政府は理化学研究所と産業技術総合研究所、物質・材料研究機構の3つの研究機関を「特定国立研究開発法人」に指定する法案を今国会に提出した。この法律によって、3機関は破格の給与を支払うことが可能になる。日本の研究開発が停滞しかねないとの懸念から、独法を巡る法律の一部が改正され、15年4月から国立研究開発法人と別分類になった。現在、国立研究開発法人は理研のほかに、高速増殖炉「もんじゅ」を持つ日本原子力研究開発機構など全部で27ある。日本発のイノベーションを生み出す制度改革として注目される。
文部科学省は3月31日、教科書会社12社が教員らに検定中の教科書を見せていた問題で、閲覧した公立小中学校の教員ら延べ1009人がその後、教科書の採択に関わる立場になっていたとの調査結果を発表した。うち818人が金品を受け取っていた。閲覧した教科書に採択を変更したケースが99件あったが、同省は「不正行為は確認されず、採択に影響はなかった」と説明している。
文部科学省は3月29日、朝鮮学校への自治体の補助金について再考を促す通知を学校のある28都道府県に出した。通知は、学校の教育内容や人事に在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が影響していることを指摘したうえで、「補助金の公益性、教育振興上の効果」を検討するよう促した。名古屋市が今月、補助金を一部停止する方針を示した動きなども念頭に、子どもへの影響にも「十分に配慮」することも求めた。この補助金を巡っては、北朝鮮の拉致問題への対応などを理由に、自民党が停止などを求めている。
厚生労働省は離婚や死別などで父親か母親のいずれかがいない「ひとり親世帯」の自立支援策を4月から拡充する。低所得の親が介護福祉士や保育士などを目指して専門学校に入れば入学準備金、資格を取得したら就職準備金をそれぞれ貸し付ける。これらの職種で5年以上働けば返還を免除する。通学中の生活支援も拡充し、育児との両立の難しさから雇用が不安定な世帯の自立を後押しする。
自民、公明両党は3月25日、安倍晋三首相に保育所の待機児童の解消に向けた対策の提言をそれぞれ提出した。両党とも保育士の給与を政府予算で措置済みの1.9%分を含めて4%、、計1万2000円引き上げることを求めた。すぐに実施できる対策としてミニ保育所(小規模保育所)の定員拡充などを盛り込んだ。政府は提言を踏まえ、この4月に保育所に入れない児童を主な対象とした緊急対策を月内にまとめる。中長期的な対策は5月に発表する「ニッポン一億総活躍プラン」に盛り込む。
認可保育施設などに入れない待機児童問題をめぐり、政府・与党は小規模保育所の定員枠を緩めて保育の受け皿を増やす検討に入った。小規模保育所は認可保育所より小さい面積で設置できるため、空き店舗やマンションの一室を活用して短期間で整備できる。定員の上限は19人だが、政府・与党は20人以上の子どもが入れるように規制を緩めることを検討。定員枠の増加分は数人ほどが軸になりそうだ。緩和する対象を待機児童が多い地域に限定したり、期限を設けたりすることも考えている。
政府は長時間労働に歯止めをかけるため企業への指導を強める。1カ月の残業が100時間に達した場合に行う労働基準監督署の立ち入り調査について、基準を月80時間まで引き下げる方向だ。労働基準法違反があれば是正勧告などの措置をとる。労働の生産性を高めて長時間労働を減らすことで、子育て中の女性や高齢者が働きやすい環境を整える狙いだ。5月にまとめる「ニッポン一億総活躍プラン」の働き方改革の柱の一つとして盛り込み、年内にも指導を強める。20万超の事業所が対象になる見通しだ。
企業ブランドを守るための商標の審査基準が4月から変わる。企業のキャッチフレーズを商標として登録したり、東京五輪に向けた関連商標の審査基準を明確にして悪質な類似ブランドの増加を防止することなどが柱。ブランド戦略に対する日本企業の意識の高まりや、海外の制度との整合性を図るべきだとの声を受け、特許庁は月内に新基準案をまとめ、4月から適用を始め、2016~17年度にかけて基準の大幅な見直しを進める。
自民党は3月内にまとめる待機児童の緊急対策に保育士の給与引き上げを盛り込む方針だ。保育士の待遇を改善し、資格があるのに働いていない「潜在保育士」が働く環境を整える。18日に待機児童問題等緊急対策チーム(木村弥生委員長)の初会合を開く。潜在保育士は約70万人で、保育士の平均賃金は月約21万円と全産業平均より10万円以上低い。提言は給与増の方向性を示し、金額は盛り込まない見通し。保育施設の設置要件の見直しといった規制緩和策も盛り込む。
自民党は3月17日、選挙制度改革問題統括本部などの合同会議を開き、衆院選挙制度改革で、都道府県に人口比で議席配分する「アダムズ方式」を受け入れる方針を了承した。2020年の大規模国勢調査後の導入を想定する事実上の先送り案だ。20年の国勢調査結果が出るのは21年で、法改正や区割りを済ませて実際に新たな区割りでの選挙をするのは最も早くても22年以降にずれ込む。民主党や維新の党は「抜本改革の先送りだ」と反発している。大島理森衆院議長の対応や15年調査での導入を求める公明党の動向が焦点になる。
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