math」を活用する。導入に先立ち、各校2名の教員を対象に、オリエンテーションと計18時間超の研修を実施し、デジタル教材を用いた授業運営や、学力差に応じた個別最適学習の指導方法を共有した。開始当初はインターネット回線の不具合や端末操作への戸惑いも見られたが、教育省や学校と連携しながら環境改善を進め、学習への適応が進んでいるという。
学習効果の検証では、「Surala Math」を使用する学級と非使用学級を学力テストで比較。カンボジアの小学校で一般的とされる指計算中心の学習から、概念理解や暗算力への移行がどのように進むかを重点的に検証する。実証期間は2026年8月の学年末までとし、学力や学習意欲の変化を専門家と連携して評価する計画だ。
また、現地パートナーである公益財団法人CIESF(シーセフ)と協力し、各校を巡回するモニタリングも実施。学習データの分析結果を学校側へフィードバックし、授業運営の定着と改善を図る。




