文部科学省の専門家会議は8月31日、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果データの外部提供について、有識者による審査を経て提供の可否を判断する案を公表した。案では、データの提供を受けられるのは、利用目的が「児童生徒の学力、学習状況または生活習慣などの把握・改善」「教育施策の改善・充実につながること」のいずれかに限定。大学の研究者らが研究などに使用したい場合、申請書に目的やデータの種類などを記載して同省に提出し、統計や教育分野の専門家が妥当性を審査する。
人工知能(AI)やビッグデータなどを駆使する第4次産業革命に不可欠な専門家を企業が雇用しやすくするため、政府は博士課程学生やポスドク(非常勤研究員)向けの研修支援制度を創設する方向で検討を始めた。統計学や情報分析の専門知識を身に付けた若手に、ビジネスで求められる技術を習得させる。文部科学省が平成29年度予算の概算要求に盛り込む予定だ。
研修支援制度では、国が独立行政法人を通じて研修を実施することを想定。学術的な問題に目を向けがちな博士課程学生やポスドクに対し、ビジネス感覚を磨く訓練や現場で使えるプログラミングのトレーニングなどを行う。
とくにポスドクに対する企業の「使いづらい」イメージを払拭することで、専門知識を実社会で生かしやすくなり、企業も即戦力を確保できる利点がある。大学の研究ポストを見つけられないポスドクの就職難解消につながる期待もある。